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【オホカメオ ツケバナルイシ】
宇治川の平等院の対岸の方に亀石があるが、現在は川の中である。亀が石になることはないので、亀のような形の石を見て縁起を担いだのか、実際にはどんなことなのかは分からない。
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「これは善い兆しだ」と言って、その石を宇治の亀石と名付けた。
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帰ってからサラズの娘、
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カマハダトヘ姫を宮に上らせて
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妃とした。妃はイワツクワケ
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皇子を産んだ。諱はトリヒコである。
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ヤマシロフチの娘のカリハタトヘ姫も
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ミヲヤワケとヰイシタリヒコと
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ヰタケワケの三人を産んだ。
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三十五年の九月にヰソキネは
【タカイシト チヌノイケホル】
高石市の辺りにあったと思われるが、次のサキとアトミの池も含めて灌漑用の池で、現在の地図を見ると埋め立てなどがあったと思われ、場所ははっきりしない。
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十月にはサキとアトミに池を掘った。
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諸国にたくさんの池や水路を
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造らせた。収穫が増えて
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民は豊かになった。三十七年一月一日、
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ヲミエにタリヒコは十八歳で
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世継ぎ皇子になった。三十九年十月、
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ヰソギネは打ち鍛えた
【アカハダカトモ】
「アカハダカ」は赤裸と読み、サヤに納めてない抜身の刀を言う。「トモ」は「部、伴」と読み、千本の剣にも位を付けたのではないか。
【オシサカニオク】
奈良県桜井市に忍坂(現在は「オサカ」)という地名が残っているが、そのどこに納めたのかは不明。
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その際君は、シトリ部、タテ部、
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オホアナシ部、ユミヤ部、ハツカシ部、
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タマ部、アマノオサカ部、
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チノ部、キ部、タチハカセ部の
【トシナヘオ アワセタマワル】
「ヘ(ベ・部)」は広辞苑によると「大和政権下における人民支配の一方式。人民を居住地や職業によって新たな集団に編成して支配し、これを部と呼んだ」とある。10種の部の詳細は不明だが、職能集団のように思われる。天皇はその支配権をヰソギネに譲ったのであろう。10種の部の読み方についても、日本書紀では「ユミヤ部」を神弓削部と神矢作部の二つの部とし、「チノベ」と「キベ」を「日置部」の一つにしている。別の区切り方で読んでいる研究者もいる。正しい読み方とその内容の分かる資料が出てくることを願っている。
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ニシキ皇子は千本の剣を
【イソノカミ】
奈良県天理市に石上神社がある。
【カミガカスガノ イチカワニ ツゲオサメシム】 カスガに告げたのは石上の社の者か、イチカワの夢または願いのようなものか。
【カミガカスガノ イチカワニ ツゲオサメシム】 カスガに告げたのは石上の社の者か、イチカワの夢または願いのようなものか。
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イチカワに告げて、千本の剣を納めさせたのである。
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ニシキ皇子(ヰソギネ)はイチカワを石上の社の司とした。
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六十四年、五月雨が四十日も
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降り続いて、田の稲はいもち病にかかり、
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傷んで枯れそうになった。君に申し上げると、
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君自ら風生の祭りを
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行われ、再び稲は活き返り、
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稲穂が実った。神へのお礼の
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穂積祭りも君自ら
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されたので、国は豊かになった。
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八十七年二月五日に
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ニシキ皇子が妹に言った。
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「我はもう歳だから御宝を守って欲しい」。
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妹のヲナカ姫は断った。
【ホコラタカクテ】
日本書紀では「宝を納めてある祠が高くてできない」という記述だが、私は「タカクテ」を責任が重いと解釈した。
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それでもニシキ皇子は「荷が重いというのなら
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我が作った神の祠を守るのも
【カケハシノママ】
解釈の分かれるところである。「カケハシ」を梯子と訳すと、「梯子があるから大丈夫だ」となるが、にもかかわらずヲナカ姫は兄の願いを無視してトチネという男に任せてしまうことになる。私は、「カケハシ」は「双方の関係を取り持つ人」(大辞林)ということで、結婚することと解釈し、ニシキ皇子は妹に夫を迎えさせ、役を譲るが、実質は夫に任せようとしたのではないかと考える。
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ヲナカ姫は結婚し、夫の物部トチネに
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役を任せた。タニハミカソの
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家の犬のアシユキが
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食い殺した狢の腹の中に
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ヤサカニの玉が入っていたので
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石上の社に納めた。八十八年七月十日、
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君が「吾が聞くところによると、昔