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もし、日や月が照らなければ民は冷害に苦しむ。
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地にいる君の政が悪ければ民は苦しむ。
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政はアマノコヤネと大物主の
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補佐を得て治めよ。宮の中を治めるのは
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ミホツ姫に任せよ」。ニニキネは亀船で出航し、
【カメニノリユク カコシマヤ】
瀬戸内より日向灘に航路をとり、大淀川辺りから高千穂に向かったのだろう。
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鹿児島に向かった。そしてソオの高千穂の峰で
【ソヲタカチホノ ヒニイナム】
これから終焉を迎えるソオの高千穂の峰でニニキネは夕日に向かって万感の思いで別れを告げたのであろう。今の曽於市は高千穂を含んではいないが、この時代はこの辺りはソオと呼ばれていたようである。
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夕日に別れを告げ、朝はハラ朝間宮の
【アサハアサマノ ヒニムカフ】
東の朝日に向かってハラ朝間宮に別れを告げた。新田を拓き、政を執ったハラ朝間宮には特別の思いがあったことだろう。
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日に向かい、日向の国と
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ホツマの国に別れを告げた。夜はコノハナサクヤ姫の眠るハラ朝間宮の
【ヒメハアサマニ イナムツキ】
夜ともなれば最愛の妻のコノハナサクヤ姫に惜別の情が湧いたのだろう。この文では、コノハナサクヤ姫の生死については判然としないが、私は、本文098でニニキネがシノ宮に遷ったが、コノハナサクヤ姫のことが書かれていないことや、続けて書かれている「アサマノカミ」という言葉から推して、コノハナサクヤ姫はすでに亡くなっているように思う。
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月に向かい別れを告げ、ニニキネは高千穂の峰に入って
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崩御された。ハラ朝間宮の神の
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子安神（コノハナサクヤ姫）がかねて夫として過ごした
【カネテアウヒノ】
「
」は日輪を表すホツマ文字だが、ここでは「夫」とした。「アウ」は「会っている」すなわち「一緒に過ごすこと」と解釈した。
」は日輪を表すホツマ文字だが、ここでは「夫」とした。「アウ」は「会っている」すなわち「一緒に過ごすこと」と解釈した。
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稜威の神は高千穂の峰の
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神となった。ニニキネは雷をカグツチとミツハメに分けて祭り
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水田を拓いたワケイカツチの
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スヘラ神である。ホオデミに知らせると
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喪に服して伊勢のアマテルカミに知らせた。
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アマテルカミが詔を下した。
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「アワの数の四十八日間の喪が明けたら
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政に着けよ。毎年命日には
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喪に一日服し、ニニキネの御霊を
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祭れよ」ホオデミはその通りに喪に服してから
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アマテルカミの元に行幸した。アマテルカミは
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喜ばれて、ホオデミに「ミヲヤニツカフアマキミ」
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と称号を授けた。
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トヨタマ姫は、ワケツチ山のミツハメの宮で
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四十八日間喪に服し、毎年の命日の祭りには
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御膳を供えた。ホオデミがトヨタマ姫の心を開くには
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どうしたらよいかと聞くと、アマノコヤネが答えて
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「先例があります」と言ったので、ミホツ姫に聞くと
【タメシアリ】
先例とは、24綾本文263のニニキネがアシツ姫(コノハナサクヤ姫)にワカ歌を贈ったこと。
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「歌を贈られたらいかがでしょうか」と答えた。そこで歌を詠んで
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ミホツ姫の孫のイソヨリ姫を
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遣わすと、ミツハメ宮のトヨタマ姫が迎えた。
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イソヨリ姫は、トヨタマ姫の前に立ってホオデミの歌を詠んだ。
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「この沖にいる吾は、鴨船でそなたの元に行って
【オキツトリ カモツクシマ】
25綾本文103以降の、ウツキネ(ホオデミ)が鴨船でハデスミの元へ行ったこと。
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二人で夜を過ごした時のそなたが忘れられない。
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その日からのすべての二人の出来事も」
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トヨタマ姫はこの歌を受けて「ミホツ姫のお気持ちはいかがですか」と聞くと
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イソヨリ姫はミホツ姫の歌も詠みあげた。
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「姫は斎戒(ﾓﾉｲﾐ)をするとおっしゃって、穢れを断ってこられましたが、
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この国の神の道の心を
【カミノココロオ シルヒトゾカミ】
本文124から141のニニキネの言葉を受けている。
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悟った人こそ神で、それはトヨタマ姫なのです」
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この歌を聞いてトヨタマ姫は返歌を詠み、葵の葉と
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君の印の桂の葉を紙に包み
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水引草で結び、文箱に納めて
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ホオデミに贈られた。ホオデミは自ら
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結びを解いて、その歌を読んだ。
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「沖の鴨船にいられるわが君、私を受け入れてくださった
【オキツトリ カモオヲサムル…】
ホオデミの歌を受けて詠まれているが、「カモ」は独り身の自分と海に泳ぐ鴨を掛けていると読んだ。「エヤ」は「どうして～できようか」。「フセグ」は遮る。
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君だからこそ、あの日からのすべての二人の出来事を
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どうして思い出さずにいられましょうか」
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ホオデミはこの歌を何度も読み返し、涙を