【アメツチモ ウチトモスガニ トホルトキ】 どのような時か。この後に鬼やらいや「カカンノンデン」があり、祝い歌などを歌っているので、単にアマテルカミの話を聞くための行事とは思えない。「鬼やらい」は今では節分の行事だが、もともとは大晦日に宮中における悪鬼・疫病を追い払う追儺という行事だったとされる。それらをよりどころとして、年を越す時、すなわち大晦日と解釈した。
【モロヨロ】 「モ」が100、「ロ」が10000、「ヨロ」が10000、「モロヨロ」で百億。誇張にしても大げさだが、大勢を強調しているのであろう。2行前の「八百万三千」も「たくさん」としたが、「三千」という端数に何か意味があるのだろうか。
【ヒノシマ】 「シマ」は門。「ヒ」(日)と「ツキ」(月)については、二通りの解釈が考えられる。一つは、日の門を正門、月の門を裏門とする。もう一つは、アメミオヤの左目が日で、右目が月ということをもとに、正門の左右の通用門とする。筆者は後者と考えた。
【ミヨノサクラノ ナラシウタ】 24綾本文232~239にコノハナサクヤ姫が、「昔曾祖父のサクラウシ(サクラウチ)が桜の花を奉げ、人々のイセの道がうまくいっているかいないかを判断した」と述べていることから、「イセの道の習わし」を歌ったのではないか。
【ヲラントス】 「ヲル」を「織る」と読むと「世継ぎの綾」をまとめる、編纂するということになるが、ここでは皆に話しているので、いろいろな内容を話にまとめることと考えた。 【ヨロノヨワヒ】 10000歳や1000歳の人がいるわけがないが、アマテルカミの話の中の言葉としてそのまま訳した。10000歳は、高齢を意味していると考える。
【ウツホ】 場としては存在するが、何もない状態。端的に言えば「空気」。現代では、私たちの周りの空間には何もないようだが空気が存在していることは子どもでも知っている。宇宙規模で見れば、空気は地球の表面にわずかあるだけだが、この時代には、このような空間が宇宙全体に広がっているような感覚だったのであろう。
【ミハシラ】 天の御柱。渾然とした中からこの世のあらゆるものが出現するその核となるようなものとして創出されたのであろう。ミカサフミでは透き通っており、中は管になっていると書かれている。この綾の本文017に、御柱を立てる場面がある。地上で建てた御柱が天の御柱とつながり神が降臨する依代となると考えられたのであろう。