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07-046 ヲンメグミ ナニワスレント
そのキミの恵みをどうして忘れることがありましょうか」と
ヰヰナガス カンミムスビノ
うそぶいた。カンミムスビのヤソキネが
【カンミムスビ】 タカミムスビ系の6代タカミムスビ、ヤソキネ。アマテルカミの伯父。
07-048 シカリテゾ ナンヂカサリテ
叱りつけた。「汝は嘘をついて
07-049 マドワスヤ ワレヨクシレリ
我等をだますつもりか。我はよく知っているぞ。
07-050 トモオコヱ チカラオカシテ
仲間より先に出世するように力を貸して、
07-051 ハハガアゲ マツリサヅケテ
母サシミメがマスヒトにしてやり、
コトナスオ ハハニシタエバ
クラコ姫と結婚させて親子となれたのに、その母に思いを寄せた。
【コトナス】 和仁估本では「ゴ」他の写本には「コ」とあるのでそちらを採り、「子と成す」とした。すなわち、クラコ姫と結婚させたこと。
07-053 ヒメガウム カクサンタメニ
妻のクラコ姫が嫌がったのを隠すために
ナガシヤリ タミノメウバヒ
母子を追いやった。その上、民の目をごまかして
【タミノメウバイ】 「タミノメ」を「民の女」とする訳もあるが、そうすると民の女を奪ったことに対してなんの咎めもないのはおかしいので、「民の目奪い」と読んで、「目をごまかす」と解釈した。
07-055 チカラカス メグミワスルル
税をかすめ取った。(罰を言い渡す。) キミの恩を忘れた罪、
07-056 フモモクラ サルモモモクラ
二百クラ。母を捨てた罪、百クラ。
07-057 フムガヰソ ツカムノムソデ
妻の心を踏みにじった罪、五十クラ。税をかすめ取った罪、六十クラ。
07-058 ヨモソクラ コレノガルルヤ
合わせて四百十クラ。これを逃れることはできるか」。
07-059 コタヱネバ ツツガニイレテ
シラヒトは返す言葉がなく、牢屋に入れられた。
ヲヲンカミ モロトハカリテ
アマテルカミは諸臣と会議を開いて
【ヲヲンカミ】 アマテルカミ。アマテルカミは生まれてすぐに即位して、ここまでは「ヒノカミ、ミコ、アメミコ、キミ」等と書かれてきたが、ここで初めて「ヲヲンカミ」と呼ばれている。「アマテルカミ、アマテラシマスヲヲンカミ」等いろいろな呼ばれ方をする。訳は、「アマテルカミ」を多く使うが、状況によって違う場合がある。
07-061 ヤソギネオ ネノクニカミト
「ヤソキネをネの国守とする。
イサナギノ ウブヤニオヂト
イサナギ尊が吾を産んだときに、産養い(ウブヤシナイ)をしてくれた伯父と
【ウブヤニオヂト オバナレバ】 ウブヤは「産養い」。広辞苑では「出産後、三夜、五夜、七夜、九夜に行う祝。特に平安時代、貴族の家で盛んに行われた。」とある。平安時代に盛んということは、ホツマツタヱに書かれた頃にもあったと考えられる。
07-063 オバナレバ マツリタヱズト
伯母であるから、末永く安泰に治めていくだろう」と
07-064 ミコトノリ モチテタミタス
詔を下した。この詔によってネの国の民を治めた
07-065 ヲヂトオバ シラヤマカミゾ
伯父と伯母は後に白山神と呼ばれた。
07-066 イサナギハ マツレドオトノ
叔父と叔母はイサナギ尊を祭っても、弟の
07-067 クラキネハ マツラズモチガ
クラキネは祭らなかった。モチコ姫が
07-068 クラヒメオ カンサヒノコノ
クラコ姫をカンサヒの子の
07-069 アメオシヒ メアワセスケガ
