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08-348 ココチミナ ヒトナルノリノ
ハタレ全員を真人間に戻す力を持つ
08-349 ミカガミト セオリツヒメノ
御鏡をセオリツ姫が
08-350 モチイデテ ノチノハタレノ
持ってこられた。この後もハタレが
08-351 ヒトトナル マフツノカガミ
真人間になるためにマフツの鏡を
ミルタメニ フタミノイワト
見ることができるようにと、岩に据えてフタミの岩と
【フタミノイワ】 「フタミ」は、二身と二見。自分の表と裏の二つの面を見ることができる鏡を据えた岩。
08-353 ナツケマス ヨヨアラシホノ
名付けた。それから長い間荒波に
ヤモアヒニ ヒタセドサビヌ
幾たび濡れても錆びることのない
【ヤモアヒ】 「ヤモ」は800。「アヒ」は「間」と読み、「幾たび」とした。
08-355 カンカガミ イマナガラエリ
神鏡として、今もそこにある。
08-356 タカノニハ バケモノイデテ
タカノには化け物が出るという噂が立ったので
08-357 イフキヌシ ミヤオタツレバ
イフキトヌシが鎮魂のために宮を建てると
08-358 シツマルニ ヲシテタマワル
化け物が鎮まったということで、イフキトヌシはアマテルカミから
08-359 タカノカミ マタカナサキハ
タカノカミという称号を賜った。またカナサキは
08-360 スミヨロシ カミノヲシテト
スミヨロシという称号と
ミハノソヲ タマフツクシノ
朱の衣を給われ、「ツクシの
【ミハノソヲ】 「ミハ」は御衣。「ソヲ」は赤い色の土、またその色。「ミハノソヲ」で朱の衣となるが、また「ソヲ」は筑紫の「ソヲ」と掛けてある。
08-362 タミスベテ ユヒヲサムベシ
民を全部まとめて
08-363 ワガカハリ マタフツヌシハ
吾が代わりに治めよ」とソオの国も給われた。またフツヌシは
カグヤマオ ツカサトレトテ
「香久山を治めよ」と、
【カグヤマオ ツカサトレ】 カナサキは「ワガカハリ」に「ユヒヲサムベシ」と言われているので、国を与えられたのであろう。ところが、フツヌシは「ツカサトレ」とだけ言われているので、任務を与えられたのだと考える。
08-365 カトリカミ タケミカツチハ
カトリカミの称号を賜った。タケミカツチは
ナルカミニ タケモノヌシノ"
雷をも捻りつぶすような働きをしたことでタケモノヌシの
【タケモノヌシノ カフツチ】 「タケモノヌシ」は、勇猛な物部の頭と解釈したいが、正確にはわからない。「カフツチ」は、頭椎(カフツチ)の大刀。柄頭が塊状の刀。
カフツチト サキノクニヱニ
頭椎の太刀を賜った。またかつて大地を揺り動かす
【サキノクニヱニ】 「かつて国絵を作った」と訳せるが、かつて国絵を描いたのはヒノハヤヒコ(6綾本文088)で、ヒノハヤヒコと武人であるタケミカツチが同一人物であることを思わせる叙述は見つからないので、「サキノクニヱニ ユリシツム」は「カナイシツチ」を修飾する語として訳した。「クニヱ」は「クニ(大地)の上」。
ユリシヅム カナイシツチモ
地震を鎮めたというカナイシヅチの太刀も
【カナイシツチ】 茨城県の鹿島神宮に、地震を鎮めるという要石があるが、「カナイシ」はそのような要石のことか。カフツチに倣えば、要石の太刀とでも言えようか。
08-369 タマフナリ ツハモノヌシガ
賜った。ツワモノヌシは
タマカエシ キヨキマコトノ
ハタレの魂返しをして、清く真の心を
【キヨクマコトノ ハナフリテ】 「キヨクマコトノハナ」は清い心、まこと(真・実・誠)の心が花開くこと。「フリテ」はそれが降り注ぎ、人々の心に行き渡ること。本文170の「ココストノミチ」に通じる考えであろう。
08-371 ハナフリテ ミチニアモナシ
人々に行き渡らせ、魂が天へ還る道も作ったとして
08-372 シキアガタ アナシウヲカミ
シキの県に、アナシウヲカミ(天為大神)という
ヲシテソエ スヱテウツシヒ
称号を添えて住まわせ、ウツシヒ
【ウツシヒ カンヲヂ】 「ウツシヒ」を亡くなった人の御霊を天に遷すということと解釈した。そのような要職を表す名前か。
カンヲヂゾ ヰチチガヱナム
カンヲヂと讃えた。ヰチチが編んだ
【ヰチチガヱナム】 「ヰチチ」はツワモノヌシの息子。「ヱナム」の意味不詳。この文脈では、他の写本にある「ヱラム」(選ぶ)の方が正しいと思われる。したがって、ヰチチが「編んだ」とした。
08-375 タマカエシ ココストノネオ
「魂返し」の文は、心を清く整えるための術の基を
08-376 ムスブフミ ココトムスビノ
まとめた文であるとして、ヰチチにココトムスビという
08-377 ナニスヱテ カスガトノトゾ
名前を名乗らせて、カスガトノとして
08-378 タフトマセ キミカナサキニ
人々に尊ばせた。アマテルカミがカナサキに
08-379 ノタマフハ ヨロモノキレド
言われた。「大勢のハタレを切ったが、
08-380 タマカエシ ミタレヲトケバ
魂返しをして、ハタレの乱れた魂の緒を解いたので
カミトナル ココチカスガト
ハタレも神となるであろう。吾の心は晴れ晴れと清々しい」。
【ココチカスガ】 「カ」は光とか明るいの意。「スガ」は清いとか清々しいの意。これと「カスガトノ」とをかけてある。
サトノナモ ヲキナガモリモ
そして、カナサキの里の名もカスガと名付け、カナサキの森も
【サトノナモ ヲキナガモリモ タマワレハ】 里と森の主であったカナサキは本文361にあるようにツクシを治めることになるのである。
08-383 タマワレハ カトリガイモト
ココトムスビに賜った。カトリカミ(フツヌシ)の妹の
08-384 アサカヒメ ココトムスビノ
アサカ姫をココトムスビの
08-385 ツマトシテ ウムカスガマロ
妻として、生れたのがカスガマロ
08-386 ワカヒコゾコレ      
ワカヒコである。