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09-098 イトススキ コレオミスヂノ
糸ススキの音を聞いて作った三弦の
09-099 コトノネゾ カタチハハナト
琴が元である。琴の形は葛の花と
09-100 クズノハオ カダカキトウツ
葉を元にして作ったもので、カダガキの弾き方をする。
09-101 ヰスコトハ ヰクラニヒビク
次に作られた五弦の琴は心に響き、
ネオワケテ ワノアハウタオ
旋律に乗せてワのアワ歌を
【ワノアハウタ】 「アカハナマ…シヰタラサヤワ」のアワ歌。
ヲシユレバ コトノネトホル
教えると、言葉の基本がよく理解できる。
【コトノネトホル】 1綾本文018にも「オノヅトコエモアキラカニ」なるとあることから、「コト」は言葉、「ネ」は根本、基本として「言葉の基本がよく理解できる」とし、「琴の音色がよく響く」と掛けてあると解釈した。
09-104 イスキウチ ムスヂノコトハ
それがイスキ弾きである。六弦の琴は
ヱヒネムル オロチニムツノ
酔って眠った大蛇(悪者)に六つの
【オロチニムツノ ユツカケテ】 「ムツノユツカケテ」の「ムツ」はハタレ退治の時、アマテルカミが授けた「カダ・フキ・カナテ・メガ・ハ・ヒレ」の六戦術。「ユツ」は「斎つ」と読み、文法的には名詞の上について、「神聖な、清浄な」の意を表す語であるが、アマテルカミの戦術を神聖なものとして表したと解釈した。本文087に「ノリオサタメテ」とあるのは、イフキドヌシとソサノヲがこのアマテルカミの戦術をどのように用いるかを練ったのだと解釈した。実際にはどの戦術をどのように使ったのかはこの文からは読み取れない。
09-106 ユツカケテ ヤクモウチトゾ
アマテルカミの戦術を仕掛けて退治したことにちなみ、八雲討ちの琴と
09-107 ナツクナリ カダフキカナテ
名付けた。「カダ・フキ・カナテ
09-108 メガハヒレ コレモテタテノ
メガ・ハ・ヒレ」というハタレ退治の手段を弦の
ナニシアフ ヤマダアガタオ
名にしたものである。ヤマダアガタを
【ヤマダアガタ】 8綾本文229に出てくる「ヤマダ」、すなわち宇治山田、近江地方の伊吹山辺り、父親のツキヨミが治めていた四国の阿波、阿波神社のある三重県大山田村辺りか、候補は上がるが、よく分からない。
モチタカニ タマエハアワノ
モチタカ(イフキドヌシ)が賜ったので、アワの
【アワノ イフキカミ】 解釈ノート109で、「ヤマダアガタ」と「アワ」を地名として関連づけて考えたが、仮に「アワ」を「アワ」としてみて次のように考えたらどうだろうか。「ア」を宮と考え、この場合はアマテルカミの弟ソサノヲを立ち直らせたことを表す。「ワ」は人々、この場合はイフキドヌシがハルナハハミチとアメエノミチの二つのハタレを退治したこと、シラヒトとコクミらを成敗したことなどを表すとして「アにもワに於いても素晴らしい功績を立てたイフキカミ」と考えたい。
09-111 イフキカミ モロカミハカリ
イフキカミと呼ばれた。諸臣が会議を開き、
09-112 ソサノヲガ ココロオヨスル
ソサノヲは、心をこめて歌った
シムノウタ ミノチリヒレハ
「シムの歌」によって身の穢れが除かれて
【シムノウタ ミノチリヒレハ】 39綾本文248に「カミノミヨハウタ イマハチカラヨ」とあるようにこの時代は歌に身の穢れを除くほどの価値があった。
09-114 ガハキエテ タマフヲシテハ
罪が消えた。そこでアマテルカミから賜った称号は、
09-115 ヒカハカミ ハタレネオウツ
「ヒカワカミ」であった。モチコ姫とハヤコ姫を討った
09-116 イサオシヤ ソコニモトヰオ
功績があったので、ホソホコに宮を
ヒラクベシ ヤヱガキハタモ
開くがよいと、八重垣幡も
【ヤヱガキハタ】 八重垣(アマテルカミの宮の垣)を守る役目の印の幡。
09-118 タマハレハ フタタビノボル
与えられ、再び宮中に上ることができた。
09-119 アメハレテ ウヤマイモウス
