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19-049 ノリオチス ムマクルワセヌ
落馬することはありません。馬を失敗させまいとする
19-050 ワガココロ ヒトツラヌキノ
自分の心と繋がっている
19-051 タヅナヒク アルジノママト
手綱を引くと、馬は主の意のままと
19-052 ナルモノゾ ウバノアオリオ
なるものなのです。飛び越すように泥よけを
19-053 ウツトテモ ツナツヨケレバ
蹴っても、手綱を強く引きすぎると
19-054 ムマトバズ ツナユルケレバ
馬は飛び越しません。綱が緩いと
19-055 マエアシオ オリテタオルゾ
前足を折って倒れてしまいます。
19-056 イヅトユル カケコヱメヲノ
厳乗りと並み足では、掛け声も天と地ほどの
19-057 アイタアリ コノホドライノ
違いがあります。この程合いの
マオシレバ ヂミチイヅアレ
違いが理解できれば、並み足、厳乗り、荒れ乗りの
【アレ】 「アレノリ」のこと。「荒れ乗り」と訳した。ここに突然「アレノリ」が出てきたようだが、本文030の「ヒヂヨケノ」から始まる小溝を飛び越させる乗り方の部分は「アレノリ」の説明と解釈した。現在の馬術競技の障害飛越や本文079にあるような馬上で武器を扱うような乗馬の仕方としての適切な訳語がないので「荒れ乗り」とした。
19-059 ノリノリオ マタクヱルゾト
乗馬法を全部会得できたことになります」と
19-060 サツケマス ココニヲバシリ
乗馬法をすべて授けた。これでヲバシリは
19-061 ミチオヱテ ヒヒニモモタビ
乗馬法を習得したので、毎日百回も
19-062 ノリナルル チヨロトトノヒ
乗馬の練習をした。すべてきちんとできるようになって
19-063 ネリナレテ ヤヤヱルヂミチ
熟練し、更に並み足の
19-064 ツズノワザ トシオカサネテ
十九の技を磨いた。年を重ねて
19-065 ネリナレテ アレノリミソコ
ますます熟練して、荒れ乗りの三十九の
19-066 ハナワザモ マタナレシミテ
離れ業もしっかり身につけた。
19-067 イヅノリノ ヰソコサツメノ
厳乗りの五十九の
19-068 タヱワサノ ノリノリサダム
妙技も習得し、乗馬術を定めた。
19-069 ミコトノリ ノリヲシヱドト
アマテルカミの詔で、ヲバシリは乗馬術の指導者と
ナルヨリコ イフキトヌシヤ
なり、弟子のイフキドヌシや
【ヨリコ】 主従関係などを仮の親子関係とみなしたときの従者(広辞苑)の意だが、ここではそのような関係はないので弟子とした。
19-071 ソサノヲト スベヤソヰヨロ
ソサノヲ等、その他
19-072 ミチソヤノ カミニツタフル
多くの臣に教えた。
19-073 ノリワサモ ミツレバカクル
その乗馬術も、月が満ちれば欠ける如く悪いことにも使われるようになった。
19-074 ヨコシマノ ハヤルマスビト
よこしまな心で勇み立つマスヒトや
19-075 ムラガルル ナロマスコチノ
群がる多くのハタレ達の
19-076 サマタケモ ヤフルヲシテオ
暴動を鎮める勅命を
19-077 タマワレバ ホトヨクハラフ
賜って、見事に
19-078 ムツノカミ タケモノノベラ
六人の武将はハタレの首領を破った。勇猛な物部たちは
19-079 アレイツノ ノリユミワサニ
荒れ乗りや厳乗りを駆使し、馬上から弓を射る技で
19-080 ヨコシマオ ノゾケハスベテ
よこしまな者たちを退治したので、
19-081 ヨソヤマス ヲヲンタカラモ
たくさんの民も
19-082 ミナスデニ ヰオヤスクヌル
みな今では、安心して暮らせるようなった。
19-083 ノリユミノ イサオシタテル
馬上から弓を射る功績をたてた
19-084 モノノベオ メグミタマヒテ
物部に褒美を授けた。
19-085 ヲバシリニ ヰヅノナタマフ
ヲバシリには「ヰヅ」という称号を賜った。
19-086 コノカミハ トヨケノマコノ
この命はトヨケの孫の
19-087 ミカサヒコ ソノコヒサヒコ
ミカサヒコである。その子のヒサヒコは
19-088 カシマカミ イカツチヒシグ
カシマカミといい、イカヅチも退治するほどの
19-089 イサオシオ タケミカツチト
功績をたてたので、タケミカヅチと
19-090 ナツクコレカナ      
呼ばれたのである。