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佐伯部のはじまりである。四十六年春、
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七草の饗宴の時の歌合わせの
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日が過ぎていったが、ワカタリヒコと
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タケウチとは宮内に姿を見せなかった。
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そこで二人を呼んで訳を聞くと、
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「楽しみの日は、みんな遊び戯れているので
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不注意になります。不心得者がいれば
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隙を窺おうとするでしょう。だから御垣を
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守っておりました」と答えた。君が聞かれて
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「もっともだ」と、深く心をかけて
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八月四日にワカタリヒコを
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世継ぎ皇子とし、タケウチスクネを
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ワカタリヒコの臣の長にした。皇子とタケウチは
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同い年である。五十二年五月
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二十八日に后のイラツ姫が
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亡くなった。見送りのし方は
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熱田法で行った。オホタンヤワケが
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御饌を炊き、チリヒルメシとして
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平べに盛って、ヌノオシ姫に
【ヌノオシヒメ】
この人物に該当すると考えられるのは、ヲシロワケ(景行天皇)とヤサカイリ姫の間に生まれたヌノシヒメ。
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戴かせた。添って行ったタンヤワケが
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先導して、次に姫皇子、
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スケ妃、ウチ妃、オシモ妃、アオ女達が
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三十人付き添った。次にモトアケの神の
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八色幡に神の言葉の四十八文字を
【カミコトヨソヤ】
ヲシテ48文字がそれぞれ神で、フトマニの48神と同じ。
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書き分け、吉備の家の臣が
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持って並んだ。陵に立てる埴輪が
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天への懸け橋となり、イラツ姫が霞の彼方にたどって行けるようにした。
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キビ、ハリマ兄弟のタケヒコが
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世箒花を持ち両脇に並び、
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御柱はイラツ姫の臣が持ち
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御輿の前を進み、皇子は御緒末を持って進んだ。
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勅使はイラツ姫の御霊を遷す臣になり
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輿に乗った。このようにして大勢の者が送った。
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七月七日にヤサカイリ姫が
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后となった。五十三年八月に
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ヲシロワケ皇が言われた。「振り返ってみれば
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コウスのことを思わない日はなかった。コウスが鎮めた
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国を巡ろうと思う」と伊勢に
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行幸された。尾張の津島に
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着いた時、オハリムラジが迎えると
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我が子のように親しく、一緒にオホマの
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宮に入られた。自ら作った
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幣を立てて言われた。「親子の縁が
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思いがけず絶えて、会うことができないが、
【ユグリナフ】
「ナフ」は「…ない」の意を表す上代東国方言。ここでは「ユクリナク」と同意と考え、「思いがけず」とした。
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忘れることができず、自らやってきて
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幣を奉げるのだよ」と、かなり長い時間
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コウスの死を悼んでいた。その夜の夢に、
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津島の森にヤマトタケが白イトリとなって現れた。
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ヤマトタケが言った。「アマテル神が
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ソサノヲ尊に『どうして汝は
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国が欲しいのか』と言われました。そして国を治める則を説いて
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国を治める者としての歌を教えられました。
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『世の人々を優しく照らして巡っている
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日や月のように、上に立つ者は全ての者に優しくするのが
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真の民の親ともいうべきなのだ』。
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これを理解できず、罪を犯してしまったソサノヲ尊に