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07-145 カグノキ カレテモニホユ 
「香久の木は枯れても匂う、
07-146 シホレテモヨヤ アガツマ 
萎れてもよい匂い、我が妻は
07-147 アワ アガツマアワヤ シホ
天地の神よ、我が妻は天地の神よ、
07-148 レテモヨヤ アガツマ アワ
しおれてもよい匂い、我が妻は天地の神よ」
07-149 モロカミハ イワトノマエニ
諸臣はイワ室の戸の前に
カシマドリ コレゾトコヨノ
カシマ鶏を置いて鳴かせ、「これこそ常世の
【カシマドリ】 かしましく鳴く鶏。特に長く鳴く雄鶏を用意したのだろう。
ナガサキヤ キミヱミホソク
ナガサキだ」と言った。アマテルカミが微笑んで戸を少し開け
【ナガサキヤ】 伝統的な踊りのナガサキとナガナキを掛けたのではないか。
ウカガエバ イハトオナグル
その様子を窺い見ようとした時、イワ室の戸を開け放ち、
【イハトオナグル】 アマテルカミの入っていた斎室の戸を力まかせに開けたこと。
07-153 タチカラヲ ミテトリイダシ
タチカラヲがキミの手を取り、外にお連れ
07-154 タテマツル ツハモノヌシガ
した。ツワモノヌシが
07-155 シメナワニ ナカエリマシソ
イワ室にしめ縄を張って、「中にはお戻りにならないでください」と言った。
07-156 シカルノチ タカマニハカリ
その後、宮中でソサノヲの刑罰について協議した。
07-157 ソサノヲノ トガハチクラノ
ソサノヲの罪状は千クラで
07-158 ミキダガレ カミヌキヒトツ
三回死刑にする程の罪である。まず髪の毛を抜く。
07-159 ツメモヌキ マダトトカネバ
次は爪を抜く。それでもまだ千クラに届かないので
07-160 コロストキ ムカツヒメヨリ
死刑にすると決めたとき、ムカツ姫よりの
サオシカニ ウケモノヰノリ
急使者が来て姫の言葉を伝えた。「神に御神饌を供えて祈ったところ、
【ウケモノヰノリ ヨミカエス】 「ウケ」を「大食」のウケと読み、食べ物などを供えることとした。「ヨミカエス」は「黄泉帰す」すなわち「蘇らせる」と解釈した。すなわち、ハナゴは命を取り留めたのである。
07-162 ヨミカエス ハナゴノヨモサ
ハナゴ姫は命を取り留めました。ハナゴ姫への四百クラの罪を
07-163 ツクノエバ サガオアカセヨ
償ったので、罪が軽くなったことを認めてください。
ソサノヲガ シワザハシムノ
ソサノヲの行状は生まれついての
【シムノムシ】 「シム」は血統、血筋。持って生まれた性格、能力。「ムシ」は蝕み、欠陥。本文224以降に書かれているように、「シムノムシ」はイサナミが身籠った時からの宿命的な性格的欠陥。
07-165 ムシナレド サガナクツツガ
宿命がさせたことで、本人に少しも罪はないので牢屋に
07-166 ナカランヤワヤ      
入れておかなくてもよいのではないでしょうか」。
07-167 コトノリオ モロガハカリテ
ムカツ姫よりの言葉を、諸臣が協議して
07-168 アメモトル オモキモシムノ
天下の道理に反する重罪も、親から受け継いだ宿命によるものだからと
07-169 ナカバヘリ マシワリサルト
罰を半減させ、「マジワリサル」の刑とした。
スガサアヲ ヤヱハヰモトム
菅笠と青い衣で、日々水底を這うシタダミの如く流離うことを命じ、
【スガサアヲ】 菅笠と青い衣は罪人の身に着けるもの。
シタタミノ サスラヤライキ
下民のように流離わせた。
【シタダミノ】 小さい巻貝の類の古名。今のコシタカガンガラやイシダタミにあたる。下民「しただみ」と掛けて表現してある。
07-172 ヲヲンカミ シロシメサレバ
アマテルカミがまた政を執られると、
07-173 アマテラス ヒトノオモテモ
世の中が明るくなって、人の顔も
タノシムニ ミチスケノウタ
楽しそうになった。「ミチスケの歌」
【ミチスケ】 「道透け」か。道理が通って世の中が明るくなること。
07-175 アハレ アナオモシロ   
「世は晴れて、ああ面白い
07-176 アナタノシ アナサヤケ  
ああ楽しい、ああ清々しい、
オケ サヤケオケ     
オケ、清々しい、オケ、
【オケ】 囃子詞。神楽歌や催馬楽の囃子詞として今も残る。「オケ」を「汚穢」「悪気」などとすることも考えられるが、その場合はホツマ文字では「ヲ」になると思われる。また、このような歌で、マイナスイメージの言葉を三回も繰り返すことも考えにくい。
07-178 アワレ オモシロ     
ああ面白い、
07-179 サヤケオケ アナタノシ  
清々しい、オケ、ああ楽しい」
07-180 アイトモニ テオウチノベテ
みなが一緒になって、手を打ち、手を振り
ウタヒマフ チワヤフルトゾ
歌い舞った。イワ室の戸が開いたと言って
【チワヤフルトゾ】 「チワ」は「チイワ」の短縮で千岩のように容易に開けられない戸。「ヤフル」は破る、すなわち開くこと。この時点では、枕詞で知られる「千早振る」ではない。
07-182 タノシメバ コレカンクラニ
喜んでいると、その時キミは神座の殿に
アマテラス ヲヲンカミナリ
「アマテラスヲヲンカミ」としてお出ましになった。
【アマテラスヲヲンカミ】 訳文では分かりやすいようにすでに「アマテルカミ」と書いてきたが、ここで初めて「アマテラスヲヲンカミ」と名乗った。
07-184 サスラヲハ ミコトオウケテ
ソサノヲは「以前、父キミより詔を受けた
07-185 ネニユカン アネニマミユル
ネの国に行きたいと思います。姉上に会ってきたいので
07-186 シバシトテ ユルセハノボル
しばしの時間を下さい」と言った。アマテルカミが許したので
07-187 ヤスカハベ フミトドロキテ
ヤスカワベへ行った。ソサノヲが歩く度に大きな音がし
ナリウゴク アネハモトヨリ
地面が鳴り動くようだった。姉のワカ姫は以前から
【アネハモトヨリ】 ソサノヲが訪ねたのはワカ姫だが、記紀では天照大御神となっている。
07-189 サスラヲガ アルルオシレハ
ソサノヲが荒々しい性格であることを知っていたので
07-190 オドロキテ オトトノクルハ
驚き、「弟が来るのは
07-191 サハアラジ クニウバフラン
他でもない、国を奪いにきたに違いない。