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【フナタマカ】
「フナタマ」は「船を守る霊」すなわち船の神であろう。「カ」は疑問の終助詞の「か」が思い当たるが、この文脈で疑問詞も不自然なので、詠嘆の終助詞と考え、「である」と訳した。
【シマツヒコ クチキニノレル…】
鵜を見たり鴨を見たりして船や櫂を作ったというのは、単なる言い伝えで事実とは考えられない。
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鵜の鳥が安曇の川を流れて行くのを見て、
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筏に乗り竿で操ることを考えて
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舟にしたことが始まりである。その子のオキツヒコは
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鴨を見て櫂を作った。
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孫のシガは帆を張った鰐船を造り、七代
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カナサキは大亀船を造った。
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その孫のハデスミの子の
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トヨタマ姫とミツハメの神を、船を
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造ったこの四柱の神と合わせて六船魂とした。
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ウガヤフキアワセズが詔を下した。「多賀の宮は二尊が
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初めて開かれた宮で、今では傷んでしまっているので
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造り替える。そして吾は瑞穂の宮から
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遷って行き、常に二尊を祭ることにした」。
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石部に石を運ばせ、オオヤに
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宮を造らせた。宮の造営がすべて終わったので
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遷宮した。即位式の
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衣裳は綾錦を着て
【カムリハビクツ】
「ハビ」の語義がよく分からない。他の写本では「ハヒ」ともなっており、「ハイ」と読むと、古代の装身具で、広辞苑によると「おびだま。玉佩(ギョクハイ)のこと。帯や胸につける飾りの玉。また、身に着けるアクセサリー」とあるので、ここでは「おびだま」とする。
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ハラ朝間宮のしきたりで、華やかに式を行った。
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その次の日は民にも
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その姿を拝謁させた。
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キアトの年の夏に、即位したことを
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伊勢のアマテルカミに報告した。アマテルカミが
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詔を戸隠に託した。
【ミマゴ】
訳の上では「御孫」となるが、ウガヤフキアワセズは玄孫(ヤシャゴ)
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造り替えて、都を遷したので
【アニツギテ ワノフタカミゾ】
イサナギ、イサナミはすでに崩御しているので「二神」。ウガヤフキアワセズはまだ后が決まっていないが、いずれ后が決まり、「二神」となるという前提でのアマテルカミの言葉として「二神」と表記する。
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吾は昔、天下を治める道理を
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香久の文で学んだ。そのミヲヤ(トヨケ)の編んだ百編の文を
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授け、汝の名をミヲヤアマキミとする。
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この名を授けた意味は、全ての政を
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行う時、神も降って
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汝を敬うので、神の御親となるからである。
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香久の文の道に従って国を治めれば
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多くの司(役人)が香久の文の教えを慕って
【コレモミヲヤゾ】
子のようについてくる者に対しての御親。ミヲヤアマキミと掛けてある。
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司がその子である民を大事にして
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我が子のように慈しめば
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民からも司を御親と慕う心が返ってくる。
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これらの事は全て百編の香久の文
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の中に書いてある。文が多いので
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深奥が解らないことがあるだろうが、錦の綾を
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織る如く、横糸と縦糸を
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分けるように筋道を立てて読めば、分からないことも
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分かるようになる。カスガとコモリと共に
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深奥をしっかりとつかめば、君の代々が
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栄えることは、例え天地が暗くなっても
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絶えることがないだろう」
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君ウガヤフキアワセズはこの言葉を受けて、勅使が帰ると、
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詔を下した。「冬至の日に
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大嘗祭を行い、天神と代々の
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スヘラ神をユキ・スキの宮に祭る。