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40-261 サエキベゾ ヨソムホノハル
佐伯部のはじまりである。四十六年春、
40-262 ナナクサノ ミアエニウタノ
七草の饗宴の時の歌合わせの
40-263 ヒカズヘル ワカタリヒコト
日が過ぎていったが、ワカタリヒコと
40-264 タケウチト ウチニマイラズ
タケウチとは宮内に姿を見せなかった。
40-265 カレメシテ トエバモフサク
そこで二人を呼んで訳を聞くと、
40-266 エラクヒハ アソビタワムレ
「楽しみの日は、みんな遊び戯れているので
40-267 コトワスル クルエドアラバ
不注意になります。不心得者がいれば
40-268 ウカガハン カレニミカキオ
隙を窺おうとするでしょう。だから御垣を
40-269 マモリオル キミキコシメシ
守っておりました」と答えた。君が聞かれて
40-270 イヤチコト アツクメグミテ
「もっともだ」と、深く心をかけて
40-271 ハツキヨカ ワカタリヒコオ
八月四日にワカタリヒコを
40-272 ヨツギミコ タケウチスクネ
世継ぎ皇子とし、タケウチスクネを
40-273 ムネノトミ ミコトタケウチ
ワカタリヒコの臣の長にした。皇子とタケウチは
40-274 オナヒドシ ヰソフホサツキ
同い年である。五十二年五月
40-275 スエヤカニ キサキイラツメ
二十八日に后のイラツ姫が
40-276 カミトナル ミオクリノリハ
亡くなった。見送りのし方は
40-277 アツタノリ オホタンヤワケ
熱田法で行った。オホタンヤワケが
40-278 ミケカシギ チリヒルメシト
御饌を炊き、チリヒルメシとして
モルヒラデ ヌノオシヒメニ
平べに盛って、ヌノオシ姫に
【ヌノオシヒメ】 この人物に該当すると考えられるのは、ヲシロワケ(景行天皇)とヤサカイリ姫の間に生まれたヌノシヒメ。
40-280 イタダカセ ソフタンヤワケ
戴かせた。添って行ったタンヤワケが
40-281 サキカリニ ツギハヒメミコ
先導して、次に姫皇子、
40-282 スケウチメ オシモアオメラ
スケ妃、ウチ妃、オシモ妃、アオ女達が
40-283 ミソリソフ ツギモトモトノ
三十人付き添った。次にモトアケの神の
ヤイロハタ カミコトヨソヤ
八色幡に神の言葉の四十八文字を
【カミコトヨソヤ】 ヲシテ48文字がそれぞれ神で、フトマニの48神と同じ。
40-285 ワケソメテ キビノイヱトミ
書き分け、吉備の家の臣が
40-286 モチナラフ タテモノクモニ
持って並んだ。陵に立てる埴輪が
40-287 カケハシト カスミニチドリ
天への懸け橋となり、イラツ姫が霞の彼方にたどって行けるようにした。
40-288 キビハリマ ヱトノタケヒコ
キビ、ハリマ兄弟のタケヒコが
40-289 ヨハキシオ マテニナラビテ
世箒花を持ち両脇に並び、
40-290 ミハシラハ ウチミヤノトミ
御柱はイラツ姫の臣が持ち
40-291 ミコシマエ ミコハミヲスエ
御輿の前を進み、皇子は御緒末を持って進んだ。
40-292 ヲシカドハ ウツシヒノオミ
勅使はイラツ姫の御霊を遷す臣になり
40-293 コシニノル モロオクリケリ
輿に乗った。このようにして大勢の者が送った。
40-294 アフミナカ ヤサカイリヒメ
七月七日にヤサカイリ姫が
40-295 ウチツミヤ ヰソミホホヅミ
后となった。五十三年八月に
40-296 ミコトノリ カエリオモエバ
ヲシロワケ皇が言われた。「振り返ってみれば
40-297 ヤムヒナシ コウスガムケシ
コウスのことを思わない日はなかった。コウスが鎮めた
40-298 クニメグリ ナサントイセニ
国を巡ろうと思う」と伊勢に
40-299 ミユキナリ オハリツシマニ
行幸された。尾張の津島に
40-300 イタルトキ ムラジムカエバ
着いた時、オハリムラジが迎えると
40-301 コノゴトク トモニオホマノ
我が子のように親しく、一緒にオホマの
40-302 ミヤニイリ ミツカラツクル
宮に入られた。自ら作った
40-303 ニギテタテ イワクヲヤコノ
幣を立てて言われた。「親子の縁が
ユグリナフ ワカレアワネバ
思いがけず絶えて、会うことができないが、
【ユグリナフ】 「ナフ」は「…ない」の意を表す上代東国方言。ここでは「ユクリナク」と同意と考え、「思いがけず」とした。
40-305 ワスラレズ ミヅカラキタリ
忘れることができず、自らやってきて
40-306 ニギテスト ヤヤヒサシクゾ
幣を奉げるのだよ」と、かなり長い時間
40-307 イタマシム ソノヨノユメニ
コウスの死を悼んでいた。その夜の夢に、
40-308 ツシマモリ シライトリナル
津島の森にヤマトタケが白イトリとなって現れた。
40-309 ヤマトダケ イワクヲヲガミ
ヤマトタケが言った。「アマテル神が
40-310 ソサノヲニ イワクイカンゾ
ソサノヲ尊に『どうして汝は
40-311 クニノゾム アメノリナセバ
国が欲しいのか』と言われました。そして国を治める則を説いて
40-312 クニノカミ ヲシエノウタニ
国を治める者としての歌を教えられました。
40-313 アメガシタ ヤワシテメグル
『世の人々を優しく照らして巡っている
40-314 ヒツキコソ ハレテアカルキ
日や月のように、上に立つ者は全ての者に優しくするのが
40-315 タミノタラチネ      
真の民の親ともいうべきなのだ』。
40-316 コレトケズ ツミニオツルオ
これを理解できず、罪を犯してしまったソサノヲ尊に