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稲城の外へ出て、君に申し上げた。
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「兄の罪を許してもらいたくて
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中に入りましたが、私にも罪がある
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ことを思い知りました。たとえ死んだとしても、
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君のご恩は決して忘れません。私が死んだ後に
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后をお決めになる時は、タニハチウシの
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娘をお迎えください」。君がそれを
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聞きいれた時、炎が燃え上がり
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稲城は焼け崩れた。人々が去ったあとには
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サホヒコと后の遺骸だけが残った。
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君はヤツナダの功績を褒めて
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タケヒムケヒコという名を授けた。
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七年七月一日、コモヅミの
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子のツヅキタルネの娘のカバヰ
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ツキ姫を后とし、妹の
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カクヤ姫をウチ妃とした。五日に
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その祝いをし、初棚機の
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神祭りをした。ある臣が君に
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申し上げた。「タエマクエハヤは
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怪力で、地金を伸ばしたり
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角を裂いたりします。鉄の弓を作って
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いつも言っています。『これを引くことができる
【フミハル】
踏ん張る。
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自分の力を、世の中の誰かと比べようと
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相手を探しているが誰もいなくて、このまま死ぬのか』と
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大変嘆いています」。君は臣達に聞いた。
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「クエハヤと力を比べることのできる者は
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いないのだろうか」。すると「ノミノ
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スクネがいます」と言う声があったので、ナガオイチに
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連れてこさせた。ノミノスクネも
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喜び勇んで来た。君は「明日力比べをするように」と
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命じた。力比べをする時の
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神事の作法に則り、スマヰの里に
【スマヰノサト】
「相撲」の語源。参考までに奈良県葛城市当麻町に葛城市相撲館「けはや座」という、相撲発祥の地にちなんで建てられた相撲博物館がある。当地の當麻寺に當麻蹶速塚がある。
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土輪（土俵）を作った。タエマクエハヤは東から、
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ノミノスクネは西から対決すると、
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ノミノスクネは強くて、タエマクエハヤの脇を
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踏みつけ、更に腰も踏み付けて殺してしまった。
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すると、君は団扇を掲げて
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大歓声を上げ、臣達も喜んだ。
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君はタエマクエハヤの鉄の弓と
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タエマの国をノミノスクネに授けた。
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タエマクエハヤの家はその妻に継がせた。ノミノスクネは
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弓取りと称えられた。
【ユミトリゾコレ】
今でも大相撲の結びの後に「弓取り式」があるのはこれが起源か。