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【コトミ】
「小臣」という役職があったかどうかは定かでないが、下級の役人のことではないか。
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政の道を守れよ。我が身のための
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八重垣の剣でもあるのだ」。
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すると続けて、大物主が
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聞いた。「ハタレを退治した時の
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お話をもう少しお聞かせください」と聞くと、アマテルカミが
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話された。「ハタレの戦法で
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近づけなかったとき、弓矢で攻撃して
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近づき、相手の太刀を振り払い
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味方を守ったのが八重垣の剣である」また大物主が聞いた。「君は国中の民を
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治めておられますので、『八咫の剣』という名前にしてはどうでしょうか」。
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アマテルカミが言われた。「鏡は八民の
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心を入れる入れ物だから
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八咫鏡と言うが、剣は悪い者を
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近づけないので、八咫とは付けられないのだ」。また聞いた。「八重垣の
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八重とはどういう意味ですか」。君はにっこりして
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答えられた。「よくぞ聞いてくれた。
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その八重というのは、次のようないわれがあるのだ。昔、二尊が
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国を治めていた時、民に言葉について教えられた。
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アワ歌の『ア』は天と父、
【ヤハワガミナリ】
「ヤ」は、父と母の関連で考えると、「ヤヤ」(児、稚児)の短縮で、ややこ、赤ん坊のことと考える。誰もが父母の子どもなので、教えを受けている人自身のことだということか。
【ノドヨリヒヒク ハニノコエ】
「ノドヨリ」を「声に出して」、「ヒビク」を「人に伝わること」と解釈した。「ハニノコエ」は「地上の声」すなわち「地上の人々の言葉」とした。
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人々の言葉なのである。それは国を治めるための
【アワハアワクニ】
5綾本文008以降に、社会を形作るための基礎となる人々の言葉を伝わりやすくするため二尊がアワ歌を教え、そこがアワ国になったことが書かれている。
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また『ヤ』は国中の民を
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表わす『八民』のことでもある。『ヤ』は家のことも意味する。
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『タ』は治めることを、『ミ』は我が身のことを意味する。
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二尊がアワ国の宮で八州を
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治めたが、『ヤ』は単に『八』ではなく
【カサヌルフシ】
「フシ」は注目すべき点。「意味」は意訳。
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八重垣の『八重』という言葉なのである」。すると、大物主が
【ムカシモノヌシ タマワリテ…】
大物主は右の臣(剣の臣)に任じられ、八重垣の剣を預けられた。ソサノヲの子に始まる大物主系は八重垣の剣を受け継ぎ、24綾本文055と059に大物主が「ツルギオミ」「カキオミ」と呼ばれていることから「八重垣の臣」とも言われたと考える。その「八重垣」という言葉の深い意味が分からなかった。
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賜ったとき、よくよく考えても
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まだ理解できませんでしたが、今ようやく
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理解できました。この八重垣という名前は
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物部にふさわしい名前だと、
【ヲニコタユ】
「ヲ」は「タマ・シイ・ヲ」の「ヲ」。ここでは「命」ということから意訳した。
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末々までお守りする垣であることを自分の天命とします」と
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誓った。するとまたアマテルカミが言われた。
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「なるほど。クシヒコ、汝は
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ニニキネよりヲコヌシカミという名を
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賜ったけれど、まだ足りない。吾が
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二尊から賜った逆矛を、
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幸いなことにその機会を得たので
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汝に譲ろう。生まれついての真っ直ぐな性格は
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ヤマトの道の教えに適っている。
【ヲキ】
広辞苑に『「堡」(「小城」の意)土や石で造った防御のための城塞』とある。
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授ける褒め名はヤマトヲヲコノ
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ミタマカミとする」。するとクシヒコは
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恐れ伏して、しばしの間応えることができなかった。
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物部たちは「どうぞお受けください」と
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勧めたが、まだクシヒコがうなだれているので、