先頭の番号が青い行は、クリックすると解釈ノートが見られます。
対訳ページの使い方の詳細はこちらのページをご覧ください。
チオヌキテ オシテニチカイ
改心させて、誓文に誓って
【オシテニチカイ】 ハタレは文字が読めなかったと思われるので、ここではアマテルカミの言葉に従うと誓ったとする。
08-297 シホアビテ ウツスカガミニ
海で禊ぎをさせたが、よくよく観察してみると、
08-298 ナオサルト オロチトミヅチ
その中にまだサルとオロチとミヅチの悪い心の
08-299 カゲアレハ ソソイデハゲヌ
ある者がいた。改心させようのない
08-300 モモミソハ スデニコロスオ
百三十人を殺した。
ミコトノリ キラバミノホニ
アマテルカミが「殺してしまったら、ハタレは生前の悪業で
【ミノホ】 本文039に、ハタレは「ヒビニミタビノ ナヤミ」があると書かれており、そのことかもしれないが、訳者はアマテルカミの作戦から「ナヤミ」を「空腹」とした。死んでからも空腹はおかしいし、「ヒトナルマデハ タスケオキ」というアマテルカミの言葉からも次のように考えた。ここでのホツマ文字の「ミ」は数詞だが、別の伝本では数詞になっていない文字もあるで、そちらを採用し、「身」と考え、「身を焼く炎」すなわち「生前の悪業」とした。
08-302 ナヤマンゾ ヒトナルマデハ
ずっと苦しむことになるぞ。真人間になるまで
08-303 タスケオキ ヒトナルトキニ
生かしておけば、真人間になった時は
カミノタネ ミネニアツケテ
吾の民となれるのだ」と言われた。峰に
【カミノタネ】 この場合の「カミ」はアマテルカミだけでなく、治めているすべての人々も指している。その仲間になれるということ。
08-305 ソノヲシテ ハタレマコチト
死んだ者たちの誓文を納めて、大勢のハタレと
08-306 タミコヨロ ウツムタカノノ
その支配下の大変多くの民を葬ったところはタカノの山の
タマガワゾコレ      
タマカワという所である。
【タマカワゾコレ】 「タマカワ」は詳細不詳。高野山辺りの川か。「タマカワ」を「魂変わる」と読み取ると、「高野山に葬ったハタレ達がアマテルカミの民として生まれ変わった所」とも訳すことができるのではないか。
08-308 チワヤヨリ アメヱノミチガ
チワヤよりハタレのアメヱノミチの首領が
08-309 ヲンカミニ コトカタラント
アマテルカミに話があると言って
08-310 ヨバラシム キミイフキトニ
呼びつけようとしたので、アマテルカミはイフキトヌシに
08-311 シツメシム イフキトヌシハ
鎮めるように命じた。イフキトヌシは
08-312 ミユキコシ ハタレガトワク
輿に乗って行った。ハタレが訊いた。
08-313 カンカミカ コタエテカミノ
「汝はカンカミか」。イフキトヌシが答えた。「アマテルカミの
08-314 ヤツコナリ マタトフヤツコ
家来だ」。ハタレがまた聞きかえした。「家来が
08-315 コシハナニ イワクナンヂオ
輿に乗るとはどういうことだ」。イフキトヌシは言い放った。「汝を
08-316 ヤコトセン ユエニノルナリ
家来にするためだ。だから輿に乗ってきたのだ」。
08-317 マタハタレ ナンヂワカバヱ
またハタレが「汝のような若造が
08-318 ハチミスル ヤツコトセント
わしに恥をかかせるのか。お前こそ家来にしてやるぞ」と
08-319 ナリメグル ハタタカミナリ
大声で雷のようにどなり散らした。
08-320 イフキトハ ウツロイマネキ
イフキトヌシは味方にも大声を出させて
08-321 コレオケス ムラクモオオイ
黙らせた。アメヱノミチは煙をもうもうと上げて
08-322 クラマセハ シナトオマネキ
目をくらませようとしたが、風上に回って
08-323 フキハラフ ホノホオハキテ
煙を吹き払った。さらにアメヱノミチが火を放って
08-324 ムロヤケハ タツタメマネキ
火事を起こしたけれど、兵に水をかけさせ
08-325 コレオケス ハタレムセンデ
これを消した。ハタレはむせんで
08-326 コノハシテ ツブテアラレニ
木の葉を礫にして霰のようにまき散らし
タミセメル ミカタヒレキテ
配下の民に攻めさせた。味方はヒレを着て
【ヒレ】 領巾、肩巾。広辞苑では「古代、波をおこしたり、害虫・毒蛇などをはらったりする呪力があると信じられた布様のもの」。このあと、悪いものを祓うヒレを、悪者であるハタレが着ていたので、イフキトヌシは驚いた。
08-328 カグイレテ ウチコホサセハ
橘の実を投げ入れてまき散らした。
08-329 ハタレマノ ウバイハムマニ
ハタレ達が奪い合って食べる間に
08-330 トリシハル ハタレモヒレシ
彼らを捕まえ縛った。また、ヒレを着けたハタレが
マハスバヰ ミテオドロケハ
バイ貝を回した。それを見てイフキトヌシは驚いたが
【マハスバイ】 「バイ貝を回す」とは具体的にどういうことであろう。昔バイ貝をコマとして遊んだとあるが、この場面では、それはない。ハタレがコマのように回るというのも考えにくい。バイ貝を紐の先につけてくるくる回して音を出したのではないか。それに対してホラ貝を吹いたとすれば筋が通る。
08-332 カンガヱテ ホラカヰフカセ
一計を案じ、ホラ貝を吹かせ
08-333 マヒレケシ カグムサホラセ
ヒレを着けたハタレ達の戦意を失わせた。橘の実を貪らせて
08-334 コレオウツ ハタレツチモテ
彼らも退治した。ハタレのアメヱノミチの首領は槌を持って
08-335 カミオウツ カミハニギテニ
イフキトヌシを襲ってきた。イフキトヌシは幣で
ウツツチノ ヤレテトヘラノ
槌を打ち払うと、槌は壊れてトベラの
【トベラノハウチワ】 「トベラ」はトベラ科の常緑低木。壊れた槌を、枝先で広がるトベラの葉のようになった羽団扇に見立てた。
08-337 ハウチワヤ ココニハタレガ
羽団扇のようになった。ここに至って首領が
08-338 ムナサワキ ニグルオツカム
動揺して逃げていくのを捕まえて
08-339 タチカラヲ ツイニワラビノ
タチカラヲはとうとう蕨縄で
08-340 ナワシバリ ナンヂヤツコト
縛った。イフキトヌシは「汝は当然家来に
08-341 ナスベキヤ ナルヤトイエド
なるべきだぞ。なるか」と言ったが
08-342 モノイワズ キラントスレハ
ハタレの首領は返事をしなかった。そこでタチカラヲが切ろうとしたが、
08-343 イフキヌシ トトメテコレモ
イフキトヌシは止めて、首領に
08-344 チカイナス ヒマスノモノマ
改心する誓いをさせた。大勢のハタレ達は
08-345 アヰヌカゲ ホノホモノガレ
アメヱノミチの首領の影響と恐怖から逃れることができて
チワヤフル カミノメクミト
チワヤのアメヱノミチを破ったアマテルカミの恵みと
【チワヤフル カミノメクミ】 チワヤにいたハタレのアメエノミチを破ったアマテル軍への感謝。後に「神」の枕詞として「千早振る」が使われることになった元か。
08-347 チチヲガム スヘテナナマス
みな何度も何度も拝んだ。大変多くの