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17-049 ツミトガノ タダシモトホキ
罪科の認識も民と二尊とは
17-050 アメトツチ トドカヌコトオ
天と地ほど離れていて、気持ちが届かないことを
17-051 オモフナリ トミラヒメモス
嘆かれた。だから臣達は一日中
17-052 ウマナクテ ヲシヱオツネノ
気をゆるめることなく、民に教えることを常に
17-053 ワザトナセ トミタミコマゴ
仕事とせよ。臣は我が子、民は孫と思い、
17-054 ヘタテナク ヰツクメグマン
分け隔てせず慈しんで恵みを与えようと
17-055 オモヒナリ ヲシヱヌモノハ
思っている。民に教えることができない者は
17-056 トミナラス ヲシヱウケヌハ
臣の資格がない。また、教えを受けようとしない者は
17-057 タミナラズ ツネニオモエヨ
民でない。常に次のように思うがよい。
17-058 アメノリオ ヱテミオヲサメ
社会の決まりを身につけ、身を修め、
17-059 タガヤシテ ソロオウヱマキ
田畑を耕し、稲を植え、麦ヒエなどの種をまき
17-060 クサギリテ カリヲサムミノ
雑草を刈り、収穫をする民は
タミハマコ タクミアキドモ
吾の孫である。物作りの者や物売りも
【タクミアキドモ】 匠と商人。商人・物売りは、貨幣のなかったこの時代、市のようなところで物々交換を生業としていた人を指したのであろう。それにしても商人(あきんど)という言葉の原形がすでにあったことに驚く。
17-062 ヒコヤサゴ モノシルトテモ
曾孫や玄孫である。物を知っているといって
17-063 ウグメカデ トノミチビキニ
勝手なことをしてはいけない。トの教えの導きに
17-064 ヰラザランオヤ
従わないでよいものだろうか。
17-065 ワレミルニ ヲサマルミヨハ
吾が世の中を見ていると、平穏な世では
ナノキコヱ ヒトノココロハ
評判がよくても、人の心の中は
【ナノキコヱ】 述語がないが「名の聞こえが良くても」のようなことで、名前が挙げられて評価されることをいうのか。
オヨソコシ アラハニツトメ
およそ十中九人は、表向きはまじめに働いているように見せ
【オヨソコシ】 「ナカニヒトリハ」と続くので、「コ」は数詞になっていないが「9」と考える。すると「10人の中で」となろう。「シ」は強調の副助詞。
17-068 ウラヤスム ナカニヒトリハ
陰では怠けている。十人中の一人は
17-069 ウラナクテ アメシルキキノ
陰日向がない。神が木々に咲く
17-070 ハナモミモ ワガミノミチト
花も実もご存じのように、自分の行いもご存じだとは
17-071 シラザラメ オカシカクスモ
知らないだろうが、自分が犯した罪を隠しても
17-072 アメガシル ウツホハアマノ
神は見通しているのだ。ウツホには神の
17-073 ココロバノ ツネニメグレド
御心が常に巡っているけれど、
17-074 ミヱナクテ ミヅノメグリオ
人の目には見えない。人が水の流れを
17-075 ミルゴトク ウツホハミユル
見るようにウツホが見える
17-076 ウオノメト カワルヒトメノ
魚の目と、人の目を入れ替えたように
17-077 ウラカガミ ヒタリニモテバ
裏が見える鏡がある。左に持てば
17-078 ミギニミヱ ヒタリエヤレバ
右に見え、左に動かせば
17-079 ミギニユク ムカフエヤレバ
右の方に行く。鏡に向かっていけば
17-080 マエニヨル ミナヒルカエル
手前に寄ってくる。みんな逆さまになる
17-081 コノカガミ ナンノタメゾヤ
この鏡は何のためにあるのだろうか。
マサニキケ モトモトアケノ
よく聞くがよい。モトモトアケの
【モトモトアケノ ミヲヤカミ】 「モトモトアケ」は天地開闢の時の49神。それがフトマニ図に表されている。フトマニ図の中央にいるのがミヲヤ神。
17-083 ミヲヤカミ ソバノトホカミ
ミヲヤ神は、そのすぐ外側に位置するトホカミ
17-084 ヱビタメノ ヤモトノカミニ
ヱヒタメの八元の神に
17-085 マモラシム ヒトノネコエハ
人の命を司らせた。人の声と言葉は
17-086 アナミカミ ミソフノカミノ
アナミ神(アイフヘモヲスシ神)に司らせた。三十二神には
17-087 ミメカタチ ソムヨロヤチノ
見目形を司らせた。きわめて多くの
モノオシテ ヒトノタマシヰ
人の要素を元にして、タマとシイを与え、
【ヒトノタマシヰ ヨロコバス】 広辞苑に「ヨロコブ」は、「子を産む。出産する。」とある。
17-089 ヨロコバス トキニモトムル
人として産まれるようにさせた。さて、
17-090 ウマレツキ ソムヨロヤチニ
人はよい生まれつきを求めるが、千差万別で
17-091 シナカワル アオヒトクサノ
人はそれぞれ違うのである。だが民の
17-092 コトコトク アメノミヲヤノ
全てはアメノミヲヤ神の
タマモノト マモラヌハナシ
賜物であるから、吾が守らぬ者はいないのである。
【マモラヌハナシ】 「アメノミヲヤの賜物だからアメノミヲヤが守る」と読めるが、本文062でアマテルカミは民達を孫や曾孫と呼び、本文100でも「ヨシワロメデツ タノシミテ」といっていることなどから、アマテルカミが民を守ると言っていると解釈した。
17-094 フタカミノ トホコニヲサム
二尊はトと矛によって国を治めた。
17-095 トシフレバ ニブナレトキノ
年月が経つと、鈍い者・並みの者・賢い者の違いが
17-096 タミアルモ タトヘバカズノ
民の中にできたが、例えば、たくさんある
17-097 ウツワモノ クヅオステナデ
器も、屑のようなものも捨てないで
17-098 ニブトキオ ナラシモチヰン
できの悪い物もよい物も、まんべんなく使うのが
17-099 アメノココロゾ      
二尊の御心であった。
17-100 ワレミルニ ヨシワロメデツ
吾は、良い者も悪い者も慈しんで
17-101 タノシミテ ヒトノナカゴハ
楽しみとして見守っている。人の心の中には
17-102 ヒトフタリ ヤヤシルミチハ
人が二人いる。それを見極める方法は