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6ヒノカミソフキサキノアヤ
ヒノカミの十二人の妃の綾
【ヒノカミ】 アマテルカミのこと。
06-001 フソヒスズ モモフソムヱダ
二十一スズ、百二十六枝
06-002 トシサナト ヤヨイツイタチ
サナトの年、三月一日、
ヒノヤマト ニイミヤツクリ 
日の山の麓に新しい宮を造り
【ヒノヤマト】 「ヒノヤマ」(日の山)は富士山。「ト」は「モト(本)」。麓のこと。
アメミコハ ヒタカミヨリゾ
アメミコはヒタカミから
【アメミコ】 アマテルカミのこと。
ウツリマス フタカミヱメオ
遷られた。二尊はアメミコの御妃を迎える
【ヱメ】 「ヱ」は良い、「メ」は姫または妃。
ミコトノリ カンミムスヒノ
詔を下された。カンミムスビの
【カンミムスビ】 6代目タカミムスビ、諱ヤソギネ。トヨケ尊、タマキネの御子。タカミムスビは7代あり、初代はキノトコタチ。
06-007 ヤソギネガ モロトハカリテ
ヤソギネが諸臣と妃選びの審議をした。
クラキネノ マスヒメモチコ
クラキネの娘のマス姫モチコを
【クラキネ】 シラヤマ姫の兄弟。
ネノスケト ソノトメハヤコ
北のスケ妃に、その妹のハヤコ、
【ネノスケ】 「スケ」に続いて「ウチキサキ(ウチメ)」「オシモメ(オシモ)」とあり、全部で12人いる。この姫たちは「ヒノカミノソフキサキ」であるので、律令制の女官名である「典侍」などの用語は使わず、「スケ妃」「ウチ妃」、「オシモ妃」とした。各妃を東西南北に配しているが、その親の治めている土地の方角と符合している。
06-010 コマスヒメ ネノウチキサキ
コマス姫を北のウチ妃とした。
06-011 ヤソキネノ オオミヤミチコ
ヤソキネの娘のオオミヤ姫ミチコを
06-012 キノスケニ タナハタコタヱ
東のスケ妃に、同じくタナハタ姫コタヱを
06-013 キノウチメ サクラウチガメ
東のウチ妃に、サクラウチの娘の
06-014 サクナタリ セオリツホノコ
サクナタリセオリツ姫ホノコを
06-015 サノスケニ ワカヒメハナコ
南のスケ妃、その妹のワカ姫ハナコを
06-016 サノウチメ カナサキガメノ
南のウチ妃、カナサキの娘の
06-017 ハヤアキツ アキコハシホノ
ハヤアキツ姫アキコまたの名をシホノ
06-018 ヤモアイゴ ツノスケウチハ
ヤモアイゴを西のスケ妃に、ウチ妃は
06-019 ムナカタガ オリハタオサコ
ムナカタの娘のオリハタ姫オサコ、
06-020 オシモメハ トヨヒメアヤコ
オシモ妃は同じくトヨ姫アヤコ、
06-021 カスヤガメ イロノヱアサコ
カスヤの娘イロノヱ姫アサコを
06-022 サノオシモ カダガアヂコハ
南のオシモ妃、カダの娘のアヂコを
06-023 ネノオシモ ツクバハヤマガ
北のオシモ妃、ツクバハヤマの娘
06-024 ソガヒメハ キノオシモゾト
ソガ姫を東のオシモ妃として、
06-025 ツキニヨセ ミコハアマヒノ
十二か月になぞらえて選んだ。アメミコは
06-026 クラヰノル ヒノヤマノナモ
「ヒノカミ」であると宣言した。日の山という名も
06-027 オオヤマゾ カレオオヤマト
オオヤマに変えた。故に宮の名をオオヤマト
06-028 ヒタカミノ ヤスクニノミヤ
ヒタカミのヤスクニの宮とした。
06-029 キツサネノ ツホネハカワリ
東西南北の局は代わる代わる
06-030 ミヤツカヱ ソノナカヒトリ
キミに仕えた。その中の一人の
06-031 スナオナル セオリツヒメノ
純真なセオリツ姫の、
06-032 ミヤビニハ キミモキサハシ
慈しみ深い心に惹かれ、キミも階段を
フミオリテ アマサガルヒニ
自ら降りて迎えたので、姫はアマサガルヒニ
【アマサガルヒニ ムカツヒメ】 君がきざはしを降りて迎えた姫、降りてきた君に向かった姫の意。
06-034 ムカツヒメ ツイニイレマス
ムカツ姫と呼ばれた。やがてキミはムカツ姫を 
ウチミヤニ カナヤマヒコガ
内宮にされた。カナヤマヒコの娘の
【ウチミヤ】 「内宮」。后のこと。
06-036 ウリフヒメ ナガコオスケニ
ウリフ姫ナガコを空いた南のスケに
06-037 ソナヱシム ミナハタオリテ
充てた。妃たちはみな機を織って
06-038 ミサホタツ コレオコヨミノ
キミに尽した。これが暦の
ウリフツキ オトツキヨミハ
閏月の呼び名となった。弟のツキヨミに、
【ウリフツキ】 妃を12か月になぞらえ、13人目はウリフ姫だったのでその名から暦の「閏月」という呼び方ができたということか。
06-040 ヒニツキテ タミノマツリオ
ヒノカミに付いて民を治める仕事の
06-041 タスケシム イヨノフタナノ
補佐をさせた。イヨ・アワの二つの土地が
06-042 ヲサマラデ ツキヨミヤレハ
治まらなかったので、ツキヨミを遣わすと
イフキアケ トノミヤニタス
息を吹き返したように治まり、ツキヨミは弟宮で政を行った。
【トノミヤニタス】 「ト」は弟。「トノミヤ」は弟の宮。アマテルカミの弟のツキヨミが政を建て直した宮。
チタルクニ マスヒトコクミ 
サホコチタル国のマスヒトのコクミが
【チタルクニ】 山陰地方。この後本文048で、タマキネが立て直しに来るのだが、そこは「サホコ」となっている。「サホコ国」と「チタル国」をまとめて治めていて「サホコチタル国」と呼んでいたのではないか。9綾本文122に「サホコ」が出雲の国になったと書かれている。それにしても、「チタル国」が乱れたのに、「チタル国」と書かずに、なぜ「サホコノクニオタス」としたのだろう。
【マスヒトコクミ】 マスヒトは職名。今でいう地方長官くらいの役職か。国守(クニカミ)の次の位と考える。コクミは7綾に詳しく書かれている。
06-045 オコタレハ タマキネツゲテ
政を怠ったので、タマキネ(トヨケ)は、ヤソキネに
06-046 ヒタカミハ ヤソキネニタス
ヒタカミを治めるように告げ、
06-047 タカキネオ キミノタスケト
その息子のタカキネをアマテルカミの補佐とし、