いまさら偽書か否かもないけれど……

 やっと20綾の更新にたどり着きました。2015年12月から5か月足らずで、よくここまで来たと思います。まだまだ力不足ですが、これからも独自の解釈で「超訳」していき、少しでもホツマツタヱの面白さや古代史資料としての価値をお伝えできたらと思っています。
 ところで、最新の20綾で、クシタマホノアカリが遷宮するときの37人もの同行者のそれぞれについて、例えば次のように列挙されています。
カグヤマはヤマスミの第二子
フトタマはタカミムスビの第三子
コヤネはカスガ殿の子
クシタマはタカミムスビの第四子
ミチネはカンミムスビの曾孫
…等々
 これだけ詳しい関係が書かれているのだから、偽書であるわけないと言いたいところですが、同じようなことが先代旧事本紀にも書かれているのです。「先代旧事本紀を元にして書いたのだ」と、ホツマツタヱ偽書論の方は言うだろうと、先代旧事本紀と比べてみました。
 先代旧事本紀には次のように書かれていました。
天香語山命 尾張連等祖(あまのかごやまのみこと をはりのむらじたちのおや)
天鈿賣命 猨女君等祖(あめのうずめのみこと さるめのきみたちのおや)
天太玉命 忌部首等祖(あまのふとたまのみこと いむべのをむたちのおや)
天兒屋命 中臣連等祖(あまのこやねのみこと なかとみのむらじたちのおや)
天櫛玉命 鴨縣主等祖(あまのくしだまのみこと かものあがたぬしたちのおや)
天道根命 川瀬造等祖(あまのみちねのみこと かはせのみやつこたちのおや)
…等々
 なるほど、全く同じではありませんが、確かに書いてあります。ですが、両者を比べてみると、ホツマツタヱでは書かれた人物が誰の子だとか孫だとか兄弟だとか、その人物の「現時点」での記述になっていますが、先代旧事本紀には、書かれた人物が「誰々の祖」と書かれています。すなわち、書かれた人名を過去の人として認識しているのです。ということは、先代旧事本紀は少なくもホツマツタヱが書かれた時より後に書かれたものと考えられ、「先代旧事本紀を元にして書いた」ということは、まずあり得ないと思います。
 ついでながら言うとホツマツタヱでは、ミチネはムラクモの兄だと読み取れますが、先代旧事本紀では、天牟良雲命(あまのむらくものみこと)として書かれていて、度會神主等祖(わたらへのかんぬしたちのおや)となっていて二人の関係は読み取れません。
 これですべてを断定するわけにはいかないかもしれませんが、読めば読むほどホツマツタヱは貴重な古代資料だと思えてなりません。
・・・・・平成28年4月14日