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37-056 イワハルル メヲノミヲヤノ
お祝いしてくださる夫婦のミヲヤ神
37-057 カミゾタフトキ      
はとても尊い神です」。
トキニカミ ツゲノミウタニ
その時の神のお告げの御歌は
【ツゲノミウタ】 ミヲヤ神が答えるわけがないので、下賀茂神社の神主の返歌とも考えられるが、現在の「おみくじ」のように用意された文を読んだのかもしれない。
37-059 ヨノナカニモノオモフヒトノ
「世の中に悩みのある者が
37-060 アリトイフハワレオタノマヌ
いるというけれど、それは吾を頼みにしない
37-061 ヒトニゾアリケル     
人なのだ」。
37-062 カミウタオ キキテタタネコ
神の歌を聞いて、オオタタネコが
37-063 イワクコレ マヨフユエナリ
言った。「これが、迷った理由です。
37-064 イマヨリソ モモカモフデテ
今から百日賀茂神社に詣でてから
37-065 キタリマセ ワレハカラント
来てください。我がよいように取り計らいましょう」。
37-066 ユクキブネ タタネコガウタ
タタネコは貴船神社に行った。そこでのオオタタネコの歌は
アワウミノ アヅミノカミト
「淡海の安曇の神と
【アワウミノ アヅミノカミト スミノヱモ】 27綾本文099~110に貴船の神について書かれている。
37-068 スミノヱモ トモニキブネノ
住吉の神も、共に貴船の
37-069 マモリカミカナ      
守り神であります」。
カモニユキ ワケイカツチノ
賀茂の宮に行って別雷の
【カモニユキ】 この「カモ」は別雷の神(ニニキネ)が祭られている上賀茂神社。
37-071 カミモマタ ニギテトワカト
神にもまた幣とワカ歌を奉納した。
37-072 ヒトグサオ ワケイカヅチノ
「民を別雷の神が
37-073 マモルユエ ミヨハヲサマル
守ってくださるので、世は安泰です。
37-074 カモノカンカゼ      
それは賀茂の神の御威光によるのです」。
37-075 タタネコガ カエリモフサク
タタネコが帰って君に進言した。
37-076 カモノミヤ アルルオフシテ
「賀茂の宮が荒れています。よくよく
37-077 オモミレバ カモトイセトハ
考えてみれば賀茂の神も伊勢の神も
37-078 ミヲヤナリ スデニヤブレテ
君の御先祖なのです。それなのに賀茂の宮は既に破損がひどく
37-079 イヅホソシ マモリホソキハ
御威光も陰っております。政が行き届かなくなっているのは
37-080 オトロヒカ キミキコシメシ
賀茂の宮の御威光が衰えているからでしょう」。君が聞かれて
37-081 タタネコガ マゴクラマロオ
タタネコの孫のクラマロを 
37-082 イワヒヌシ ナモオオカモト
祝主としてオオカモの名を授け、
37-083 カモヤシロ サラニツクラセ
賀茂の社を新しく造らせた。
37-084 ネツキモチ ミヲヤワタマシ
十一月望の日にミヲヤ神を遷して
37-085 アスソムカ ワケイカツチノ
翌十六日、別雷の神の
37-086 ミヤウツシ オオタタネコオ
宮遷しをした。君はオオタタネコを
37-087 サオシカノ ニキテオサムル
勅使として幣を納めた。
37-088 ツギノトシ カモニミユキノ
翌年、賀茂に行幸するための
37-089 ミチツクリ サラニウチハシ
道を造った。新しく宇治川の橋を
37-090 ツクリキノ キヅハカリハシ
造り、東の木津川には仮橋を架けた。
37-091 ヤヨイハヒ ヤソトモソロエ
三月一日、大勢の供の者を従えて
ミヤコデテ タマミヅヤドリ
都を出発し、玉水で宿をとった。
【タマミヅ】 京都府綴喜郡井手町にJR奈良線の「玉水」という駅名がある。「玉水」という地名はないが、ここが行幸の経路にあたると考えられる。
37-093 フカカアヒ ミテクラオサム
二日に河合で幣を
37-094 ミヲヤカミ ヤマシロフチガ
ミヲヤ神に納めた。そこではヤマシロフチが
37-095 ミアエナス ミカキブネヨリ
宴を開いた。三日に貴船より
37-096 カモニユキ ワケイカツチノ
賀茂に行き、別雷の
37-097 オホカミニ ミテクラオサメ
大神に幣を納めた。
カモツミガ ニイトノマエニ
新しくしたカモツミの殿の前で
【カモツミガ ニイトノマエニ】 「カモツミ」を26綾本文149でニニキネから河合の国を給わり、河合の殿に住んでいたカモタケツミだと考えると、後にカモタケツミの子のタマヨリ姫がウガヤフキアワセズと住んだ所が河合の国の下賀茂社なので、「カモツミガニイトノ」は、現在は下賀茂社の摂社となっている河合神社と考えられる。
37-099 トリケアフ キミタノシメバ
闘鶏が行なわれた。君が楽しまれている時
37-100 ワランベガ イロヨキトリオ
子どもが姿のよい鶏を
37-101 ホメイワク イヨカマハダヨ
褒めて言った。「いよっ、カマハダよ」。
37-102 キミトケズ マテニトフイマ
それを聞いた君は意味が分からず、傍にいた者に聞いた。
37-103 ワランベガ カマハダハナニ
「今、子どもが言った『カマハダ』とはどういう意味なのだ」。
37-104 イワクコレ ハヤリウタナリ
「これは流行り歌です。
37-105 オホクニガ ムスメカマハダ
オホクニの娘のカマハダ姫は
37-106 ウツクシク アメニカカヤク
美しいので、世間では大評判なのです。
37-107 カレナヅク ヨカウヂニユク
それで、姿のよい鶏を『カマハダ』と呼んだのです」。四日、宇治に行く
37-108 ミチスガラ ヨキヒトエンハ
道すがら、あの美しい娘を得ることができるなら、
37-109 シルシアレ ホコトリイノリ
その兆が現れるようにと、矛を取り出して念じながら