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ヲノウツホ カゼウムカゼモ
ヲのウツホは風を生み、風も
【ヲノウツホ カゼウム】 何もない空間で風が生じることを「ウツホ(空気)が風を生む」と表現した。
【カゼモ ホオウミテ】 風が火を生むとは、風で木がこすれて自然発火する山火事などを言ったのだろうか。
ホオウミテ ヲハミツトナリ
火を生んで、ヲは『ウツホ』『カセ(風)』『ホ(火)』の三元素となった。
【ヲハミツトナリ】 「ヲ」が3つのものになった。この後「メ」が2つになり、この5つが「人」になる元だと当時は考えられていた。この時代の最小単位の概念として「元素」と訳したが、当然現代の水素・酸素などという元素とは違う。
メハフタツ ヲセノムナモト
メは『ミツ(水)』と『ハニ(埴)』の二元素になった。ヲの三元素が
【ヲセノムナモト】 「ヲセ」は男、夫をいうが、この場合は「ヲ」(「ウツホ」「カセ(風)」「ホ(火)」)を擬人化して、その胸元、中心になるところが日輪となった、というように解釈した。
ヒトマロメ ヰモノミナモト
日輪となり、メの二つの元素が
【ヰモノミナモト】 「ヰモ」は女、妻をいうが、この場合は「メ」をその源(水は月より降りると考えられていた)になるところの月となった、というように解釈した。
14-045 ツキトコリ ウツホカゼホト
月となった。『ウツホ』と『カセ』と『ホ』と
14-046 ミヅハニノ ヰツマシワリテ
『ミツ』と『ハニ』の五元素が混じり合って
14-047 ヒトトナル アメナカヌシノ
『人』になった。これがアメノミナカヌシ
14-048 カミハコレ ヤモヨロクニニ
の神である。アメノミナカヌシは多くの国々に
14-049 ヨロコウミ ミナクハリオク
たくさんの子どもを産んで、それらの国に住まわせた。
ヒトノハツ アメニカエリテ
それが人間の初めである。アメノミナカヌシは天界に還って
【アメニカエリテ】 このような考え方は13綾に、カスガの話の中で、トヨケが最初クニトコタチとして生まれて、天界に還り、次にタカミムスビとして生まれ、最後にトヨケとして生まれ代わってきたというところにもある。
14-051 アメミヲヤ アメノカタチハ
またアメミヲヤに戻った。天界の形は
14-052 イワヲヤマ ヒツキモクニモ
巌山のようである。日も月も大地も
14-053 ハラコモリ トハヤヱニギテ
その胎内にある。一番外側には八色の幣がある。
モトアケノ ヨソコノタネノ
モトアケに配置される四十九神の
【モトアケノ ヨソコノタネ】 「モトアケ」はフトマニ図にある神の配置のこと。「ヨソコノタネ」は49神。「タネ」は49神の1神1神を指すのか、語義不明。
14-055 ナカミクラ ミヲヤツゲタス
中心となる中御座でアメミヲヤ神が神意を告げ、天界をまとめた。
ケタスミニ ヤキミトホカミ
アメミヲヤの外側の八隅に八神のトホカミ
【ケタスミ】 「ケタ」を「方、角」と読み、アメミヲヤの外側に八角をかたどってトホカミエヒタメが置かれたと解釈した。
14-057 ヱヒタメゾ ツギアイフヘモ
ヱヒタメを据えた。その外側にアイフヘモ
14-058 ヲスシカミ スエハミソフノ
ヲスシの神(アナレ神)、一番外側に三十二の神、
14-059 タミメヒコ モトナカスエノ
タミメヒコを据えた。これらは本・中・末の
ミクラアリ ソムヨロヤチノ
三座となる。非常に多くの
【ソムヨロヤチノ モノソヒテ】 「モノ」は随神というように解釈されることが多いようだが、他の箇所に裏付けになるような記述が見つからない。すぐ後に「モノトタマシヰ ユイヤワス」とあり、16万8千もの随神がユイヤワスというのも不自然に感じる。ここでは素直に人間を創るパーツと考えてはどうだろうか。
