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タケヒトが命じて、椎の木の竿の端を
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持たせて船に引き入れ、
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シイネツヒコと名を授けた。シイネツヒコの
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導く船が宇佐に着くと
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ウサツヒコはヒトアガリ宮で
【ヒトアガリミヤ】
宇佐市拝田に「足一謄宮」の遺跡として石碑が立っている。「足一謄宮」は古事記、「一柱謄宮」は日本書紀。これがどのような物かは、岩波文庫版日本書紀には「記伝には、川岸の山へ片かけて宮を構え、一方には流の中に大きな柱を一つかけて作った宮かという。」とある。また、「日本神話の考古学」(森浩一著)には、中国雲南省の古墳から出土した青銅製の、二本の柱で屋根の棟木を支える、高床の建物模型に注目している。それは梯子で登る高い床の上に壁はなく、内部の様子が丸見えという図版も載っている。
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宴を開いた。御膳のお世話をした
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ウサコ姫をタネコが妻に娶りたいと
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父のウサツヒコに申し出て、筑紫の勅使になった。
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その後一行は安芸の国のチノ宮で年を越した。
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三月には吉備の高島に行き、
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中国の政を治めて
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三年おられた。三年の間に政が軌道に乗り
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また船で出発した。それはアスス暦五十五穂、
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二月であった。潮の流れが急な
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ミツ岬を通り、浪速という名の
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港からヤマアト川を
【ヤマアトカワ】
本文の描写では、タケヒトは外海から大阪湾に入り、さらに浪速を経てヤマアト川を溯ったとなっている。今の大阪市の上町台地より生駒山まではかつて河内湖、それ以前は河内潟と呼ばれ、大阪湾と区切られた潟湖だった。長浜浩明著「古代日本『謎』の時代を解き明かす」によれば、この河内潟には潮の干満を利用して、船は満潮時に侵入し、そして干潮時にかつての大和川の川筋を辿ることによって大和川河口に達することができたようである。その川筋の部分を「ヤマアト川」と呼んだのかとも思う。
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遡って河内日下の
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アウヱモロの館に着き、戦の
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準備が整った。龍田の道は
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並んで歩けないほど細かった。生駒山を越えると
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ナガスネヒコが軍を起こして
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「我が国を奪おうとするのか」と
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クサエ坂で戦い合った。
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ヰツセは肘を射られて
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進むことができなかった。皇タケヒトはみなに
【スメラギ】
ここまでのタケヒトは「キミ」と表現されていたが、ここから「スメラギ」と書かれている。タケヒトが即位するのはこの後なので、本書では君の位の者にのみ「尊」を付ける原則に従い、それまでは「タケヒト」と表記する。
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作戦を告げた。「吾は日の神アマテルカミの子孫である。
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日に向かうのは天に逆らうことになるので
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ここは退いて、神を祭り
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日の動きに合わせて襲えば敵を
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破ることができるだろう」一同、もっともだと思い
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八尾に退いた。敵も追ってこなかったので
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船でチヌへ行った。チヌの山城
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ヰツセが亡くなり、紀の竃山に
【キノカマヤマ】
和歌山市和田に竈山神社があり、イツセ命が祭られている。
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亡骸を送った。名草のトベが
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軍が進むのを拒んだので、成敗して佐野へ行き、
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熊野村に向かい、そこから船で磐盾を陸に見て
【イワタテ】
新宮市の神倉神社辺りに磐盾という地名がある。当時は海から神倉神社辺りは十分に見通せたであろう。この前後に出てくる地名で漢字表記してあるところは、現在まで何らかの形でその名が残っている所。
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沖を漕いで行った。強風が吹いて船を
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翻弄した。イナヰイがわめいて
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「父は天の神で、母は海の神なのに
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どうしてこんなに、陸でも苦しめられ
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また海でも苦しむのか」と海に飛び込んで、サビモチの
【サビモチ 】
「サビ」は「身から出た錆び」のように使われる「悪い報い」か、「荒びる」と書く「生気・活気が衰え、元の姿などが傷つき、いたみ、失われる」というような意味か。
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海の神となった。ミケイリもまた
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逆まく波の海を恨んで
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死んでしまった。皇も皇子も
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無事に上陸し、荒坂に向かったが、
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反抗するニシキドが軍を拒んだ。
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毒物を仕掛けられ、手も出せず疲れ果てて
【ヲヱハケバ】
「ヲヱ」は毒、毒気。土地のニシキドという部族がタケヒトの軍に抵抗したのだから、「毒を吐く」という表現は不適当。なんらかの毒性のある煙や液体を仕掛けられたとしたが、具体的にはそれが何かはわからない。
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みんな眠りこけてしまった。タカクラシタに
【タカクラシタ】
アマノコヤネ(カスガ)の末。タカクラシタが夢の告げで、倉の剣をタケヒトに差し上げたというのであるから、タカクラシタは君の異変を聞きつけてこの場にやってきたと考える。31綾にタカクラシタの功績が書かれている。タケヒトと酒を酌み交わし、ついには君よりオシモメのユリ姫を賜るほどの人物。
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次のような夢の告げがあった。タケミカツチに
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アマテルカミから「国が騒がしくなっているので
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汝が行くがよい」と詔があった。アマテルカミへタケミカツチが
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「行かなくても、国を平定するフツの御魂の剣を