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27-313 ミコトノリ ノチニクシナシ
詔が下された。その後、クシミカタマの弟のクシナシが
27-314 カミトナル ハハニコワレテ
亡くなったので、クシミカタマは実母のタマクシ姫に請われて
27-315 ヲシカスツ カレニツクシノ
勅使を辞した。そのため、筑紫の守たちはウガヤフスアワセズに
27-316 ミユキコフ トキニヰツセニ
行幸されるよう願い出た。そこで君はヰツセに
27-317 ミコトノリ タガノヲキミト
詔した。「ヰツセを多賀の御君とする。
27-318 オシクモト クシミカタマト
オシクモとクシミカタマは
27-319 マテニアリ タネコハミコノ
左右の臣となれ。タネコは皇子タケヒトの
27-320 オオンモリ ミコタケヒトハ
御守役となれ、皇子のタケヒトは
27-321 トシヰツツ マタイワクラハ
まだ五歳なのだから。またイワクラは
27-322 ミヤウチノ ツホネアツカリ
宮中の局を束ねよ」
27-323 アマキミハ ツクシニミユキ
君は筑紫に行幸された。
27-324 ムロツヨリ オカメニメシテ
室津より大亀船に乗られて
27-325 ウドノハマ カゴシマミヤニ
鵜戸の浜につき、鹿児島宮に入られた。
27-326 ミソフカミ ミカリオコエバ
筑紫の三十二県の守が巡幸を願ったので
メクリミテ スタルオナオシ
筑紫の田を見て回った。廃れた田を直し
【スタルオナオシ タエオタシ】 「スタル」を直したのは田であろう。とすると「タエ(絶え)」たのは水と考える。
27-328 タエオタシ ミナヲサマルモ
涸れた井堰を修復し、全て建て直せたのも
27-329 イカツチノ カミノイサオシ
イカツチノ神(ニニキネ)の功績が
27-330 ノコリアリ トトセニタミモ
残っていたからである。十年で民も
27-331 ニギハヒテ ヨロトシウタフ
賑わうようになり、末永い繁栄を祝い歌った。
27-332 ミヤサキノ キミノミココロ
宮崎の宮で、君は
27-333 ヤスマレバ ヨハヒモオヒテ
心安らかであったが、最期の時も近づき
27-334 ハヤキジノ タガニツクレバ
急使者が多賀宮に告げたので、
27-335 オトロキテ ミコタケヒトト
驚いて皇子のタケヒトと
27-336 モリタネコ タガヨリイデテ
守役のタネコが多賀より出発した。
27-337 ニシノミヤ オオワニノリテ
西ノ宮から大鰐船に乗り、
27-338 ウドノハマ ミヤサキミヤニ
鵜戸の浜に着き、宮崎宮に
27-339 イタリマス ミヲヤアマキミ
入られた。ミヲヤアマキミ(ウガヤフキアワセズ)が
27-340 ミコトノリ タケヒトタネコ
詔された。「タケヒトとタネコ、
27-341 シカトキケ ワレツラツラト
よく聞け。吾がつらつら
27-342 オモミレバ ヒトクサノミケ
思うには、民の食糧が
27-343 シゲルユエ ウマレサカシク
よく採れるようになり、生まれてくる子も賢くなった。
27-344 ナガラエモ チヨハモモヨト
人の寿命も千年と言うが、実際は百歳程で
27-345 ナリカレテ ワガヤソヨロモ
死ぬのだ。吾は八十万歳と言われるが
27-346 モモトセモ ヨノタノシミハ
百歳といっても、この世で楽しく生きる
アイオナジ アマテルカミモ
ということには変わりはない。アマテルカミが
【アマテルカミモ カエラセバ】 アマテルカミが亡くなることは次の28綾に書かれている。
カエラセバ アノミチマモル
亡くなられたので、天の道を守る
【アノミチマモル ヒトモナシ】 「アノミチ」はことあるごとにアマテルカミが説いた人の生き方や政のあり方。
27-349 ヒトモナシ モロトモホムル
人もいなくなり、人々を褒め導く
27-350 カミモナシ ナンヂフタリモ
神もいなくなってしまった。汝ら二人も
27-351 ナガラエズ ヰツセハコナシ
いつまでも生きているものではない。イツセには世継ぎがいない。
27-352 タケヒトハ ヨノミヲヤナリ
タケヒトはこれから世の人々の御親となる身だ。
タネコラモ ヱトムソウチニ
タネコ等も、近いうちに
【ヱトムソウチニ】 直訳すれば「ヱトの60年のうちに」となるが、それでは結婚する年齢をとっくに過ぎてしまう。これまでの年齢や暦の数字と同じように考え、「近いうちに」とした。
27-354 ツマイレテ ヨツギオナセヨ
妻を娶って世継ぎをつくるように。
27-355 タケヒトハ トシソヰナレバ
タケヒトは十五歳なので
27-356 ワガカワリ タネコガタスケ
吾の跡を継ぐように。タネコが補佐して
ヲサムヘシ シラヤノヲシテ
世を治めよ。天君の印の白矢の御璽は
【シラヤノヲシテ】 29綾本文224と226のタケヒトとナガスネヒコの戦いの場面に出てくる「ハハヤノカンヲシテ」と同一の物であろう。白矢と御璽がセットになっていて、皇統の継承者を表すものだったのであろう。
27-358 タケヒトニ クニオシラスル
タケヒトに、国を治める
27-359 モモノフミ タネコニユツル
百編の文はタネコに譲るように
27-360 ワガココロ サキニカガミハ
吾は心に決めた。先に八咫の鏡は
27-361 オシクモニ マタヤヱガキハ
オシクモに、また八重垣の剣は
27-362 ワニヒコニ サツクオヒメガ
ワニヒコに授けてあるが、それはタマヨリ姫が
27-363 アツカリテ ワケツチミヤニ
預かって、別雷宮に
27-364 オサメオク ホツマナルトキ
納めて置いた。世の中がよく治まる時は
27-365 オノツカラ ミクサノタカラ
自ずから三種の神宝が
27-366 アツマリテ ミヲヤトナスガ
集まってくる。それはタケヒトが君になった時であり、
27-367 ホツマゾト ミヤザキヤマノ
それが真のホツマの国なのだ」と詔されて、宮崎山の