先頭の番号が青い行は、クリックすると解釈ノートが見られます。
対訳ページの使い方の詳細はこちらのページをご覧ください。
38-000 38ヒシロノヨクマソウツアヤ
日代の代、熊襲討つ綾
38-001 トキアスス ナモヤソヤホノ
アスス七百八十八年
38-002 フツキソヒ アマツヒツギオ
七月十一日、君の御位を
38-003 ウケツギテ イムナタリヒコ
受け継いだ諱タリヒコ
38-004 ヲシロワケ アメスメラギノ
ヲシロワケアメノスヘラギの
トシヤソヒ ミグサタカラノ
齢は八十一歳である。三種の神宝を
【トシヤソヒ】 81歳で即位は、まずあり得ない。これまでにも触れたが、君やその周りの者には、何かの節目に「誉め歳」とでもいう年齢の加算があったと私は考える。「ホツマツタヱから導き出される古代史年表」の項で詳しく述べたが、即位時のヲシロワケの年齢は21歳だったのではないか。
38-006 アマヲシカ ヤトヨノミハタ
勅使が渡し、八豊の御旗を立て、
38-007 タカミクラ イトオゴソカニ
高御座で厳かに即位の式が行われた。
38-008 アマツカミ ムベクダリマス
天上の神々もあたかも降りたようであった。
38-009 ミカザリオ タミニオガマセ
即位の正装を民に拝謁させ、
38-010 ワカミヤノ ハツコヨミナル
若宮の新年となった。
38-011 フホヤヨヒ キビツヒコガメ
二年三月、キビツヒコの娘が
38-012 タツキサキ ハリマノイナヒ
后になった。播磨のイナヒ
38-013 ヲイラツメ ウチメノトキニ
ヲイラツ姫はウチ妃の時の
38-014 コゾウヅキ ハラミテウマズ
去年の四月に身籠ったが、なかなか生まれず、
38-015 フソヒツキ ヘテシハスモチ
二十一か月経った十二月の望の日に
38-016 ウスハタニ モチハナナシテ
臼のそばで餅花を作っている時に
38-017 フタゴウム ヱノナモチヒト
双子を産んだ。兄は諱モチヒト、
38-018 ヲウスミコ トノナハナヒコ
ヲウス皇子、弟は諱ハナヒコ、
38-019 コウスミコ トモニイサミテ
コウス皇子である。二人とも元気に育ち、
38-020 ヒトナリハ ミノタケヒトセ
成長すると背丈は同じようであったが、
ヱハヨワク トハフソチカラ
兄は気が弱く、弟は大変頑強であった。
【フソチカラ】 そのまま訳すと「二十人力」だが、大変頑強だったということ。
38-022 ミホノハル キサラギハツヒ
三年春二月一日、
38-023 キノクニニ カミマツラント
紀の国に神を祭ろうと
38-024 ウラナエハ ユクハヨカラズ
占うと、「君自ら行くのはよくない」と出たので
38-025 ミユキヤメ オシマコトノコ
行幸をやめて、オシマコトの子の
38-026 ウマシタケ ヰココロヤリテ
ウマシタケヰココロを行かせ
38-027 マツラシム アビカシハラニ
祭らせた。ヰココロはアビカシハラに
38-028 コトセスム キノウヂマロガ
九年住んだ。そこで紀の国のウヂマロの娘の
38-029 ヤマトカゲ メトリテウムコ
ヤマトカゲ姫を娶り、生まれた子が
38-030 タケウチゾ ヨホキサラモチ
タケウチである。四年二月望、
38-031 ミノニユク トミラモフサク
美濃に行った臣達が君に申し上げた。
38-032 ヨキメアリ ヤサカタカヨリ
「美しい姫がいました。ヤサカタカヨリ姫といい、
38-033 ココナキリ ウエテタノシム
菊や桐を植えて楽しんでいるので
38-034 ココリミヤ カレコレヱント
その宮を菊桐宮と呼んでいます」それを聞いた君は姫を召そうと
38-035 ミユキシテ ミノタカギタノ
行幸して、美濃のタカギタの
38-036 タカヨリノ ココリノミヤニ
タカヨリ姫の菊桐宮に
38-037 カリイマス イケスノゾメバ
しばらく滞在された。池の方を見ると
38-038 サシノゾク オトヒメトメテ
池の中を見ている妹のタカヨリ姫を見つけて、
38-039 キミメシツ ヒメオモエラク
君は姫を呼び寄せた。タカヨリ姫は
38-040 イセノミチ カヨエルノリモ
自分は君の妻として努める才も
38-041 ツヤナラズ キミニモフサク
艶もないと思った。そこで君に申し上げた。
38-042 ヤツカレハ トツギコノマズ
「私は結婚することを望んでおりません。
38-043 ミアラカニ メスモヨカラズ
どうか御殿にお召しにならないでください。
38-044 アネガナオ ヤサカイリヒメ
姉のヤサカイリ姫は
38-045 スガタヨク キサイノミヤニ
見目麗しく、妃として宮に
38-046 メサルトモ ミサホナランカ
お召しになっても操を尽くすことでしょう」
38-047 キミユルシ アネヒメオメス
君はそれを聞き入れて、姉のヤサカイリ姫を召した。
38-048 ネシモハヒ マキムキヒシロ
十一月一日、君は纏向の日代の
38-049 ニイミヤニ カエリイリマス
新しい宮に帰られた。
ヤサカヒメ ナルミノウチメ
ヤサカイリ姫は美濃のウチ妃となった。
【ミノウチメ】 ここで初めて妃に「美濃」という地名が付いているが理由は不明。
38-051 ヰホネシモ ソヰカヒノテニ
五年十一月十五日の日の出の時に
38-052 ウムコノナ ワカタリヒコゾ
ヤサカイリ姫が産んだ皇子の名はワカタリヒコである。
タカヨリハ ヒノマエモフテ
タカヨリ姫が日の前宮に詣でた時、
【ヒノマエ】 1綾本文083の「アヒノマエミヤ(クニカケミヤ)」と同じ。
38-054 ウヂマロガ タチテマコウム
ウヂマロの館で、子どもが生まれた
38-055 ヰココロガ イムナオコエバ
ヰココロに、諱を付けて欲しいと頼まれたので