ホツマツタヱ 全行現代語対訳

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富士と淡湖、瑞の綾

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アスス四百二十八年

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一月十二日、君の御位を

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受け継いで、ネコヒコはヤマトフトニノ

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アマツキミとなった。

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諸臣に諮って、天の御孫(ニニキネ)の

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前例に従って、正装の姿を民に拝謁させ、

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母の御位を上げて御上后とした。

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前年の十二月四日に黒田の

【クロダノイホド　】 奈良県磯城郡田原本町黒田に「孝霊神社(別名、廬戸神社)」がある。

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廬戸(ｲﾎﾄﾞ)に宮を遷して、今年を

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ヤマトフトニ元年とした。二年二月

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十一日に、磯城のオオメの娘の

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ホソ姫を后にした。カスガ

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チチハヤの娘のヤマカ姫を

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スケ妃とし、トイチマソヲの娘の

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マシタ姫をココタエにした。

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内妃は四人、シモ妃も四人とした。

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三年春、オオミナクチと

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オオヤグチを一緒に宿禰にした。

【スクネ】 広辞苑では、「古代、重臣に対する敬称」また「朝廷豪族中の有力な諸氏に与えた姓の一種」となっているが、単なる姓ではなく位を指しているのではないか。

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夏、内妃のヤマトクニカ姫が

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三つ子を産んだ。名はみなヤマトを付けて

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ヤマトモモソ姫、ヤマトヰサセリヒコ、

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ヤマトワカヤ姫である。母もヤマト

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オオミヤ姫という名前を賜った。十一年の冬、オオミヤ姫の妹の

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ハエ姫を内妃にした。十三年十二月一日、

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ハエ姫もまた三つ子を産んだ。

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名は長男がヱワカタケヒコ、二男が

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ヒコサシマ、三男がトワカタケヒコである。

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母も称えてワカオオミヤメとした。

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十八年一月望の日に、后が

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産んだ皇子は、ヤマトネコヒコ

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クニクル、諱モトキネである。

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二十五年春、恒例の一月十一日に

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県主を召して、みなに賜い物を与え

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詔を下した。「もし、三つ子を

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産んだ者がいたら吾に知らせよ。

【ミカドニツゲヨ】 「ミカド」は天皇の尊称の「帝」とも取れるが、自ら尊称を使うことになる。「御門」と読み、皇居の門、天皇の居所をいうことで自らを表している。

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下の民であっても褒美を与えよう。

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その訳は、天の御孫の后の

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コノハナサクヤ姫が三つ子を産んで

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以来、三つ子の話は聞いていない。吾には今三つ子が

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生まれたが、伝え聞くところによると

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三つ子を、間引くと称して

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殺しているそうだ。今から、そのようなことがあれば

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罪人にする。自分の子であっても人は

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天から授かったものだ。鹿や犬の千匹より

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人ひとりの命は大切である。これはタケミナカタの

【タケミナカタノノリ】 15綾本文134以降に諏訪の臣(タケミナカタ)が、信濃が寒く、鳥の肉を食べることを願い出てからの出来事が書かれている。これが教訓となった。

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教えである」と決まりが定まった。

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国司は民にこの詔を知らせようと

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みな帰った。翌十二日の朝

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諏訪の祝主が富士山の絵を

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献上した。君はこの絵を褒めた。

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同じ時、白髭(スセリ)の子孫の

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アメミカゲが淡海の絵を

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献上した。君が大変気に入った

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献上品であった。ある日カスガに

【アルヒカスガニ　ノタマワク】 「カスガ」は誰か。父親の兄弟(叔父)で母親の親(祖父)でもあるカスガヲキミ(オシギネ)と、スケ妃のヤマカ姫の父親のカスガチチハヤが考えられる。二人のカスガは叙述からは同一人物とは考えられないが、「カスガ」という名から近い関係ではあろう。ここでは、父親がしたことを親密に話していることから、カスガヲキミではないかと考える。