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08-246 マネクトキ ホノホキユレハ
撒かせると、炎が消えてしまったので、
08-247 ムナサワギ ニゲントスルオ
これは大変だと、ハタレのハルナが逃げようとするのを
08-248 タチカラヲ ハタレハルナニ
タヂカラヲが
08-249 トビカカリ チカラアラソヒ
飛びかかって、くんずほぐれつの末に
08-250 オシシバル ハタレマモミナ
押し倒して縛りあげた。ハタレ達もみな
08-251 トリシバリ マエニヒキスヱ
捕まえ縛った。アマテルカミの前に引き連れて座らせ、
タレアグル キミヤサカニノ
輦の垂れを上げた。アマテルカミはヤサカニの
【ヤサカニノ マカルタマ】 広辞苑では「ヤサカ」は8尺(ここでは長いことの比喩的表現)「ニ」は玉。このことから、勾玉を連ねた装身具と考えられる。
08-253 マカルタマ セオリハマフツ
勾玉を身に着けて、セオリツ姫はマフツの
ヤタカガミ アキツクサナギ
ヤタ鏡を持ち、アキツ姫はクサナギの
【クサナギ ヤヱツルギ】 「クサナギ」は民草(タミグサ・人民)を罰すること。「ヤヱツルギ」は「ヤヱガキノツルギ」。23綾で、アマテルカミが、アマメヒトツという刀鍛冶の作った8本の刀を誉めてつけた剣の名。正邪を見極めるというこの刀で人を裁いた。 
08-255 ヤヱツルギ トキニイフキド
八重剣を持っていた。取り調べの時にイフキドヌシが
08-256 ユエオトフ ハルナコタエテ
なぜ反乱を起こしたのかと聞くと、ハルナの首領が答えた。
08-257 ヤツカレニ ネノマスヒトガ
「やつかれにネのマスヒトが
08-258 ヲシエケリ イサオシナラバ
教えてくれた。功績を立てたら
08-259 クニツカミ コレソサノヲノ
国の守にしてやる。これはソサノヲの
08-260 ミコトナリ トキニイフキド
お言葉だと」。そこでイフキドヌシが
マフツナラ カンガミントテ
マフツの鏡に照らせば、言っていることが本当かどうか分かるだろうと、
【マフツナラ カンガミン】 マフツの鏡は写されたものの裏が見えるので、嘘も見抜けると考えられていた。17綾本文076以降を参照。
ミカガミニ ウツセバフツク
鏡に写ったハタレ達を観察すると、ことごとく
【フツク ツバサアリ】 銅鏡のような金属で作られた鏡にどのように映ったかは定かではないが、意識を集中して観察することには役だったのではないか。悪い人間だと感じたことを「ツバサアリ」と表現したのではないだろうか。現実的に訳そうとすると大変難しい。
08-263 ツバサアリ イフキトイワク
翼を持つヌエアシモチだと感じた。イフキドヌシが言った。
コノハタレ ヌヱアシモチゾ
「このハタレ、ヌエアシモチだぞ。
【ヌヱアシモチ】 詳細は不明だが、得体のしれない怪物や悪魔のことか。
08-265 バケワザニ タブラカスモノ
人を騙す技でたぶらかす者は
08-266 ミナキラン トキニクスヒガ
みな切ってしまおう」。そこで、クマノクスヒが
クマノカミ マネケバカラス
熊野の宮のシイを枯らす役人を呼ぶと、役人が
【カラス】 6綾本文125に「シコメガシヰオカラスカミを祭るとカラスが群れてきた」とある。ここではその役人をカラスとよび、シヰを枯らす、すなわち悪い心をよい方へ導く役人と解釈した。
08-268 ヤツキタル ココニハタレノ
八人来た。そこでハタレの
チオシボリ チカヒトドメテ
それまでの悪い心を取り除き、悪いことをしないと誓約させた。
【チオシボリ】 「チ」は血ではなく霊(チ)。この時代の人々は心の働きに霊的なものを感じていたのであろう。「チオシボリ」で、悪い心(精神)を取り除くとした。この後、「チオソソグ」とあり、これはよい心を与えること、すなわち、正しい生き方を教えることとした。
08-270 ウシオアビ カゲウツストキ
そして、ハタレ達に海水で禊ぎをさせ、彼等の影をマフツの鏡に写して、
08-271 ムマスタリ ヒトナルハミナ
ほとんどのハタレは真人間になったと確信した。彼らはみな
08-272 タミトナル サキノツツガノ
アマテルカミの民となった。以前牢屋に入れた
08-273 ムハタレモ ハルナガモノマ
六人のハタレの首領とハルナのハタレ達
08-274 ヰチタリト クニアズケヨチ
五千人と、各地に預けたハタレ四千人とを
08-275 ミナメシテ チオソソクトキ
みな連れてきて、正しい生き方を教えた。
08-276 キクミタリ スグニキツネノ
しかしキクミチの三人の首領には
08-277 カゲアレバ ナモミツキツネ
まだハタレの影があった。そこで、「三つギツネ」と呼び、その手下の
ミソミヨロ タマタチセンオ
大勢のハタレを殺すことになった。そのとき
【タマダチ】 魂(タマ)を絶つ。悪い魂を断ち切ることだが、それは殺すことでもある。この後、アマテルカミの言葉にも出てくるが、「殺しなさいは」直接的過ぎるので「処罰」とした。
08-279 カタガコフ モロユルサネハ
カダが、ハタレの命を助けるように願い出た。皆が承知しなかったので
08-280 カタノカミ ナナタビチカフ
カダが七度も、自分が責任を持つと
08-281 ノリコチニ ヤヤユルサルル
誓うと、アマテルカミの一言でやっと許された。
ミコトノリ ミツヒコガコト
アマテルカミが言われた。「三人の首領と
【ミツヒコ】 「3人の男」くらいの言い方か。この3人は「アニヒコ、ナカヒコ、オトヒコ」と名付けられる。
モロキツネ ウケノミタマオ
すべての配下の者どもに田畑の作物を
【ウケノミタマオ マモラセヨ】 ハタレに突然神を守る仕事をさせたのではなく、鳥を追ったりして田畑の作物を守るような仕事をさせたと考える。
08-284 マモラセヨ モシモタガハバ
守らせよ。もしも言うことを守らなかったら
08-285 スミヤカニ タマタチナセヨ
その時は速やかに処罰せよ。
08-286 コノユエニ ナガクナンチニ
これによって、末永く汝に
08-287 ツケルナリ アマツミコトノ
従わせよう」。カダはアマテルカミの
08-288 オモムキオ ツゲテアニヒコ
配慮を告げて、兄彦を
08-289 ココニトメ ナカハヤマシロ
ココ沢に留め、中彦は山背の
08-290 ハナヤマノ オトハヒガシノ
ハナヤマ野に、弟彦は東の
08-291 アスカノエ キツネモミツニ
アスカ野に分け置いた。配下の者も三つに
08-292 ワケユキテ タハタノトリオ
分け、それぞれの場所に行かせ、そこで田畑の鳥を
08-293 オワシムル ウケノミタマト
追わせた。それからウケノミタマと
08-294 ウケモチモ カタノカミナリ
ウケモチもカダが祭るようになった。
08-295 シムミチモ ヰソラヰヅナモ
シムミチやヰソラやヰヅナ達も