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17-103 マスカガミ アメノムクヒハ
真澄鏡に写すことである。天罰は、
17-104 ヌスメルモ ソシルモウツモ
盗んでも、人を誹っても、人を打っても
17-105 ミニカエル ヒトオウテドモ
全て自分の身に返り下される。人を打っても
17-106 ソノトキハ イタキムクヒモ
その時は自分には痛い報いは
17-107 アラザレド ノチノヤマフハ
ないが、後に病におかされるのは
17-108 アマガツチ ヌスミモヒトガ
天罰が下りたからである。盗みについても、人に
17-109 シラザレバ タカラウルトゾ
知られなければ、宝を得たと
17-110 オモエトモ ヒトタビカクシ
思い、いったん隠して
17-111 フタヌスミ ミタビソコナヒ
再び盗み、三度も悪事を
17-112 アラタメズ アメツチヒトノ
改めなければ、天も地も人も
17-113 ミルトコロ アメノミツゲハ
知るところとなるのだ。天の知らせは
17-114 ヒトニツク ツミアラハレテ
人に伝わる。罪があらわになって
17-115 ホロブトキ ナスコトナクテ
身が滅ぶとき、どうする事も出来なく
17-116 カナシキハ ヨソハヨロコフ
悲しんでも、ほかの人は喜ぶのだ。
17-117 シムノハヂ クヤメドカエヌ
それは末代までもの恥となり、悔やんでも取り返すことはできない。
17-118 コオモタバ シカトキクベラ
子どもがいるならば、しっかりと聞くがよい。
17-119 アラダケノ マツハネジケテ
険しい山に生える松はねじけて
17-120 ワダカマル ヒトノワカバモ
曲がりくねっている。人の子も
17-121 ワガママニ ミチニモトリテ
親の意のままに育てると、子は人の道から外れて
17-122 ワタカマル ヒトモタキギニ
心がねじ曲がってしまう。人の子も、枝を薪として
17-123 キルゴトク オシマデシムノ
切るように、大切にせず育てると、子の心が
17-124 ヰタミカナ コオヒタスノリ
傷つく。『子どもを育てる教え』は次の通りだ。
クセマツオ ヒキウヱアラコ
曲がった松も植えかえて、新しく育つ枝を
【アラコ】 「コ」は木。新しく出てきて幹として育つ枝。
17-126 ツチカエバ ナオキトナルゾ
大事に育てれば、真っ直ぐな木になる。
17-127 ヲヤココロ コマゴマアツキ
親の心は、子どもにとって、細部にわたり心のこもっている
17-128 トノヲシヱ コハオサノネゾ
トの教えのようなものである。子どもは大人の元なのだ。
17-129 オサナゴニ アラコヲシヱテ
幼子に、新しく育つ枝を育てるように物事を教え
17-130 ツチカエバ ナオキオサトゾ
大事に育てれば、善良な大人に
17-131 ナルココロ メクミオシラバ
なる心が育つ。愛情を受けて育てられれば
コダカラノ ムネウツバリト
子宝は、棟や梁と
【ムネウツバリ】 家の構造にたとえた言葉。「ムネ」は棟。「ウツバリ」の「ウツ」が分かりにくいが、上の方の梁というようなことか。
ナルゴトク ヒトノスマヰノ
なるように世の中の
【ヒトノスマヰノウエニアリ】 世の中を人の住む家にたとえ、人の上に立つ人になることを言っている。
17-134 ウエニアリ アラダケココロ
上に立つことができる。厳しい心を
17-135 コニモトメ キキスギネヂケ
子どもに求めて、それが効きすぎると心がねじけ
17-136 ヨコシマノ ハタレトナルゾ
よこしまなハタレとなってしまうのだ。
17-137 マスヒトラ オサナノトキハ
マスヒト達は、幼い子供がいるならば
17-138 ネヂケノメ ハヤアラタメヨ
ねじけの兆しを見つけたら、早く改めるようにするがよい。
17-139 スデニマエ ノリオアヤマル
以前に、道を誤った
マスヒトノ ホメスギネヂケ
マスヒトは、子どもの頃親に甘やかされて心がねじけ、
【マスヒト】 6綾本文044の、仕事を怠ったりしたシラヒとトコクミのこと。このことなどによって世の中が乱れた。
【ホメスギネヂケ】 誉められすぎたというより、褒められるべきでない時も褒められたということであろう。それはすなわち、甘やかされたということ。
ヨコシマガ タテオモヂケテ
そのよこしまな心が世の決まりを乱れさせてしまった。
【タテオモヂケテ】 「タテ」は経糸。世の中の決まりや道理のこと。「モヂケ」はねじれること。
トコヤミノ ナンダヤハシテ
その長く暗い世が、涙を持って改心したソサノヲの働きによって
【ナンダヤハシテ】 9綾本文066の、ソサノヲがイフキドヌシとあって涙を流した場面。ここで改心したソサノヲはハタレを討伐した。
17-143 ヤヤシヅム コレモミクサノ
やっと鎮まった。これも三種の
17-144 ウツワノリ アラデイカンゾ
神器の力がなければ、どうして
17-145 ヱザランヤ カネテオモエバ
こうできたであろうか。以前から思っていたことだが
17-146 タスカガミ アオヒトクサモ
世を治める鏡に写せば、民たちでも
17-147 スクトナル ヒトニオケラハ
正直になるのだ。人であるならば
17-148 カギリナシ ナガクツチカフ
誰でもそうなのである。親は子に末永く心の中で育つような
17-149 ヲシヱナスベキ      
教えをなすべきである」。
17-150 ヲヤココロ トケヌミホツメ
親が持つべき心得に納得できないコモリの母親の
17-151 コモリタラ ソノコニモトム
ミホツ姫は「そのような子こそ
17-152 アラタケノ ココロモガナト
厳しい心で育てたいと思うのですが」と
17-153 コヒケレバ カミノミツゲニ
教えを請うと、アマテルカミが話された。
17-154 アラダケハ カゼハゲシクテ
「険しい山は強い風が吹き
17-155 ニワカブリ マツフシコブト
突然激しい雨が降ったりして、松は節や瘤ができ
17-156 ワダカマリ チヨオフルトモ
曲がりくねり、千年経った木といえども