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06-100 タミウタフ サキニモチコガ
民は喜び歌った。それに先だってモチコ姫が
06-101 ウムミコハ ホヒノミコトノ
生んだ皇子は、ホヒ尊、
06-102 タナヒトゾ ハヤコガミツゴ
タナヒトである。ハヤコ姫が産んだ三つ子は
06-103 ヒハタケコ オキツシマヒメ
一人目は諱タケコ、オキツシマ姫、
06-104 フハタキコ ヱツノシマヒメ
二人目は諱タキコ、ヱツノシマ姫、
06-105 ミハタナゴ イチキシマヒメ
三人目は諱タナゴ、イチキシマ姫である。
06-106 シカルノチ アキコガウメル
その後、アキコ姫が産んだ
06-107 タダギネハ アマツヒコネゾ
諱タダギネはアマツヒコネである。
06-108 シカルノチ ミチコガウメル
またその後、ミチコ姫が産んだ
06-109 バラギネハ イキツヒコネゾ
バラギネはイキツヒコネである。
06-110 トヨヒメハ ネノウチメニテ
トヨ姫は北のウチ妃になり、
06-111 ヌカタダノ クマノクスヒゾ
諱ヌカタダ、クマノクスヒを産んだ。
06-112 ミコスベテ ヰヲトミメナリ
皇子は全部で五男三女である。
06-113 サノトノニ タチバナウヱテ
宮の南の殿には橘を植え
06-114 カグノミヤ キニサクラウヱ
香久の宮と名付け、東の殿には桜を植え
06-115 ウオチミヤ ミツカラマツリ
大内宮と名付け、キミは自ら政を
06-116 キコシメス アマネクタミモ
執られた。全ての民の生活も
06-117 ユタカナリ ツキヨミノツマ
豊かになった。ツキヨミの妻
06-118 イヨツヒメ ウムモチタカハ
イヨツ姫が生んだ諱モチタカは
06-119 イフキヌシ サキニタラチヲ
イフキヌシである。以前、父のイサナギ尊が
06-120 ハナキネハ ネノクニサホコ
「ハナキネはネの国とサホコを
06-121 シラスベシ イマダヒルコト
治めよ」と言われた。ハナキネは未だに姉のヒルコ姫と
ミクマノノ トミガタスケテ
熊野の宮の臣に補佐されていたが、
【ミクマノ】 熊野の宮はイサナミ尊の宮。
ノチノキミ ナチノワカミコ
後にはサホコのキミになった。那智の若皇子
【ナチノワカミコ ヌカタダヨ】 「イマダヒルコト」から「ヌカタダヨ」までをひと続きとして読むと、ハナキネが「ノチノキミ」となるのをヒルコ姫と共に補佐したのがヌカタダのように読めるが、ヌカタダはハナキネの甥で、ハナキネの年齢を考えると補佐するには若すぎるように思う。そこで、「ノチノキミ」で文を切って、後の文を「イサナミを祭るクマノカミはヌカタダだ」と読むことにするが、「ヌカタダヨ」の「ヨ」の用法がよく分からない。
06-124 ヌカタダヨ イサナミマツル
ヌカタダはイサナミを
クマノカミ シコメガシヰオ
熊野の神として祭った。それは醜女のシヰを
【シコメガシヰ】 シヰはタマシヰ(魂)のシヰ。タマは天界から降ろされたもので良心など善の部分、シヰはもともと地上にある欲などの醜い部分と考えられていた。
06-126 カラスカミ マツレハクロキ
枯らす神でもある。ヌカタタが祭ると黒い
06-127 トリムレテ カラストナツク
鳥が群れて来たので、その鳥をカラスと名付けた。
06-128 イサナギハ アツシレタマフ
イサナギ尊は重篤な状態になった。
ココオモテ アワチノミヤニ
ついに、アワチの宮で
【アワチノミヤ】 淡路島(兵庫県淡路市多賀)に伊弉諾神宮がある。
06-130 カクレマス コトハオワレト
亡くなられた。イサナギ尊の一生は終わったが、
06-131 イキオヒハ アメニノホリテ
その力が偉大だったので、天界にいかれた後に
ヲオカヱス アヒワカミヤニ
霊を呼び戻し、アヒ若宮に
【ヲオカエス】 「ヲ」は「緒(タマとシヰを結ぶもの、命のエネルギーのようなもの)」と解されるが、ここではイサナギ尊の「神としての力」と解し、「霊」と訳した。
【アヒワカミヤニ トドマリテ】 「アヒワカミヤ」はイサナギ・イサナミが祭られている多賀大社と思われる。
06-133 トトマリテ ヤミオタシマス
留めて、世が乱れないように守護する
タガノカミ ヤマトヤスミヤ
タガの神として祭った。ヤマトヤス宮を
【タガノカミ】 多賀の神。「タ」は治めるという意味で、「ガ」は闇とか悪いところという意味で、世の中が乱れないようにする神。
ヒキウツシ アメヤスガワノ
ヤス川に移したアメヤスガワの宮に住んだ
【ヒキウツシ】 遷した所はヤス川(滋賀県野洲川野洲町)
06-136 ヒルコヒメ ミコオシヒトオ
ヒルコ姫はキミの皇子のオシヒトを
06-137 ヒタシマス ネトサホコクニ
養育した。ネの国とサホコの国の
06-138 カネヲサム シタテルヒメト
二つを治めたシタテル(ヒルコ)姫は
アチヒコト イセオムスヒテ
アチヒコ(オモイカネ)と夫婦の契りを結んで
【イセオムスビテ】 「イセ」は「イセノミチ」。「イセオムスブ」は夫婦の契りを結ぶこと。13綾「イセスズカノアヤ」に詳しく書かれている。
06-140 モロトモニ ココニヲサメテ
二人で、ヤス川も治めた。
06-141 ウムミコハ イムナシツヒコ
そこで生れた御子は諱シツヒコ、
06-142 タチカラオカナ      
タチカラオである。