14-061 モノソヒテ ヒトウマルトキ
人間を形作る要素を(タマに)与えて、人が生まれる時
モトツカミ ソノタエモリガ
アメミヲヤ神のもとでトホカミヱヒタメの神が
【ソノタエモリガ タネクダシ】 「タエモリ」はアメミヲヤ神の霊妙な力を護る神、すなわちトホカミヱヒタメの神。モトツカミが総指揮をして、タエモリが「タネクダシ」て、「モノトタマシヰ ユイヤワ」して、それ以降は各神の分業。
14-063 タネクダシ モノトタマシヰ
子種を下し、モノとタマとシイを
ユヒヤワス アナレクラワタ
大切に結び合わせる。アナレ神は心の働きと内臓と
【クラワタ】 「クラ」は感情系器官。「ワタ」は内臓器。17綾解釈ノート250~252参照。
シムネコヱ ナリワミメカミ
性格と言葉と声を司る。身体はミメ神(タミメヒコ・三十二神)が司る。
【シムネコエ】 「シム」は性格。「ネコエ」は言葉と声。言葉や声は性格と関連していると考えたのであろうか。
ワガカミハ ヒツキノウルオ
アメミヲヤ神は日や月のウル(精気)を
【ウル】 日や月から得るエネルギー。精気。
14-067 クダスユエ ヨツギウマント
下すので、世継ぎを産もうと
14-068 オモフトキ メノアカソソギ
思えば、目の穢れをそそいで
アサヒノリ メヨリツキヒノ
朝日に向かって祈る。目から月日の
【アサヒノリ】 日に祈るのだが、本文3行前にあるようにアメミヲヤは日と月の精気を下すので両方の精気が得られる。
14-070 ウルオヱテ トツゲハヲセノ
精気を得て、交われば夫の
14-071 ウルナミガ タマシマガワノ
精気を得た精水が子宮の中の
イモガチト ハラムシラホネ
妻の血と混じり胎児の骨のもとができる。
【イモガチト ハラムシラホネ】 この時代、妊娠から出産までのメカニズムについては、人体の器官も含めて分からないことが多かったので、受胎は妻の血と結びつくことによりできると考えられていたのであろう。「シラホネ」は、胎児の発生は、もとになるもの、核のようなものから始まると考えていたのであろうか。
チチノナミ ハハノアカチト
父の精水と母の赤い血と
【チチノナミ】 「ナミ」は精水と表記しているが、精液のこと。
チナミアヒ ヒルハチノボリ
一緒になって、昼は血が上になり
【ヒルハチノボリ ヨハナミノ ノボル】 この現象が起きていると考えたのは、胎内か体内か。この時代でも胎児になるものが体中をまわるとは考えないだろうから、おそらく子宮(コミヤ)の中でのことと考えたのだと思う。それにしても、この回転の概念は何から生まれたのだろうか。
14-075 ヨハナミノ ノボルヒツキノ
夜は精水が上になり、それが一昼夜で
14-076 ヒトメクリ アスフタメグリ
一回りする。次の日は二巡りし、
14-077 ミメグリト ツキニミソワノ
次に三巡りというように増えて、一カ月で三十回に
14-078 メグリマシ ヤヤムソヨカニ
巡りを増す。六十四日目位には
メクリミツ スベテチヤソニ
十分に巡って、全部で千八十回となって
【スベテチヤソ】 64日目まで一巡りずつ増えるとすると2080回となる。
14-080 メクリトゲ ヤヤミトリコノ
巡りきり、少し胎児の
ナリソナフ チナミノアカハ
身体が出来てくる。血と精水が一緒に回った時できたものが
【チナミノアカ】 「チナミ」は密接な関係を持つこと、ここでは一緒に子宮の中を巡ること。「アカ」は不純物や汚れではなく、その過程で発生したものを指すと考える。
14-082 オノコロノ ヱナノカタチハ
自ずと一つにまとまって胞衣となり、その形は