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15-000 15ミケヨロヅナリソメノアヤ
諸々の食べ物の始まりの綾
15-001 アメツチモ ノトケキトキニ
世の中が大変のどかで平穏な時、
15-002 アマテラス カミノミユキノ
アマテルカミは御幸をされた
フタミカタ ミシホオアビテ
二見浦で海の水を浴びて
【フタミカタ】 現在の二見浦と思われる。
15-004 ミソギナス トモノクスヒガ
禊ぎをされた。供をしていたクマノクスヒが
15-005 イブカサオ アメニモフサク
なぜ禊ぎをするのか不思議に思い、アマテルカミに申し上げた。
チチミカド ヤフサクルマノ
「父帝は八房飾りの車に乗られて
【ヤフサクルマ】 屋根から房が下げられているアマカミの乗る車。この房が四隅に2本ずつか、八角の屋根なのか、房の意味するところは何かなどは不明。アマカミ(後の天皇)が儀式のときかぶる冠にも房が垂れているが、神とのつながりのような意味があるのだろう。
15-007 ミユキナス カミモケガレノ
御幸されていますが、アマカミも穢れるなどということが、
15-008 アルヤラン トキニアマテル
あるのでしょうか」。すると、アマテルカミが
15-009 ミコトノリ ナンチヌカタタ
話された。「汝ヌカタダよ、
15-010 モロモキケ ワガウマレネニ
皆も良く聞くがよい。吾は生れついて
15-011 アカモナク アヲウケウマレ
汚れがなく、天から命を受けて生れ、
15-012 ネハキヨク ウクメクタミニ
生まれながらに清かったのだが、うごめく民の様子に
15-013 メモケガレ アシキウタヱニ
目も穢れ、悪いことを聞かされて
15-014 ミミケガレ ハナモチナラヌ
耳も穢れ、そのうえ鼻もちならない
ヲシヱグサ ヲサメサトセル
臣の、民への教えを正し諭してきた。
【ヲシエグサ】 「クサ」は、たぐい、種類。「ヲシエグサ」は、いろいろ教えていること。
15-016 ココロバノ ムハシソソギテ
禊ぎは、心を穢す六つの入り口である目・耳・鼻をそそぎ
ミオシラゲ ヒヲネニカヱル
身を清くして、日の輪から生まれたときの清い身に戻り
【ヒヲネニカエル】 「ヒ」は日の輪、太陽。「ヲ」は「メ・ヲ」の「ヲ(陽・日・男・夫)」。「ネ」は元、根。日の輪から生まれたときの清い身に戻ること。
カンカタチ ケノシシハメハ
神としての穢れのない姿になるのだ。毛の生えた生き物の肉を食べれば
【カンカタチ】 本文010でアマテルカミは生まれながらに清かったと述べている。その生まれてきたときの神のように穢れのない姿を言っている。
15-019 シムケガレ ヨツナルシシハ
血が穢れる。特に獣の肉は
ガホスギテ チヂミケガレテ
悪い『ホの元素』が増えすぎて、体が縮み穢れて
【ガホスギテ】 「ガ」は悪いこと。「ホ」は人体を作る5元素のひとつ。この後に出てくるが、獣は4元素でできており、獣の「ホ」は人間にとっては悪いものと考えられていた。
15-021 ミモカルル タトエハニゴル
死んでしまう。例えば濁った
15-022 ミヅカワク シシモニゴレハ
水が渇いたときのように、獣の肉も穢れているので
カワキツク キヨナオハメハ
食べると後に穢れが着くのだ。清浄な野菜を食べれば
【キヨナ】 獣肉との比較の上でいう清浄な野菜。
15-024 チモキヨク ウシホノゴトシ
血も清くなり、海の水のようになる。
15-025 ヨヨタモツ アメノウムタミ
代々続く天からの授かりものの民を
15-026 コノコトク ナガイキミント
我が子のように思い、長生きをしているのを見たく、
15-027 クイモノノ ヨシアシワクル
食べ物の中で良いものと悪いものを分けたのである。
15-028 ナリソメオ モロタミキケヨ
その始まりを、民達よ、聞くがよい。
15-029 アメツチノ ヒラケルトキノ
天地開闢の時の
15-030 ヒトイキガ メヲトワカレテ
アメミヲヤの初めの一息が、メとヲに分かれて
15-031 ヲハアメニ メハツチトナル
ヲは天になり、メは大地となった。
15-032 ヲノウツホ カセウミカセモ
ヲのウツホは風を生んで、風も
ホトワカレ ウヲセノムネハ
火と分かれ、ヲの三元素は
【ホトワカレ】 本文029からの話は、14綾の本文032からのアマテルカミの話と同じことが語られている。「ホトワカレ」は「ホオウミテ」と意味は同じ。
【ウヲセノムネ】 「ウヲセ」は「ヲセ」と同じ。14綾解釈ノート043参照。
ヒノワナル イメノミナモト
日輪となった。メの二つの元素は
【イメ】 「メ」と同じ。
15-035 ツキトナル ツチハハニミヅ
月となった。大地は土と水に分かれ、
15-036 カツハニハ ヤマサトトナル
その上、土は山や里になった。
ハニウツホ ウケテバハイシ
土にウツホが作用して汚れたものは石になり
【バハイシ】 「バ」は土の汚れたところ。濁点が付くとよくない意味になる場合が多い。
スガハタマ ヤマニウツホノ
清らかなものは玉となった。山にウツホが
【ヤマニウツホノ トホリナル】 この頃の科学。ウツホ(空気)は目に見えないが物に作用する力があると考えられていたのだろうか。玉石や金銀などの鉱物ができるのは、ウツホが土や山に作用したと考えたのであろう。
トホリナル アラカネノアハ
透ってできた粗金の、はじめにできる物は
【アラカネノアハ スズナマリ】 「粗金の『ア』は錫や鉛だ」とはどういうことか。この「ア」は「天、初めてのもの、上の方向」(池田満著、ホツマ辞典)ということを手掛かりに考えると、金属の中では初めに熔け出ることを知っていて、初めにできた物と考えたのだろうか。
15-040 スズナマリ スガハハキカネ
錫や鉛で、きれいな土は金や
15-041 シシロカネ ウビニアカガネ
銀になる。泥の赤いものは銅となり
15-042 バクロカネ ソレハギハキニ
汚れた土は鉄となる。木も、同じように榛の木は黄色、
15-043 キリハシロ ヒノキハキアカ
桐は白、桧は黄赤、
15-044 クリハクロ デルアラカネオ
栗は黒色をしている。出てきた粗金を、
タタラナシ フイゴニネレヨ
ふいごを踏み、風を送り精錬しなさい。
【タタラナシ フイゴニネレヨ】 「タタラ」は足で踏む大きな鞴(フイゴ)。「フイゴニネレヨ」と続くので、「タタラ」はふいごそのものを指すのではなく、「タタラナシ」は鞴を足で踏む動作をいうと解釈した。「フイゴニネル」とは鞴で風を送り、炉で精錬すること。
15-046 ハニウクル ウツホアメミツ
土が空気や雨水を受けると