アメオシヒと結婚させて、スケ妃モチコ姫の
07-070 アニトナシ チチマスヒトノ
兄として、父カンサヒのマスヒトの
07-071 マツリツグ シラヒトコクミ
地位をアメヲシヒに継がせた。シラヒトとコクミは
コノイワヒ ナカバサオヱテ
この祝いに免じて刑を半分に減刑され、
【サオエテ】 「サ」は、辞書では接頭語として語調を整える語となっている。しかし、「サ牡鹿・サ渡る・サ乙女・サ苗」などの用例からみると、「サ」には「清い・正しい・善い・神聖な」などの意味が込められているように思う。ムカツ姫の言葉で、ソサノヲの行いの半分は本人が悪いのではないとして、半分(ナカバ)は罪がないとされ(サオエテ)、死罪より流浪になったと理解できる。
07-073 サスラヒノ ヒカワニヤルオ
流離の刑になって、ヒカワに追いやられたところ、
07-074 マスヒトノ ワガトミトナス
マスヒトのアメオシヒが自分の臣としてしまった。
07-075 ソサノヲハ コレトトノヒテ
ソサノヲはこれらの出来事が落ち着いたので、
07-076 マナヰナル カミニモフデル
真名井の神(トヨケ神)に参拝した。
07-077 ソノナカニ タオヤメアレバ
参拝者の中に淑やかな女の人がいたので、
07-078 コレオトフ マカタチコタフ
どちらの方かと尋ねた。侍女が答えて
07-079 アカツチガ ハヤスフヒメト
「アカツチ命の娘のハヤスフ姫です」と言うのを
07-080 キコシメシ キジオトバセテ
聞かれて、使者を遣わし
チチニコフ アカツチミヤニ
姫の父親に、姫との結婚を申し入れた。アカツチは「尊の宮に
【ミヤニトツガン】 宮を持つということは一人前の宮人として認められるということ。そういう身分なら結婚させようとしたが、ソサノヲはそれを認められなかったので、結婚することもできなかった
07-082 トツガント イエドミヤナク
嫁がせましょう」と言ったが、ソサノヲは宮が持てず結婚できなかった。
07-083 ヲヲウチノ オリオリヤドル
ソサノヲは大内にしばしば来て、泊まっていった。
07-084 ネノツボネ ヱトヤスメトテ
ネの局のモチコ・ハヤコ姉妹が泊まっていくことを勧めたのだ。
07-085 ウチミヤノ トヨヒメメセバ
内宮のヒニムカツ姫はトヨ姫を北の局にした。
07-086 ネノツボネ サガリナゲケバ
北の局だったモチコ姫とハヤコ姫が降格を嘆くのを
07-087 ソサノヲガ タタヱカネテゾ
ソサノヲが聞いて、怒りをこらえることができなかった。
07-088 ツルギモチ ユクオハヤコガ
剣を持って内宮へ行こうとするのをハヤコ姫が
07-089 オシトトメ イサオシナラバ
押しとどめて言った。「功を立てようと思うのなら、
07-090 アメガシタ ハナゴキタレバ
天下をお取りなさい」。そこへハナゴ姫が通りかかったので
07-091 ホコカクス ミヌカホスレド
ソサノヲは剣を隠した。ハナゴ姫は見て見ぬふりをして
ウチニツゲ アルヒタカマノ
そのことを内宮に報告した。ある日、キミが
【タカマノミユキ】 アマテルカミが巡視に出かけたことで、タカマに行幸したのではないと考える。
07-093 ミユキアト モチコハヤコオ
行幸した後に、ヒニムカツ姫はモチコ姫とハヤコ姫を
ウチニメス ヒニムカツヒメ
内宮に呼んだ。ヒニムカツ姫は
【ウチニメス】 「ウチ」は内宮。内宮はヒニムカツ姫(セオリツ姫)を指す場合とその居場所を指す場合があり、この場合は場所。
07-095 ノタマフハ ナンヂラヱトガ
二人に話された。「汝ら姉妹が