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05-095 ミコトノリ ミチヒキノウタ
トヨケ尊が導きの歌で諭されました。
05-096 アワギミヨ ワカレオシクト
『アワ君(イサナギ尊)よ、別れが惜しくとも
05-097 ツマオクル ヲウトハユカズ
妻を送る時に夫は追って行かないものです。
05-098 ユケバハヂ シコメニオワス
行けば夫の恥になります。(イサナミ尊が)醜女に追わせたことの
05-099 ヨシアシオ シレバアシヒク
是非を理解し、足を引きずり帰った
05-100 ヨモツサカ コトタチサクル
黄泉平坂で誓い合い、別れることができたのは、
05-101 ウツワアリ ミソギニタミノ
キミに大きな度量があったからです。アワ君が禊ぎをして政に戻られたので、民の
トトノイテ イヤマトトホル
生活も落ち着いて、一層真のトの教えが行き渡りました。
【イヤマトトホル】 真のトの教えとは、アマカミを中心として、君臣民が共に豊かで幸せに暮らせるようにするため、人々が守り行うようにする教え。
05-103 アシビキノ チヰモノオタノ
葦を抜いて拓いた千五百(たくさん)の小田にも
05-104 ミツホナル マトノヲシヱニ
瑞穂が実りました。人々は真のトの教えを喜び
カカンシテ ノンアワクニハ
篝火をたき、祝詞をあげて太鼓を叩き、
【カカンシテ ノンアワクニハ デンヤマト】 この中に「カガンノンテン」が織り込まれている。ここまでがトヨケ尊の導きの歌で、枕詞の由来の話。次から枕詞の具体的な説明。
05-106 デンヤマト ヒキテアカルキ
アワ国をヤマトと讃えています』。この歌のように『あしひき』が『葦を引き抜いて明るく拓けた
アシハラノ ウタモサトレヨ
葦原』という意味を持つ歌もあることがわかるでしょう。
【ウタモサトレヨ】 この歌のように「アシヒキ」を「葦を引き抜く」という意味で使うこともあるということ。
マトミチノ トホラヌマエノ
真のトの教えが行き渡る前の
【マトミチノ トホラヌマエノ アシヒキノ】 「トホラヌマエ」とはトヨケ尊の「導きの歌」の中のイサナギ尊の禊の前の部分を指す。「アシヒキ」は、イサナギ尊が足を引きずり帰った「シレバアシヒク」を指している。足を引きずりかえったヨモツヒラサカを「山」としたのであろう。
05-109 アシヒキノ マクラコトバハ
『あしひきの』という枕詞は、
05-110 ウタノタネ アシヒキハヤマ
歌の技法で、『あしひき』は山に係るのです。
05-111 ホノホノハ アケヌバタマハ
『ほのぼの』は『明ける』に係ります。『ぬばたま』は
05-112 ヨルノタネ シマツトリノウ
夜を表す技法です。『島つ鳥』は『鵜』、
05-113 オキツトリ カモトフネナリ
『沖つ鳥』は鴨と船に係ります。
05-114 コノアチオ ヌバタマノヨノ
こういう言葉の持つ趣を、『ヌバタマ』という夜に係る
05-115 ウタマクラ サメテアカルキ
枕詞でいうと、目覚めれば一層明るく感じるという意味を込めて
05-116 マエコトバ ココロオアカス
前につける言葉なのです。心を清めるのが
05-117 ウタノミチ ミソキノミチハ
歌の道で、禊ぎの道は
05-118 ミオアカス ヤマトノミチノ
身を清めることです。ヤマトの国の教えは
05-119 オオイナルカナ      
なんと素晴らしいことではありませんか」。