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09-047 ヨノミタレ コレミナソレノ
こんなに世が乱れたのも、みんな汝の穢れた心が
09-048 アヤマチト オモエハムセブ
過ちの元だと思えば胸が詰まります。
09-049 ハヤカエレ ソサノヲハヂテ
早く帰りなさい」とワカ姫は言った。ソサノヲは恥ずかしく思い
ネニカエル ノチオオヤヒメ
ネの国へ向かった。その後、オオヤ姫、
【ネニカエル】 普通に訳せば「ネの国に帰った」となるが、ソサノヲはサホコの国のツルメソの家に身を寄せているのだから、帰るのはサホコの国ではないか。ヤス川からサホコの国に帰るには、地理的にネの国を経ることになるので、まず向かった先の「ネの国」を言ったと解釈し「向かった」とした。
09-051 ツマヅヒメ コトヤソウミテ
ツマヅ姫、コトヤソが生まれたが、
09-052 カクレスム タカマハムツノ
ソサノヲはひっそりと隠れ住んでいた。以前、宮中では、六集団の
09-053 ハタレカミ ハチノコトクニ
ハタレが、蜂の巣をつついたような
09-054 ミタルレハ カミハカリシテ
騒ぎを起こしたので、宮中会議を開いて
09-055 ハタレウツ キミハミソギノ
ハタレ退治をした。アマテルカミは激しい流れで
サクナタリ ハタレヰトフノ
禊ぎをし、ハタレに情けを掛けるという
【ハタレヰトフノ】 「ヰトフ」(厭う)には、「いやに思う」と「いたわる」の真反対の意味がある。アマテルカミの食べ物を与える作戦は、「いたわる」の意味を持っていたと考える。
09-057 タネオヱテ ミヨヲサマレド
戦術により、世の中が治まったが、
ミナモトハ ネノマスヒトニ
騒ぎの元はみな、ネとサホコのマスヒトが
【ネノマスヒトニ ヨルナレハ】 「ネノマスヒト」だけが書かれているが、騒ぎを起こしたのはネの国のマスヒトのシラヒトとサホコチタル国のマスヒトのコクミ。二人は後にサホコチタル国のマスヒトのアメオシヒの臣となっている。このことから、イフキドヌシが討ちに行ったのはサホコチタル国にいるシラヒトとコクミと考えられる。
09-059 ヨルナレバ イフキドヌシニ
惹き起こしたことなので、イフキドヌシに
09-060 ウタシムル ウナツキムカフ
シラヒトとコクミを討たせることになった。イフキドヌシが命を受け、
09-061 ヤソツツキ サホコノミヤノ
多くの者を引き連れてサホコの国へ向かった。サホコの宮の
09-062 アサヒカミ ヲガミテイタル
アサヒ神を拝んで、一路
09-063 イツモヂノ ミチニタタスム
出雲路を進むと、行く手にたたずむ
09-064 シタダミヤ カサミノツルギ
下民がいた。下民は笠も蓑も剣も
09-065 ナゲステテ ナニノリコチノ
投げ捨てて、何かつぶやきながら
09-066 オオマナコ ナンダハタキノ
その大きな眼からは涙が滝のように
09-067 オチクタル トキノスガタヤ
流れ落ちていた。その者はなんと
09-068 ヤトセフリ オモイオモエハ
八年ぶりに見たソサノヲであった。つらつら思えば
09-069 ハタレトハ オゴルココロノ
ハタレの騒動を起こしたのは、奢った心の
09-070 ワレカラト ヤヤシルイマノ
我が元だと、やっと悟った今の
09-071 ソサノヲガ クヤミノナンダ
ソサノヲの悔みの涙であった。
オヂオヰノ シムノアヤマチ
叔父のソサノヲは背負ってきた、生まれついての荒れた心が犯した過ちを
【オヂオヰノ】 伯父と甥ではなく、「伯父が背負ってきた」としないと、甥まで「シムノアヤマチ」をしたことになってしまう。
09-073 ツクナエト ナケキウタフヤ
償おうと、嘆き歌った。
アモニフル アガミノカサユ
「世の中にまき散らした我の身の瘡(カサ、害悪)から
【ミノカサ】 身に着けてきた蓑笠と身の瘡(カサ)と掛けてある。
シムノミキ ミチヒハサマデ
我が血筋の基のアマテルカミの世を三千日もの長きにわたり
【シムノミキ】 「シム」は7綾解釈ノート146にあるように血統、血筋、持って生まれた性格、能力。「シムノミキ」で、その幹、すなわち血筋の基。「シムノミキ」を逆さまから読んで「キミノムシ」とすると、「君への蝕み」(君の汚点になった)となる。
09-076 アラフルオソレ      
乱れさせ、畏れ多いことをしてしまった」。
09-077 カクミタビ キモニコタエテ
このように三度歌った。それを聞いて心に強く響き、
09-078 ナサケヨリ サスガニヌルル
感動のあまり、さすがに涙を浮かべた
09-079 イフキカミ シムノツクバエ
イフキドヌシは土下座する叔父と
09-080 トモナンタ コマヨリオリテ
共に涙を流し、馬より降りて
09-081 ソサノヲノ テオヒキオコス
ソサノヲの手を取って引き起こした。
09-082 シムノヨリ アイヱルコトハ
「血族のよりを戻すことをアマテルカミに許されるためには
09-083 ノチノマメ イサオシナセハ
これから後に忠誠を尽し、功績を立てれば
09-084 ハレヤラン ワレオタスケテ
晴れて認められるでしょう。私を助けて
09-085 ヒトミチニ マスヒトウタハ
一途にマスヒトを討てば
09-086 マメナリト ウチツレヤドル
忠誠を果たしたことになるでしょう」と、ソサノヲと連れだち、
09-087 サタノミヤ ノリオサダメテ
サダの宮に泊まった。二人は策戦を練り、
ハタレネモ シラヒトコクミ
モチコ姫とハヤコ姫もシラヒトもコクミも
【ハタレネ】 ハタレの騒ぎのもとになった者、すなわちモチコ姫とハヤコ姫。
09-089 オロチラモ ウチヲサメタル
大蛇(ハハやカガチ)等も討ち滅ぼした。
09-090 オモムキオ アメニツクレバ
その旨をアマテルカミに伝えると、
タカマニハ ユツウチナラシ
宮中では、アメノウズメが弓の弦を打ち鳴らして
【ユツ】 弓の弦の略。
09-092 ウスメミノ カナデルオミテ
奏でた。それを見た
09-093 ヲヲンカミ クワモテツクル
アマテルカミは、桑の木で作らせた
09-094 ムユヅコト タマフワカヒメ
六弦の琴をワカ姫に賜った。ワカ姫は
ムツニヒク カダフキカナテ
六弦の琴を弾き、その音(ネ)をカダ・フキ・カナテ・
【カダ・フキ・カナテ・メガ・ハ・ヒレ】 一連のハタレ討ちを見てきたワカ姫は、ハタレ討ちに関係ある言葉で、六本の弦とその音を「葛・蕗・剛腕・茗荷・ハハ矢・領布」と名付け、その功を称えたのではないか。
09-096 メガハヒレ ソノコトノネハ
メガ・ハ・ヒレと名付けた。その琴の音は
09-097 イサナギノ カキノカダウツ
イサナギが、風に吹かれて垣根の葛を打っている