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トシノリニ ヤシロタマワル
そこでトシノリ神の社も建ててヲマサキミに与えた。
【トシノリニ ヤシロタマワル】 トシノリ神に与えたのではなく、神を守るウツロヰに与えた。「トシノリ神」は「トシノリタマメ神」暦(キアヱ暦)そのものを指す。
21-232 ミツガキオ ナオスタクミラ
瑞垣を直している匠達が
21-233 ウツロヰノ ヤシロギアレハ
ウツロヰ神の憑代の樹があるのを
21-234 オソルルオ ヲコヌシホカノ
恐れているので、ヲコヌシはウツロヰ神を、一時他の
21-235 キニウツシ ツクロヒナリテ
樹に移し、修理が終わって
21-236 マタモドス コレカリウツシ
また元に戻した。これは仮移しなので
サワリナシ マタウツロヰノ
ヲマサギミは騒がなかった。また、ウツロヰのヲマサキミは
【ウツロヰノ】 「ウツロヰノ」はウツロヰのヲマサギミのこと。ここから3行、「ツキマモル」まではとても難解で、この訳が本来の意味かどうかはむずかしいところである。どなたかにより良い訳にしていただきたい。
ヤマサモリ ヱトノホニヨリ
ヤマサ神の守として暦の一日一日に合わせ、
【ヤマサモリ】 「ヤマサ神を守る役」と考え「ヤマサ神の守」とした。ヤマサ神は22綾本文031からの8神。
【ヱトノホニヨリ】 「ヱト」はこの場合、暦。「ホ」は1年、「その1日1日のヱト神に合わせて」ということ。
ツキマモル シカレドアラヤ
日々祭っていたが、新しい小屋を
【ツキマモル】 「ツキ」を「ツギ」と読み、「日を継いで」と解釈した。
【アラヤ】 新屋。本文050に「ワガニイハリノ アラヤタツ」とあり、それは間違いなく「新宮」だが、この「アラヤ」は続きを読むと、厠であり、肥溜めでもあるようだ。新しく建てるのはどれも「アラヤ」と言ったのだろうか。
21-240 ツクルトキ ツヨクトガムル
造ろうとした時強く非難した。
21-241 コレニヨリ マタヲコヌシニ
このことがあったので、ニニキネはまたヲコヌシに
21-242 トハシムル ヲコヌシイワク
訳を聞かせた。ヲコヌシが言った。
21-243 ナンヂマタ タミノアラヤオ
「汝はまた、民のために新しい小屋を造るのを
21-244 トガムルヤ ウツロヰコタエ
なぜ非難するのだ」。ウツロヰのヲマサキミが答えた。
ヲタフセス ニワヤケガレオ
「汚いものの小屋を作って、厠の汚いものを
【ヲタフセス】 「ヲ」は「ヲエ」、汚れ。「タフセ」は田の中に作った仮小庵(広辞苑)。これにより「汚れた仮小屋」、すなわち「厠を兼ねた肥溜めを作った」と考えた。
【ニワヤケガレオ】 解釈ノート253の「カレニワヤ」参照。
21-246 ワレニタス ユエニトガムル
我に守らせようとするのです。だから咎めたのです」。
21-247 ヲコヌシガ モフセハミコト
ヲコヌシがニニキネに申し上げると、ニニキネはヲマサキミに話された。
21-248 コレナンヂ モリハナルルオ
「これ、汝は自分の役目を追われるところを
21-249 ワレコフテ マタモリトナス
我がアマテルカミに願い、また元の役目とさせたのではないか。
21-250 ワガタミオ ユエナクトガム
それなのに、我の民を訳もわからず非難したな。
21-251 タミハタオ コヤシソロウユ
民は田畑を肥やして作物を植えるのだ。
21-252 ナンヂシレ コワオニワトス
汝も、やせ地を肥やして田畑に変えるということを理解しなさい。
カレニワヤ シラテケガルヤ
だから、厠をニワヤと言うのだ。それを知らないで穢れるというとは何事だ。
【カレニワヤ】 直接「ニワヤ」が「厠」だとは書かれていないが、直ぐ前にある「田を肥やして作物を植える」「やせ地を田畑に変える」に続いて「だからニワヤと言う」ということと「ヲタフセス ニワヤケカレ」と合わせると「タミノアラヤ」は「厠を兼ねた肥溜め」としか考えられない。
21-254 コレニヨリ アヱヨリヤヱノ
そういうことだから、アヱの日からヤヱの日までの
21-255 ナカヰツカ モリオハナレテ
五日間、役目を離れて
21-256 アソビユケ コノマヰツカニ
好きなことをしていなさい。この間の五日間で
21-257 ヤツクリス コレモナンヂガ
小屋を造ろう。これも汝の
21-258 ナノホマレ イナハホトント
ウツロヰノオマサキミという名の名誉によるのだ。もし厭ならばほとんど
21-259 ウツロヰノ モリヤハナレン
ウツロヰ神を守る役目は無くなるぞ」。
21-260 コレニヨリ タミオサマリテ
これで民は安心して仕事ができた。
21-261 ムヨロトシ ツクバノミヤニ
ニニキネは長い年月を経て、筑波の宮に
21-262 ウツリマス マタムヨロトシ
遷られた。また長い年月の後、
21-263 フタアレノ ヰヅノカミトテ
二荒のヰヅの神として過ごし、
21-264 ムヨロトシ ヘテマタモトノ
さらに長い年月を経て、また元の
21-265 ニハリミヤ ヰツヲヲカミノ
新治の宮に戻られた。ヰツ大神の
21-266 コトオオイカナ      
業績のなんと立派なことであろう。