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キミヤスク キサキモオエテ
君も心安らかであった。妃達も御子を産んだ。
【キサキモオエテ】 「オエテ」が意味不詳。「生えて」くらいしか読めず、ここでは、この後の記述に合わせて「妃の御子も生まれて」と解釈、訳は妃を主語とした。
34-097 スケヤサカ トイチニモフデ
スケ妃のヤサカ姫がトイチに行ったとき
34-098 ウムミコハ トチニイリヒメ
産んだ皇女はトチニイリ姫である。
34-099 フソムトシ ネツキハツヒニ
二十六年十一月一日に
34-100 ミマキヒメ シギニウムミコ
ミマキ姫が磯城で産んだ皇子は
34-101 トヨキヒコ イミナシキヒト
トヨキヒコ、諱シギヒトである。
34-102 フソコトシ ハツヒヲウトニ
二十九年一月一日、ヲウトに
34-103 キサキマタ ウムミコイクメ
后がまた産んだ皇子はイクメ
34-104 イリヒコノ イムナヰソサチ
イリヒコ、諱ヰソサチである。
34-105 ミソヤトシ アキハヅキヰカ
三十八年秋、八月五日に
34-106 キサキノト クニカタウチメ
后の妹でウチ妃のクニカタ姫が
34-107 ウムミコハ チチツクワヒメ
産んだ皇女はチチツクワ姫である。
34-108 ヨソムツキ スエヤカコウム
四十年一月二十八日に産んだ皇子は
34-109 イカツルノ イムナチヨギネ
イカツル、諱チヨギネである。
34-110 ヨソヤトシ ハツソカヲアエ
四十八年一月十日、ヲアエに
34-111 トヨギミト イクメキミトニ
君がトヨ君(トヨギヒコ)、イクメ君(イクメイリヒコ)とに
34-112 ミコトノリ ナンヂラメグミ
言われた。「汝たちへの愛情は
ヒトシクテ ツギシルコトノ
変わらないので、後を継いだらどのようにするのか
【ツギシルコトノ ユメスベシ】 夢と言っても、「将来の夢」すなわちビジョンを考えろということであろう。
34-114 ユメスベシ トモニユアミシ
夢を見よ」。二人とも身を清めて
34-115 ユメナシテ トヨギモフサク
夢を見た。トヨギヒコが言った。
34-116 ミモロヱニ キニムキヤタビ
「三諸山の上で東を向いて八度
ホコユケシ イクメモフサク
矛を突く夢を見ました」。イクメイリヒコも言った。
【ホコユケシ】 この場面の他に「ホコユケシ」の解釈のヒントになる記述がなく、広辞苑に「ホコユケ」として「矛をあやつって突きやること」とあるのみだが、出典は崇神紀。「ヤタビ」と続いているので、この解釈で間違いないだろう。
34-118 ミモロヱニ ヨモニナワハリ
「三諸山の上で四方に縄を張り
34-119 スズメオフ キミコノユメオ
雀を追う夢を見ました」。君は二人の夢を
34-120 カンガエテ アニガユメタタ
比べて考え、「兄の夢はただ
34-121 ヒガシムキ ホツマヲサメヨ
東を向いているだけなので、東国のホツマを治めさせることにする。
34-122 オトハヨモ タミオヲサムル
弟の夢は四方に向かっているので民を治める
34-123 ヨツギナリ ウソコカツミエ
世継ぎとする」と言われた。四月十九日ツミエに
34-124 ミコトノリ ヰソサチタテテ
詔を下し、ヰソサチを
34-125 ヨツギミコ トヨギイリヒコ
世継ぎ皇子とした。トヨギイリヒコは
34-126 ホヅマツカサゾ      
ホツマ司とした。
ミマナノアヤ       
任那の綾
【ミマナノアヤ】 なぜ、わざわざ「任那の綾」と章立てして挿入されているのだろうか。外国の話だということだからだろうか。何かその他に理由があるのだろうか。「コレノサキ」以降の挿話も前後とどのようなつながりがあるのか分からない。面白い話があったので区切りの所へ挿入したのだろうか。
34-128 ミヅカキノ ヰソヤホハヅキ
ミヅカキの五十八年八月に
34-129 ミユキシテ ケヰオオカミニ
ミマキイリヒコは行幸して食飯大神に
34-130 モフテマス モロイワフトキ
参拝された。諸臣が神を祝っている時
34-131 ツノヒトツ アルヒトココニ
角が一つの被り物を被った人が海岸に
34-132 タタヨエリ コトバキキヱズ
船で漂着した。言葉が何を言っているのか分からなかった。
ハラノトミ ソロリヨシタケ
ハラミの宮の臣のソロリヨシタケが
【ソロリヨシタケ ヨクシレバ】 みなが分からない、漂着したカラ国の言葉を知っているということは、ソロリヨシタケは渡来人であろう。
34-134 ヨクシレバ コレニトハシム
その言葉をよく知っているので、ソロリヨシタケに聞かせた。
34-135 ソノコタエ ワレハカラクニ
その人は「我はカラ国の
34-136 キミノミコ ツノガアラシト
君の王子で、ツノガアラシトといいます。
34-137 チチガナハ ウシキアリシト
父の名はウシキアリシトです。
34-138 ツタヱキク ヒシリノキミニ
伝え聞いている聖の君に
マツラフト アナトニイタル
従おうと、穴門に来ました。
【アナト】 関門海峡の古称、または長門の国の古称。
34-140 ヰツツヒコ トミニイワクハ
ヰツツヒコが我に言うには、
34-141 コノクニノ キミハワレナリ
『この国の君は我である。
34-142 ココニオレ ヒトナリミレバ
ここにいなさい』ということでしたが、その人の様子を見ると
34-143 キミナラズ サラニカエリテ
君のようではありませんでした。いったん帰って、改めて
34-144 ミヤコチト ウラシマタツネ
都へ行こうと、浦や島を訪ねて
34-145 イヅモヘテ ヤヤココニツク
出雲を経てやっとここに着きました。
34-146 カミマツリ キミココニアリ
神祭りがおこなわれていて、ここにおられるのが君だと分かりました」。
34-147 カレツノガ メシテツカエバ
そこで、ツノガアラシトを召して使うと
34-148 マメアリテ ヰトセニタマフ
忠実に働いたので五年目に
34-149 ナハミマナ カソミネニシキ
「ミマナ」という名を授けた。たくさん積み上げた錦を