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19-091 19(下)ノリノフミテルタエノアヤ
馬の乗り方の文、照妙の綾
19-092 フソヰスス モモミソヱタノ
二十五スズ、百三十枝、
19-093 トシサナト ハルノハツヒニ
サナト、一月一日に
19-094 ヨノヒツギ ミコオシヒトニ
君の位を皇子のオシヒトに
ユツリマス アメヨリイセニ
譲られたアマテルカミは、タカマを伊勢の宮と改めて
【アメヨリイセニ オリイマス】 11綾本文060以降で、アマテルカミは皇子のオシヒトに譲位の詔を多賀の宮でカスガマロを勅使として伝えている。「アメ」はアマテルカミが君の位にあった時の伊勢の呼び方で「タカマ」と言われる所。譲位した後は「タカマ」ではなくなったので伊勢と呼んだのだと解釈した。
19-096 オリイマス トキニシラスミ
過ごされた。その折、筑紫の国の
オオクマド ヒツメアオコマ
オオクマドが青毛の駿馬をアマテルカミに
【ヒツメアオコマ】 「ヒツメ」は蹄または駿馬のことをいう。ここでは駿馬。「アオコマ」は青毛(青みがかった黒い毛色)の馬。
19-098 タテマツル カミオモシロク
差し上げた。アマテルカミは嬉しく
19-099 オボスレバ クマトニタマフ
思われ、オオクマドのために
19-100 ミアエニハ ヌエアシモチガ
宴を開き、ヌエアシモチの毒で
ガサクサモ ゴゲウハコベナ
できものや湿疹ができるのを防ぐ、ごぎょう・はこべ
【ガサクサ】 「クサ」は「瘡」、できもの、湿疹。「ガサ」は不明だが、かさぶたの意か。
19-102 イタヒラコ ススナススシロ
たびらこ、すずな、すずしろ、
19-103 スセリナヅ コノナナクサニ
せり、なずなの七草で
ノゾクナリ サクラバナレバ
もてなした。桜の花が咲くころ、
【サクラバ】 「桜の花が咲くころ」と素直に訳すとこうなるが、14綾本文174に出産に関して「サクラノババ」という言葉があり、この意味に関連付ければ、「馬の飼育から出産までを扱えるような馬屋・馬場ができた」ともとれる。私はこちらの訳も捨てがたいと思っているが、いかがだろうか。
マタノモチ コカネヒツメノ
再び望の日に毛並み輝く駿馬の
【マタノモチ】 この望の頃に桜が咲いているとすると、現在の3月下旬から4月上旬。陰暦は現在の暦とはその年でずれが大きく違うが、この日を現在の3月末とすると、桜が咲いていてもおかしくない。すると「マタノモチ」の前の望の日は現在の3月上旬となり、その日にオオクマドが青毛の駿馬を献上したのではないか。そのころなら七草は十分にあったであろう。
【コカネヒツメ】 「コカネ」は黄金色の意であろうが、黒い色が輝く様子を言っているのではないか。
19-106 クロコマオ タカギガヒケバ
黒駒をタカギが引いてきて
タテマツル ミツホマナヰニ
アマテルカミに差し上げた。アマテルカミはミツホの宮や真名井に
【ミツホ】 文字通り「ミツホ」とすると、琵琶湖東南岸にニニキネが造った都のことと考えられるが、オシホミミが即位した頃に、ニニキネが都を開いてはいなかったと思われる。他の伝本に「ミツボ」とあり、「ミ」が数詞になっているのを採用し、三つのツボとした。アマテルカミは、退位後、ヒタカミのオシホミミの宮やハラミ、オウミの3か所のツボ、トヨケの祭られている真名井などに馬ででかけたのだろう。
ノリミユキ シバシバマツリ
馬に乗って御幸して、たびたび政を
【シバシバマツリ キコシメス】 アマテルカミは譲位後もオシホミミ、ニニキネ、ホオデミ、ウガヤフキアワセズの代まで生存し、政の助言や表彰などをしていた。
キコシメス コレソラクモリ
行った。このことによって世の中が
【コレソラクモリ アラザリキ】 これは単に天気のことを言っているのではなく「アマテルカミがたびたび行幸されたので、政がうまくいかないことはなかった」ということを言っていると考える。
19-110 アラザリキ トシヘテノチニ
よく治まった。何年か後
19-111 ニニキネノ ミユキホヅマノ
ニニキネはホツマに御幸し
ニハリナル ノリノリメセバ
新治の宮を建てた。ニニキネが乗馬術を習いたいと言ったので、
【ニハリナル】 21綾本文010にニニキネが新治の宮を建てたことが書かれている。
19-113 ヲバシリガ ワザオウケタル
ヲバシリに乗馬術の教えを受けた
19-114 タカヒコネ ヂミチハヤスク
タカヒコネが教えた。「並み足は易しく
19-115 アレイヅノ ワザハヱカタキ
荒れ乗り、厳乗りの技を得るのは難しいです。
19-116 モモチタビ トトノエネリテ
百回、千回も確実にできるよう練習して
19-117 コレオウル マヅシルムマノ
この技を会得できるのです。まず、馬の
19-118 ウマレツキ アラマシトカン
種類による性格を知ることです。概略説明しましょう。
19-119 ヒタカミハ シシタクマシク
ヒタカミの馬は肉付きが逞しいが
19-120 ユルヤカデ ヤヤヒトトシニ
調教するのに時間がかかって、やっと一年で
19-121 ノリナルル ヂミチノノチハ
乗りこなせるようになります。並み足の次は
19-122 アレノリヤ ツクシノムマハ
荒れ乗りの練習をします。筑紫の馬は
19-123 スコヤカニ ユルクナルルモ
丈夫で、ゆっくり慣れるのですが
19-124 トシナカバ ハセイツカケモ
半年くらいで走り、厳乗りも
19-125 ナカナレヤ マタコシクニハ
ある程度できるようになります。また、越の国の馬は
19-126 タクマシク シシナカナレニ
逞しいので、肉が十分に付いていないうちに
19-127 イソグユエ ミヨツキナレテ
先を急いで、三、四か月ほどの調教で
19-128 イツカケモ ナレトイソグハ
厳乗りもできるようにしようとするのは
19-129 アヤシアリ ミナミノムマハ
危険です。南の馬は
19-130 チイサクテ トシナレハヤク
小さくて一年ほどで早く調教できますが
19-131 ネガウスク イサオシナラス
気性が弱く、立派な仕事はできません。
19-132 シカシマタ ツヨキヨハキモ
しかしまた、強い弱いも
19-133 タネニヨリ ケイロニワカツ
親馬によります。毛色の違いによる
19-134 ヨシアシモ ソタチニヨリテ
善し悪しも、育て方によって
19-135 シナカワル ヨクノリナレテ
程度が変わります。よく乗りなれると
19-136 コレオシル ムマモチユルハ
こういうことが分かります。馬を使えば
19-137 イナムシカ ヒミヅノナセル
稲虫の害や火事、大水などの
19-138 ワザハヒモ ハヤノリナシテ
災いも、馬で早く駆けつけて
19-139 ノゾクナリ モシノリオカス
除くことができます。もしも規則を破る
19-140 モノアレハ テニハツルギオ
者がいたとすると、手には剣を
19-141 モツユエニ クツハノツナハ
持つので、手綱は