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08-050 カンチカラ ヨクモノシルハ
アマテルカミの御心に沿う力がわいてきます。よく状況を見極めることが
08-051 カントホリ コトナフタモツ
アマテルカミの御心が通じて、むだな争いが起きない、
08-052 クシヒルゾ タダヤワラギオ
アマテルカミの御威光に沿う最善の方法です。ただただ優しく接することが
08-053 テタテナリ カミノミココロ
最良の手立てなのです」。アマテルカミの御心は
ウルハシク ミソギツカサオ
晴々とし、禊ぎ司を
【ミソギツカサ】 兵士が戦に出かける前に禊をしたのか。その禊ぎを取り仕切る役か。
08-055 カナサキニ フツヌシソヱテ
カナサキに命じた。そして、フツヌシと
08-056 ミカツチモ イサオシアワセ
タケミカツチの勇猛な二人も一緒に
ウタシムル アマノカコユミ
ハタレを討ちに行かせることにした。天のカコ弓に
【アマノカコユミ ハハヤソエ】 広辞苑でも『「カコユミ」(鹿児弓)は鹿を射る大きい弓、「ハハヤ」(羽々矢)は威力のある矢、または羽の広く大きな矢か』(神代記)となっており確たる資料はない。
08-058 ハハヤソヱ ハタレヤブレト
羽々矢を添えて、ハタレを破れと
08-059 タマヒケリ ムツノハタレハ
授けられた。六集団のハタレは
ヤマタアリ ココチツカサニ
それぞれ八つに分かれていて、九千人の長(オサ)がいて
【ココチツカサニ ナナハカリ】 「チ」は「千」、「ハカリ」は「十万」を表す。歳や年数だけでなく、この人数も誇張されていると考える。「大変多くの」とか「非常に多くの」のような意味として考える。
08-061 ナナハカリ ムレアツマリテ
七十万人も群れ集まっていた。
カキヤブリ ムラクモオコシ
彼らは境界を犯し、松明を振りかざしてやって来て
【カキヤブリ】 「カキ」は「垣」か「掻き」のような読み方ができるが、何かを破ったとすると「垣」のような意味ではないか。実際の「垣」ではなく、アマテルカミの支配下の土地とハタレたちが暮らしている土地の境界と解釈した。
【ムラクモオコシ】 人間の集団のしていることとして訳すと、「群雲を起こす」にあたる現象としては、「松明の煙をもうもうとあげながらやってくること」と想像した。以下、この綾ではそのような想像を働かせて読み替えてある箇所が多数ある。
08-063 ホノホフキ ツブテイカヅチ
火の粉をまき散らし、石つぶてを雷のようにバリバリと投げ、
08-064 クニユスリ タミオユスリテ
国中大騒ぎにさせ、民を脅かして
08-065 セメヨスル アマテルカミハ
攻め入った。アマテルカミは
08-066 サクナタリ ハヤカハノセニ
流れが急なハヤ川の瀬で
08-067 ミソギシテ ハタレヤブルノ
禊ぎをしてハタレを破る
08-068 マジナイノ タネオモトメテ
戦術の妙案を考えて
08-069 サツケマス モロカミウケテ
臣たちに授けた。臣達はこれを受けて
08-070 コレオウツ ハタレシムミチ
ハタレを討とうとした。しかしハタレのシムミチが
08-071 ナスワザニ ヤマカワアブレ
仕掛けた戦術で山からの川はあふれ
08-072 ウオロチガ ホノホオハキテ
たくさんのハタレが集まって大蛇のような火の帯を作って
08-073 オトロカス カナサキシバシ
驚かした。カナサキが一旦
08-074 タチカヱリ アメニツクレハ
宮に戻り、アマテルカミに報告すると
ヲヲンカミ タマフカダスス
アマテルカミは、水にさらした葛(クズ)の縄と
【カダスス】 「葛の縄」としたが、もっと別の訳があるかもしれない。「カダ」は辞典などで調べても適当な現代語が見つからず、わずかに9綾本文097~100の「カキノカタウツ…カタチハハナトクスノハオ」とあるのを手掛かりに「葛」と訳した。「スス」を「水にさらした葛の縄」とした根拠は、28綾解釈ノート387を参照していただきたい。クズを燃やした煤(スス)という解釈も見られるが、いずれにしてもこれらをどのように使って戦ったのかが分からない。
ワラビナワ カナサキウケテ
ワラビ縄を授けた。カナサキがそれを受けて
【ワラビナワ】 蕨の根で作った縄。
08-077 セメクチノ モロニサツケテ
先頭で攻めている者たちに授けて
マシナヱハ ハタレノモノノ
戦術通りに戦うとハタレの者たちの
【マジナヱハ】 何にどのように使うのか分からない縄に加えて、ここの戦いの描写は全く具体性がなく、私も情景が想像できない。
08-079 ワザナラス ニゲントスレト
戦法がうまくいかず、逃げようとしたが
08-080 カミイクサ カチテイケトル
アマテル軍は勝って、ハタレ達を生け捕りにした。
08-081 ハタレマオ カワクヒデリニ
ハタレ達を炎天下に
08-082 ツナキオキ ツイニイケトル
繋いで置き、ついにハタレの
08-083 ハタレカミ ツツガニオキテ
首領のシムミチを生け捕りにし、牢屋に入れた。
08-084 ミチモノマ シムニアツケテ
三千人のハタレ達はその地の一族に預けて
08-085 モロカエリケリ      
一同凱旋の途に着いた。
08-086 シカルノチ マタハヤキジハ
その後また急使者が来て
08-087 オオハタレ ネノタテヤマニ
大ハタレがネの立山に
08-088 アラハレテ アノニイタレハ
出てきて、アノに至ったと伝えたので
08-089 カミハカリ フツヌシヤリテ
諸臣が協議し、フツヌシを遣わして
08-090 コレオウツ トキニハタレノ
ハタレを討つことにした。フツヌシが行くとハタレの
08-091 イソラカミ ノヤマオカエテ
イソラの首領は、煙をもくもく出して
08-092 ムラクモヤ イクヒカガヤキ
野山の様子を変え、あちらこちらで火を赤々と燃やして
08-093 オトロカス トゲヤハナセハ
驚かした。イソラの首領が刺矢を放ち、
08-094 フツヌシガ テニトルトキニ
フツヌシが手で掴むと、
08-095 ユビヤブレ マヅハセカエリ
指を怪我した。まず急いで帰って
08-096 アメニツグ キミカンガヱテ
アマテルカミに報告した。アマテルカミは考えられて、
08-097 イソラミチ ヲコジトフキト
イソラミチに対しては、ヲコゼと蕗とを
08-098 タマワレハ フツヌシモロト
フツヌシに授けた。フツヌシは諸臣と
08-099 ユガケシテ サラニムカイテ
弓懸をして、再び向かって行き
08-100 ヤオモトム ハタレオモエリ
矢を射るように煽った。ハタレは
08-101 ヤニアタリ ヨミカエルカヤ
矢に当たっても蘇ったのかなと思い、
08-102 イタマヌカ フツヌシイワク
「痛くなかったのか」と言った。フツヌシは