ホツマツタヱ 全行現代語対訳

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ヒコホオデミ尊、鉤を得るの綾

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三十二スズ、二十三穂、ツウエの年、

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訳文四月一日にワケイカヅチの

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天君ニニキネは深く思うところが

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あり、オオシマに

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近江のミヅホの宮を

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造らせた。宮が出来上がったので良い日を選んで

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宮遷しをしようとした。以前父親のオシホミミが

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亡くなった時、箱根の洞に

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入られた後、母のチチ姫は

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学びたいことがあって、伊勢に行って

【コトアリテ】 13綾本文103で、チチ姫は自分の名前の意味について質問し、本文225にはアマテルカミに仕え、スズカとイセの道を学んだと書かれている。「コト」はそのようなことを指し、ここはその場面。

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アマテルカミに朝な夕なに仕え

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長い年月が経った。

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そういうことがあったので、この度ニニキネは箱根に詣で

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幣を奉げてから伊勢に

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行幸された。アマテルカミと

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母のチチ姫に挨拶をし、その後近江の

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ミヅホの国に宮遷しした。

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ムメヒトはハラ朝間宮に留まり

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政をした。アマノコヤネが左の臣を任され、

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大物主はニニキネの供をするので

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ミゾクイが副物主として

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ハラ朝間宮を守った。新治の宮にいる

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スセリは、ニニキネが昔の宮の跡に

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新しく建てた鵜川の宮へ

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宮遷しをした。二荒山の裾野の

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ウツキネもまた、新たに作った大津のシノ宮を

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ニニキネから賜って

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宮遷しをした。ところがウツキネは、自分の諱に

【イミナノ　ユエアレハ　ウカワオコエド】 24綾本文131で、ニニキネが鵜川の仮宮に行くとき卯の花を飾ったこととウツキネの「ウツキ(卯)」が関係あるということ。

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関係があるので鵜川の宮に行きたいと、ニニキネに願ったが

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許されなかった。ウツキネはいつも狩りをして

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楽しんでいたので山幸彦と呼ばれた。

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また、スセリは釣りを楽しんでいたので

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海幸彦と呼ばれた。ニニキネは自ら

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巡行して西中国の

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山表に井堰や堤を築いて

【ヤマオモテ】 山陽地方。

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新田を拓いた。その後また西の国に行き、

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そこではげ山を見たニニキネが、「あの山は何だ」と聞くと、村長が

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「アキ」ですといった。「アキ（有木）という名前なのに

【アキトイフ】 ニニキネの質問は「どうしてはげ山になったのか」と聞いたのだが、村長は山の名前を聞かれたと思い(通称？の)「アキ」(仕事がない山)と答えた。

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木が無いのはどうしてなのか」と問うと、「昔ここに大蛇がいました。

【コレオロチアリ】 「オロチ」はこの山を根城とし、娘をさらうようなこともした無法者。

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国守の娘を飲んでしまったので

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山の木をみんな焼きました。それでも大蛇はヒ川に

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逃げ、そこで斬られました。しかし、山は

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はげ山になってしまったのです。今も樵の

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仕事さえありません」と村長は嘆いた。ニニキネは微笑んで

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「嘆かなくてもよろしい」と国守のアカツチに

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桧や杉を植えることを教え、その種を

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植えさせた。十年経って

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山は木が繁り、田の水も絶えることなく

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国が豊かになった。また、ニニキネは山陰の方も

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見て巡られた。所々に

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井堰を築き高地に田を拓いて後、

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瑞穂の宮に帰られた。それから豊かな年が

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長く続いた。ある時筑紫では国が

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治まらなくなったので、皇子の行幸を