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26-156 ヒトグサモ ガニハヒヤスゾ
もし、日や月が照らなければ民は冷害に苦しむ。
26-157 ハニキミモ ガニタミカルゾ
地にいる君の政が悪ければ民は苦しむ。
26-158 マツリコト コヤネモノヌシ
政はアマノコヤネと大物主の
26-159 トモニタセ ミヤウチノタハ
補佐を得て治めよ。宮の中を治めるのは
ミホヒメト カメニノリユク
ミホツ姫に任せよ」。ニニキネは亀船で出航し、
【カメニノリユク カコシマヤ】 瀬戸内より日向灘に航路をとり、大淀川辺りから高千穂に向かったのだろう。
カコシマヤ ソヲタカチホノ
鹿児島に向かった。そしてソオの高千穂の峰で
【ソヲタカチホノ ヒニイナム】 これから終焉を迎えるソオの高千穂の峰でニニキネは夕日に向かって万感の思いで別れを告げたのであろう。今の曽於市は高千穂を含んではいないが、この時代はこの辺りはソオと呼ばれていたようである。
ヒニイナム アサハアサマノ
夕日に別れを告げ、朝はハラ朝間宮の
【アサハアサマノ ヒニムカフ】 東の朝日に向かってハラ朝間宮に別れを告げた。新田を拓き、政を執ったハラ朝間宮には特別の思いがあったことだろう。
26-163 ヒニムカフ ヒムカフクニト
日に向かい、日向の国と
ホツマクニ ヒメハアサマニ
ホツマの国に別れを告げた。夜はコノハナサクヤ姫の眠るハラ朝間宮の
【ヒメハアサマニ イナムツキ】 夜ともなれば最愛の妻のコノハナサクヤ姫に惜別の情が湧いたのだろう。この文では、コノハナサクヤ姫の生死については判然としないが、私は、本文098でニニキネがシノ宮に遷ったが、コノハナサクヤ姫のことが書かれていないことや、続けて書かれている「アサマノカミ」という言葉から推して、コノハナサクヤ姫はすでに亡くなっているように思う。
26-165 イナムツキ タカチネニイリ
月に向かい別れを告げ、ニニキネは高千穂の峰に入って
26-166 カミトナル アサマノカミヤ
崩御された。ハラ朝間宮の神の
コヤスカミ カネテアウヒノ
子安神(コノハナサクヤ姫)がかねて夫として過ごした
【カネテアウヒノ】 ア」は日輪を表すホツマ文字だが、ここでは「夫」とした。「アウ」は「会っている」すなわち「一緒に過ごすこと」と解釈した。
26-168 イヅノカミ タカチホノネノ
稜威の神は高千穂の峰の
26-169 カミトナル ナルカミワケテ
神となった。ニニキネは雷をカグツチとミツハメに分けて祭り
26-170 ツチイカス ワケイカツチノ
水田を拓いたワケイカツチの
26-171 スヘラカミ キミニツグレバ
スヘラ神である。ホオデミに知らせると
26-172 モニイリテ イセニツゲマス
喪に服して伊勢のアマテルカミに知らせた。
26-173 ヲヲンカミ カミコトノリハ
アマテルカミが詔を下した。
26-174 アワノカズ ヘテモオヌギテ
「アワの数の四十八日間の喪が明けたら
26-175 マツリキク トシメクルヒハ
政に着けよ。毎年命日には
26-176 モニヒトヒ ソノミハシラニ
喪に一日服し、ニニキネの御霊を
26-177 マツルヘシ ウケエテノチノ
祭れよ」ホオデミはその通りに喪に服してから
26-178 ミユキナル アマテラスカミ
アマテルカミの元に行幸した。アマテルカミは
26-179 ヨロコヒテ ミヲヤニツカフ
喜ばれて、ホオデミに「ミヲヤニツカフアマキミ」
26-180 アマキミト ヲシテタマワル
と称号を授けた。
26-181 トヨタマハ ワケツチヤマニ
トヨタマ姫は、ワケツチ山のミツハメの宮で
26-182 モハヨソヤ トシノマツリモ
四十八日間喪に服し、毎年の命日の祭りには
26-183 ミアエナス アマキミヒメオ
御膳を供えた。ホオデミがトヨタマ姫の心を開くには
26-184 タツヌレバ コヤネコタエテ
どうしたらよいかと聞くと、アマノコヤネが答えて
タメシアリ ミホツニトエバ
「先例があります」と言ったので、ミホツ姫に聞くと
【タメシアリ】 先例とは、24綾本文263のニニキネがアシツ姫(コノハナサクヤ姫)にワカ歌を贈ったこと。
26-186 ウタナセト カレウタヨミテ
「歌を贈られたらいかがでしょうか」と答えた。そこで歌を詠んで
26-187 ミホツメガ マゴイソヨリオ
ミホツ姫の孫のイソヨリ姫を
26-188 ツカワセバ ヒメムカユルオ
遣わすと、ミツハメ宮のトヨタマ姫が迎えた。
26-189 イソヨリハ タチテヨムウタ
イソヨリ姫は、トヨタマ姫の前に立ってホオデミの歌を詠んだ。
オキツトリ カモツクシマニ
「この沖にいる吾は、鴨船でそなたの元に行って
【オキツトリ カモツクシマ】 25綾本文103以降の、ウツキネ(ホオデミ)が鴨船でハデスミの元へ行ったこと。
26-191 ワカイネシ イモハワスラジ
二人で夜を過ごした時のそなたが忘れられない。
26-192 ヨノコトゴトモ      
その日からのすべての二人の出来事も」
26-193 ミウタウケ ミホツハイカン
トヨタマ姫はこの歌を受けて「ミホツ姫のお気持ちはいかがですか」と聞くと
26-194 イソヨリガ ミホツノウタニ
イソヨリ姫はミホツ姫の歌も詠みあげた。
26-195 イミトイヒ ケカレトタツル
「姫は斎戒(モノイミ)をするとおっしゃって、穢れを断ってこられましたが、
ヒノモトノ カミノココロオ
この国の神の道の心を
【カミノココロオ シルヒトゾカミ】 本文124から141のニニキネの言葉を受けている。
26-197 シルヒトゾカミ      
悟った人こそ神で、それはトヨタマ姫なのです」
26-198 トキニヒメ カエシハアオヒ
この歌を聞いてトヨタマ姫は返歌を詠み、葵の葉と
26-199 キミカツラ カミニツツミテ
君の印の桂の葉を紙に包み
26-200 ミヒキグサ フハコニオサメ
水引草で結び、文箱に納めて
26-201 タテマツル キミミツカラニ
ホオデミに贈られた。ホオデミは自ら
26-202 ユヒオトキ ソノウタヨメバ
結びを解いて、その歌を読んだ。
オキツトリ カモオヲサムル
「沖の鴨船にいられるわが君、私を受け入れてくださった
【オキツトリ カモオヲサムル…】 ホオデミの歌を受けて詠まれているが、「カモ」は独り身の自分と海に泳ぐ鴨を掛けていると読んだ。「エヤ」は「どうして~できようか」。「フセグ」は遮る。
26-204 キミナラテ ヨノコトゴトオ
君だからこそ、あの日からのすべての二人の出来事を
26-205 ヱヤハフセガン      
どうして思い出さずにいられましょうか」
26-206 コノウタオ ミタビニナンタ
ホオデミはこの歌を何度も読み返し、涙を