天下晴れてアマテルカミの元に仕えることができた
クシヒヨリ スガハニキツク
奇しき日に因み、清らかになった地に築いた
【スガハニキツク】 サホコは騒乱のあった場所で、ソサノヲ等が鎮めたので清らかな地となった。
ミヤノナモ クシイナダナリ
宮の名前をクシイナタ宮とした。
【クシイナタナリ】 記念すべき日の「クシヒ」とイナタ姫の名を付けて「クシイナタ宮」とした。
09-122 サホコクニ カエテイヅモノ
サホコの国の名を変えて出雲の
09-123 クニハコレ アメノミチモテ
国とした。ソサノヲはアマテルカミの天下を治める道理をもって
09-124 タミヤスク ミヤナラヌマニ
治めたので、民は心安らかに暮らすことができた。宮が完成しないうちに
09-125 イナタヒメ ハラメハウタニ
イナタ姫が身籠ったので、ソサノヲは歌を詠んだ。
09-126 ヤクモタツ イツモヤヱガキ
「幾重にも湧き立つ白雲の下、我は出雲の八重垣の臣となった。
ツマコメニ ヤヱガキツクル
愛する身重の妻を守ろう、八重の垣根を作って。
【ツマゴメ】 広辞苑に「夫婦が一緒にすむこと。また妻を籠らせること」とある。ここでは妻を籠らせ守ると解釈した。
ソノヤヱガキオ      
八重垣を守るのは我が務め」。
【ソノヤヱガキオ】 妻を守ることとアマテルカミを守ることの二つの意味がある。「ヤヱガキオ」の「オ」は、長弘本などの写本は「ワ」となっている。これにより、7綾本文125のアマテルカミの「アメガシタ ヤワシテメグル ヒツキコソ ハレテアカルキ タミノタラナリ」という教えの「ヤワ」を配して、アマテルの教えを理解し改心したことを歌った歌だという説もある。和仁估本ではホツマ文字は「オ」ルビは「ヲ」となっており、漢訳は「和」となっている。私は原則として和仁估本に書かれたホツマ文字を最優先しているので、「ヤヱガキオ」とした。
09-129 コノウタオ アネニササゲテ
この歌を姉のワカ姫に奉げた。
09-130 ヤクモウチ コトノカナデオ
八雲打ちという琴の弾き方を
09-131 サツカリテ ウタニアワセル
教えてもらい、「ヤクモタツ」の歌に合わせて
09-132 イナタヒメ ツイニクシタエ
イナタ姫が琴を弾いた。いよいよ気高く妙なる
09-133 アラハレテ ヤヱカキウチノ
調べになり、「八重垣打ちの
09-134 コトウタゾ ウムコノイミナ
琴歌」となった。その後生れた子の諱は
クシキネハ コトニヤサシク
クシキネである。クシキネは殊に優しく
【クシキネ】 「奇しき音」という意味を持つ。
【コトニヤサシク】 「コト」は琴と殊にとの掛詞。
09-136 ヲサムレハ ナカレオクメル
国を治めたので、その代々の
モロガナモ ヤシマシノミノ
子孫の名も「ヤシマシノミノ
【ヤシマシノミノ オホナムチ】 「ヤシマ」は八州、アマテルカミが統治している国々。「シノミ」の「シノ」は「篠」と読み、まっすぐに天を突く様子から「まっすぐな性格」を表し、「シノミ」で「まっすぐな性格の人」となる。「この国が誇るまっすぐな性格の人物」という名誉ある名前なのではないか。この後オホナムチは代々にわたって出てくる。ソサノヲの子孫特有の剛直さが私には魅力的に感じる。
09-138 オホナムチ ツギハオオトシ
オホナムチ」と言われた。次の子はオオトシ
09-139 クラムスビ ツギハカツラギ
クラムスビ、次の子はカツラギ
09-140 ヒコトヌシ ツギハスセリメ
ヒトコトヌシ、次の子はスセリ姫といい、
ヰヲミメゾ キミクシキネオ
五男三女に恵まれた。アマテルカミはクシキネを
【ヰヲミメゾ】 ここでは、三男と一女だが、既に本文042から051でオオヤヒコ、オオヤ姫、ツマヅ姫、コトヤソの男女二人ずつが生まれている。
モノヌシニ タケコオツマト
大物主とし、娘のタケコ姫をその妻に
【タケコオツマト】 タケコ姫は、タキコ姫、タナゴ姫の三姉妹の一人。かつてソサノヲが通じたハヤコ姫の子ども。ソサノヲの子とすると、クシキネとは腹違いの姉弟ということになる。