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04-045 トホリテゾ アメノミヲヤノ
通じ、アメミヲヤの神の
マナコヨリ モルルヒツキト
目から降りる日と月の霊力と
【マナコヨリ モルルヒツキ】 日と月はアメミオヤの神の目。日から御魂が降りて生まれたのがアマテルということになる。
アモトカミ ミソフノカミノ
アモト神や三十二の神が
【アモトカミ】 フトマニ図では、中心にアメミヲヤ(アウワ)、その外側にトホカミヱヒタメの8神、その外側にアイフヘモオスシの8神。その外側にミソフ(32)の神が坐している。トホカミヱヒタメはヤモト神とも呼ばれる。アイフヘモオスシはアナミ(アナレ)神とも呼ばれる。ヤモト神とアナミ神の16神をアモトカミという。ミソフの神はタミメヒコとも呼ばれる。
04-048 マモルユエ コタネナルコト
守ってくれるので、必ず子種が宿ると
オボヱマス コノコロギミハ
トヨケ尊は確信しました。同じ頃二尊が
【ギミ】 二人の君。ここではイサナギ、イサナミの二尊。
04-050 ハラミヤマ ノホリテイワク
ハラミ山に登ったとき、イサナギ尊が言われました。
04-051 モロトモニ クニクニメクリ
『二人で一緒に国々を巡って
04-052 タミオタシ ヒメミコウメド
民を治め、姫皇子を産んだが
04-053 ツギコナク タノシナキトテ
世継ぎの皇子が生まれず、心が安らかでない』。
イケミツニ タノメオアラヒ
イサナギ尊は池の水で左の目を洗っては
【タ】 左。右はカ
04-055 ヒルニノリ カノメオアラヒ
日の霊に祈り、右の眼を洗っては
ツキニノリ イシコリドメガ
月に祈りました。イシコリトメが
【イシコリトメ】 鏡を作る職人。
04-057 マスカガミ イツクリススム
マス鏡を造りイサナギ尊に差し上げました。
04-058 イサナギハ アメオシラスル
イサナギ尊は世を治めることのできる
04-059 ウツノコオ ウマンオモヒノ
尊い皇子を産もうと思われて
マスカガミ マテニヒルツキ
マス鏡を両手に持ち、日と月に
【マスカガミ】 真澄鏡の略と言われる。
04-061 ナツラエテ カミナリイデン
なぞらえて、神の力が出てくる
04-062 コトオコヒ クビメグルマニ
ことを願われ、左右に首をめぐらして
アグリコフ カクヒオツミテ
世継ぎ皇子が生まれることを願いました。このように日を重ねて
【アグリ】 広辞苑には「女の子の名前。女ばかり生まれて男の子が欲しいとき、あるいは最後の子にしたいとき名付けた」とあるが、ここでは男の子(世継ぎ)を産むこと、またそのための手立て。
ミタマイル カドハチリケノ
イサナギ尊の体内に御霊が入りました。入ったところはチリケの
【カドハチリケノ アヤドコロ】 カドは出入口。チリケは鍼灸の用語ではうなじの下。アヤドコロは急所。
04-065 アヤトコロ オコナヒチカニ
急所で、祈りが千日に
04-066 ナルコロハ シラハギソミテ
なるころには、白い脛が色づき
04-067 サクライロ アルヒヲカミガ
桜色になりました。ある日イサナギ尊が
04-068 ヲヱトエバ ヒメノコタエハ
月の障りはどうかと尋ねると、イサナミ尊が答えました。
04-069 ツキノヲエ ナガレトトマリ
『月の障りは終わりました。
04-070 ミカノノチ ミノキヨケレバ
三日経ち、身が清くなりましたので
ヒマチスト ヲカミモヱミテ
君がいらっしゃるのをお待ちしています』。イサナギ尊も微笑んで、
【ヒ】 君。この場合はイサナギ。
モロトモニ オガムヒノワノ
一緒に日を拝むと、日の輪が
【オガムヒノワノ トビクダリ】 世継ぎを授かるようにと二尊が願い、気持ちが高揚したことか。「日の輪」はアマテルの暗示。
04-073 トビクタリ フタカミノマエ
飛び下って来てニ尊の前に
04-074 オチトトム オモワズイタク
降りて留まりました。思わずとてもよい
04-075 ユメココチ サメテウルホヒ
夢心地になり、我に返ったとき気持ちが潤っていて
04-076 ココロヨク ミヤニカエレハ
快い気分でした。宮に帰ると
04-077 ヤマスミガ ササミキススム
ヤマスミが差し上げた酒をイサナギ尊がイサナミ尊に勧めました。
04-078 カレヲカミ トコミキシルヤ
そしてイサナギ尊は、『トコ御酒を知っているか』と聞きました。
04-079 メノコタエ コトサカノヲガ
イサナミ尊は答えました。『コトサカノヲ命に
04-080 ミチキケハ トコミキハマツ
作法を聞いたところ、トコ御酒はまず
04-081 メガノミテ ノチヲニススム
妻が飲んで、その後夫にすすめます。
04-082 トコイリノ メハコトアゲズ
床入りのときは、妻は声を出しません。
04-083 ヲノヨソヰ メガシリトツグ
夫の振る舞いを妻が察して受け入れます。
シタツユオ スエバタガヰニ
シタツユを受け入れればお互いに
【シタツユ】 精液。唾液という解釈もあるようだが、このすぐ後に子種が宿るとあるのでこのように解釈した。他の綾では「シジナミ」「チチノナミ」「チチノカリナミ」「カリノシジナミ」とも書かれている。本書ではあまり直截な表現は避けたいので、ここではそのまま「シタツユ(下露)」と訳す。「シジナミ」などの所では「精水」とした。
ウチトケテ タマシマカワノ
打ち解けて、子宮(コミヤ)の
【タマシマカワノ ウチミヤ】 子宮。この時代は外性器と内性器を合わせて「タマシマガワ」と呼んでいたのではないか。余談になるが、江戸時代の銅鏡に「玉川」という言葉が裏の飾りとして書かれているものがかなりある。貴重な嫁入り道具の一つであった銅鏡に、なぜ「玉川」という言葉が書かれているのか不思議であったが、「子宝に恵まれるように」という願いが込められた言葉だと、ここで納得できた。
04-086 ウチミヤニ ヤドルコタネノ
中に子種が宿るというのが
04-087 トツギノリ コオトトノフル
世継ぎを授かる作法です。世継ぎ皇子を授かるための
04-088 トコミキハ クニウムミチノ
トコ酒は、国造りをするための
04-089 ヲシヱゾト カクマシワリテ
教えなのです』。そのようにして交わって
04-090 ハラメドモ トツキニウマズ
身籠ったけれども、十月目には生れず
04-091 トシツキオ フレドモヤハリ
それから月日が経っても産まれないので、やはり
04-092 ヤメルカト ココロイタメテ
病気かとイサナミ尊は心を痛めました。