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民に子を授かる術を教えることが、父母への恩を
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返すことだと思った。教えの元になったものは
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トヨケ神がカツラキ山で
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禊ぎをして、害を及ぼす災いを
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除こうと、八千回祈ったことである。
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トヨケ神の真心が天に通じて、アメミヲヤ神が父母に日の精気を
【ニマヌケテ】
「ニ」は丹「マ」は真と読み、「赤心、真心」と捉えた。
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分け下されたので、吾は『人としての心』を得ることができた。
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吾は『アグリの教え』が仕上がったので、朝日の宮で
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トヨケ神をお祭りし、アメミヲヤ神に
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報告をしたのである。それでは世継ぎを儲ける
【ヨツギノハタオ ヲラントテ】
「ヨツギノハタ」は世継ぎをもうける手立ての話。「ヲラントテ」は、話の流れから考えると、これから文を作るのではなく話をすることと考えられる。
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手立てについて話そう。多くの
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世継ぎ子を授かる『イセの道の
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アグリ』では、まず朝日を受けて
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温まった時に交われば
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子を身籠り、呼吸や声や容姿が
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整って生れてくるのである。『世継ぎを欲しいと願っている者への
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詔』は次のとおりである。
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神より下された吾の心を招きなさい。アメミヲヤ神と
【ワガココロ マネケトホカミ ヱヒタメノ クニハミチノブ ウツハモノ】
「ワガココロ」はアメミヲヤ神によって得られた「人としての心」。「マネケ」は人々もそのような心を得られるように願いなさいということ。アメミヲヤ神とトホカミヱヒタメ八神とがタマを降ろしてできているこの国そのものが「アグリの教え」を伝えるよい国だということ。このように解釈したが訳文の表現が難しい。
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トホカミエヒタメ神がタマを降しているこの国はアグリの教えが行き渡る
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よい国なのである。人々が招けば神はその上に
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現れて、ハタレを破るので
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子を授かることへの災いを避けることができる。身が清ければ
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神の心が恵みを与えて、花に
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実が着くように世継ぎが生まれる。『イセの教え』が
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天に通じるのである。
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詔は以上である」。 諸臣に、「何か言うことはないか」
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とアマテルカミが言われると、カスガワカヒコが
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立ち上がり進み出てうやうやしく礼をし、
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心に浮かんだことを歌にして申し上げた。
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「アマテルカミが祈られた今の手拍の
【アマイノル…】
このカスガワカヒコとミホヒコの歌は、一読ではアマテルカミと同じようなことをするというように読み取れるが、臣がキミの話を称える内容としてはふさわしくないように思う。私はアマテルカミの話を称える内容として訳した。
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音は直ちに母親のお腹に届いて
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子宝が宿るでしょう。その子は心が真っすぐで
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将来、父母の世継ぎとなる
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御子となることでしょう」。
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このように三度繰り返して歌うと
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ミホヒコも立ち上がり、うやうやしく
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今感じたことを歌にして申し上げた。
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「子宝を願う夫婦の間に
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授かった子どもは、健やかに守り育てられるでしょう。
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アマテルカミはその両親の神なのですから」。
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このように三度歌にして申し上げた。
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カダキヤスヒコも立ち上がり、うやうやしく
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思ったことを歌にして申し上げた。
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「安全に出産に臨む母親から
【サクラノババ】
「桜」と訳したいところだが、意味の通じる訳にならない。やや無理があるかもしれないが、私は次のように解釈してみた。「サ」は若いとか早い、みずみずしいを意味する接頭語として残っている「サ」とし、「クラ」は「座(くら・苗床の異称)」(広辞苑)の訳をとり、赤子が今にも生まれてくる状態を言っていると捉えた。「ババ」は他の写本には「ハハ」ともあることから、その母とした。
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嬰児(ﾐﾄﾞﾘｺﾞ)を我のこの右手で
【カツテニカケテ】
「カツテ」は弓を射る時、弦を引く方の手。右手。
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さあさあ、産ませてみせましょう」
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このように三度歌うと
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アマテルカミから詔があった。「汝ワカヒコ
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これからずっとアマノコヤネと
【ヒトフルニ】
「フル」は年をとる。一生という意味に解釈した。
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名乗るがよい」と、
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カスガカミという尊称も賜った。また、「ミホヒコは
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三十六人の子を育てた心に
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感動した」と、