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ヤマト姫、神鎮める綾
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タマキ宮の九年九月十六日、
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后がヤマトオオクニタマ神から
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幣をもらった夢を見て、身籠った。
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月満ちたが、なかなか生まれず病の床に伏した。
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三年後の九月十六日に
【ミトセノチ】
これまでにも、アマテルカミやアマノコヤネ、タヂカラヲのように、重要な役割を持った人物は特別に長くかかって生まれてくるように書かれている。ヤマト姫は後にアマテルカミの御杖代（斎宮）となる。
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生まれ、名をヤマト姫とした。
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産後の肥立ちが悪く、十月二日に
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后は亡くなった。ツヅキカバヰノ
【ツヅキカバヰノ ツキノカミ】
35綾本文120に「ツヅキ タルネガカバヰ ツキヒメ」(ツヅキタルネの娘のカバヰツキ姫)とあり、ここで「カバヰ」と「ツキ」の間に「ノ」があるのは「ツキ」を、后を表す語として表現したのであろう。
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ツキの神として、君は悲しみにくれながら喪祭りを行った。
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十五年二月望の日に
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タニハミチノウシの娘の
【タニハ ミチノウシ】
35綾本文112の、サホ姫が亡くなる時の言葉の「タニハチウシノ メオモガナ」の「タニハチウシ」と同じ。ここでその願いをかなえたことになる。
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ヒハス姫と、ヌハタニイリ姫、
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マトノ姫、アサミニイリ姫、
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タケノ姫を宮に召した。八月一日に
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ヒハス姫を后にして
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三人の妹をスケ妃とウチ妃にした。
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タケノ姫だけ一人帰したので
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タケノ姫は恥ずかしくて、輿から身を投げて死んだ。
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そこはオチクニと言われるようになった。十八年五月
【オチクニゾ】
タケノ姫が落ちた所だから「オチクニ」と言われるようになったというような記述はこの他にもいくつかあるが、後の創作とも考えられる。
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十日に后が産んだ皇子ニシキ
【ニシキ イリヒコノ イムナヰソキネ】
「ヰソキネ(ヰソギネ)」は二人いる。ミマキイリヒコの皇子に、ヤマトヒコヰソギネ、イクメイリヒコの皇子にニシキイリヒコヰソギネとがいる。37綾本文008で亡くなったのはヤマトヒコヰソギネ。そのあとに出てくるヰソキネはニシキイリヒコヰソキネ。
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イリヒコの諱はヰソキネ、
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二十年の真冬に生まれた皇子はヤマト
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ヲシロワケ、諱タリヒコ、
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次に生れたのがオオナカ姫と
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皇子のワカキニ、諱ハルヒコである。
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スケ妃のヌハタニイリ姫が産んだ皇子はヌデシワケ、
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次に生まれたのはイカタラシ姫である。
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アサミニイリ姫が産んだのは、皇子のイケハヤワケと
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アサヅ姫である。二十三年九月
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ツミエ朔の次の日の二日に君が話された。
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「ホンツワケは髭が生える齢になっても、泣きわめくばかりで
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話をしない。これは一体どういう訳なのだろう」
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臣達は相談して、ヤマト姫に
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祈らせた。十月八日、君が
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高殿に立たれた時、ホンツワケが、
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飛んでいる白鳥を見て聞いた。「あれは
【ククヒ】
白鳥の古名。
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何という鳥だろう」それを聞いた君は喜んで
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「誰かあの鳥を捕まえられないか」と言われた。
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ユカワタナが「我が捕まえましょう」と言うと
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君は「鳥を捕まえることができたら褒美を取らそう」と言われた。
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ユカワタナは白鳥が飛んで行った方へ
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追いかけ探し回って但馬路を行き、出雲の
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ウヤヱでついに捕まえることができ、
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十一月二日にホンツワケ皇子に
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白鳥を差し上げた。皇子は白鳥を可愛がるうちに
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話をするようになったので、ユカワタナを誉めて
【モノイエバ】
35綾本文106にあるように、ホンツワケは燃え盛る稲城の中からサホ姫に抱かれて出てきた。そのショックで言葉が出なくなったのが、白鳥に癒されて出るようになったのではないか。一種のアニマルセラピーだったのかも知れない
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鳥取部という姓を授けた。
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二十五年の二月八日に
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君が詔をタケヌガワケと
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クニフク、ミカサカシマ、
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トイチネ、タケヒの五人に下された。
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「吾の御親のミマキイリヒコ君は聡明で