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23ミハサダメツルギナノアヤ
御衣定めと剣の名の綾
【ミハサダメ】 位によって着る物を定めること。今日でも天皇即位など皇室の重要な行事では、天皇や皇太子などの着るものの色などに決まりが残っている。
23-001 アメツチモ ウチトモキヨク
あまねく世の中が穏やかに
23-002 トホルトキ ミチモノノベラ
治まっているある日、多くの物部達が
シラヰシニ ツルギオガミテ
宮の白石の庭に来て、宝剣を拝んだ。
【シラヰシ】 宮の庭に白い玉砂利のようなものが敷かれていたのであろう。
23-004 モノヌシガ キルモタカラカ
大物主が「人を斬る物が宝とされているのは、なぜですか」
23-005 ユエオコフ トキニアマテル
と訳を聞いた。するとアマテルカミが
23-006 ミコトノリ ツルギノモトハ
話された。「この剣の元は
23-007 アメノホコ クニトコタチノ
昔君が使っていた矛である。クニトコタチ尊の
23-008 ヨニハマダ ホコナキユエハ
時代にまだ矛がなかった訳は
23-009 スナホニテ ノリオマモレバ
人は心が素直で、則を守っていたので
23-010 ホコイラス ココロユキスク
矛は要らなかったのだ。人々は心根が真っ直ぐで
23-011 カミノヨハ マスヨロトシノ
クニトコタチ尊の時代には億万歳もの
23-012 コトフキモ ウビチニノヨハ
寿命だったのが、ウビチニ尊の世になると
23-013 オコソカニ カサルココロノ
仰々しく心を装っていたので
23-014 コトブキモ モモヨロトシゾ
寿命は百万歳となった。
23-015 オモタルノ タミトキスグレ
オモタル尊の世は民がずる賢しくなって
モノウバフ コレニオノモテ
人の物を奪うようになった。これに対して斧を以て
【オノモテキリヲサム】 「斧で切る」ということは刑罰によってということ。
23-017 キリヲサム オノハキオキル
斬って国を治めた。斧は木を切る
23-018 ウツワユエ カネリニホコオ
道具なので、鍛冶師に矛を
23-019 ツクラセテ トキモノキレバ
作らせて、ずる賢い者を斬ったため
23-020 ヨツギナシ タミノヨワイモ
オモタル尊の世継ぎがなくなり、民の寿命も
ヤヨロナレ ケニモヨレトモ
八万歳となってしまった。食べ物にもよるけれども
【ヤヨロナレ】 「ナレ」は均して。平均。
23-022 ムカシアリ ヨロススモヘリ
昔、一万歳の寿命だったのが縮まって
23-023 モトセヨリ マタヨロニマス
百歳になり、また一万歳になったということがあった。
コレススオ ムスブカミナリ
これは、寿命を決める神がされたことである。
【コレススオ ムスブカミナリ】 自然の成り行きを言っているものと思われるが、この時代は心が清ければ長生きし、心が穢れていれば早死にすると信じられていた。これがいつの時代のことをいっているのかは不明。
23-025 オソルルハ ナツミドキレハ
恐ろしいのは、罪のない人を斬ると
コダネタツ ゲニツツシメヨ
子種が断たれることである。物部は十分慎重に役目を行うがよい。
【ゲニツツシメヨ】 話している相手の物部は、今でいう警察のような役割だから強調したのだろう。
23-027 アメノカミ ツキナクマツリ
オモタル尊に世継ぎがなく、政を
23-028 ツキントス カレイザナギニ
継ぐ者がいなくなりそうになった。そこでオモタル尊がイサナギ尊に
ノタマフハ トヨアシハラノ
言われるには、『トヨアシハラに
【トヨアシハラ】 辞書には日本国の美称とあるが、ここでは琵琶湖の辺りと考えられる。2綾本文073に同じことが書かれているが表現が違う。ここはその結果として田が拓かれ「豊葦原」になっているのでこのような表現になったのだと考える。
23-030 チヰモアキ ミヅホノタアリ
広く開けて稲田になる土地がある。
23-031 ナンチユキ シラスヘシトテ
汝が行って治めよ』と、
23-032 トトホコト サヅケタマワル
トと矛を授けられた。
23-033 トハヲシテ ホコハサカホコ
トは法を定めた文(フミ)、矛は逆矛である。
23-034 フタカミハ コレオモチヒテ
二尊はこれを使って
23-035 アシハラオ オノコロオヱテ
アシハラで国固めを終えた。
ココニオリ ヤヒロノトノト
そこで、八尋の殿と
【ヤヒロノトノト ナカハシラタテテ】  そこを政治の中心地とした。
23-037 ナカハシラ タテテメクレハ
中柱を建てて国々を巡ったので、
オオヤシマ トフルマコトノ
大八州に真の
【オオヤシマ】 日本国の古称。
23-039 トノヲシヱ チイモノアシモ
トの教えが行き渡った。広い土地の葦も
23-040 ミナヌキテ タトナシタミモ
全部抜いて田としたので、民も
ニギハエバ ヰヤマトトフル
富み栄え、ますます真のトの教えが行き渡り
【ヰヤマト】 「ヰヤ」を「弥」の意の「ますます」とした。「マ」は真の、「ト」はトの教え。
23-042 ヤマトクニ マトノヲシヘハ
国の名もヤマトの国となった。真のトの教えは
23-043 ノホルヒノ モトナルユエニ
昇る日のように栄えるもととなったので
23-044 ヒノモトヤ シカレドヤマト
ヤマトの国を『日の本』と呼ぶようになった。しかし、ヤマトの
23-045 ナステソヨ ワレハトノチニ
名前を忘れてはならない。吾はトの道によって
23-046 ヲサムユエ オミモトミナリ
国を治めているのでオミ(臣)もトミと呼ぶのだ。
23-047 ソノユエハ モトモトアケノ
その訳は次のとおりである。モトアケの
23-048 ミヲヤカミ ヰマスウラニハ
ミヲヤカミがおられる後ろには
23-049 キタノホシ イマコノウエハ
北の星(北極星)があり、今、天上には