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アシツヒメ イメハラメリト
アシツ姫が「私は身籠りました」と
【イメ】 「メ」は「女」。「イ」がよく分からないが、「イメ」は自分を指す言葉であろう。
24-209 モウスユエ イセニツゲント
申し上げたので、ニニキネは伊勢のアマテルカミに報告しようと
24-210 ヨソヒナス トキニソノハハ
旅の支度をした。その時、アシツ姫の母が
24-211 アネツレテ カリヤニイタリ
アシツ姫の姉を連れて仮宮に来て
24-212 マミヱコフ メセバモフサク
お会いしたいと願い出た。ニニキネが会うと、母親が言った。
24-213 イモトサエ ワガイツクシノ
「妹だけでなく、私には大変可愛いがっている
24-214 アネアリト コトバカザレバ
姉もおります」と言葉巧みに言われると
24-215 フタココロ アネイワナガオ
ニニキネも心を動かし、姉のイワナガ姫を
24-216 メセバソノ カタチスルドク
お召しになったが、体が痩せぎすで
24-217 ミメアシク カレニキモケシ
容貌もよくなかった。それで非常に驚き、
24-218 ミヤビカエ ヤハリアシツト
気持ちを変えて、「やはりアシツ姫がよい」と
24-219 ノタマエバ チチオトロキテ
言ったので、父のオオヤマスミは驚いて
24-220 ツマシカル カクアラントテ
妻を叱った。「こんなことになろうかと思い、
24-221 イダサヌオ イソギカエレト
イワナガ姫を宴の席に出さなかったのに。さっさと帰りなさい」と
24-222 オヒヤレバ ハハアネウラミ
追い返したので、母と姉は恨んで
24-223 シモメシテ イモトオトサン
召使に、妹をおとしめようと
24-224 アダマクラ ツイニイツワリ
アシツ姫が浮気をして出来た子だとの嘘の話を流させた。とうとう噂は
24-225 シロコヤデ キミニキコユル
白子宮にいるニニキネの耳にまで届いてしまった。
24-226 ウタガヒニ タビヤオヨハニ
ニニキネはアシツ姫を疑って、旅先の白子宮を夜のうちに
24-227 タチイデテ イセニカエマス
出発して伊勢に帰ってしまった。
24-228 ヒメヒトリ ネサメテユケバ
アシツ姫は独り目覚めて、後を追ったが
マツサカニ セキトメラレテ
松阪でさえぎられてしまい
【マツサカニ セキトメラレテ】 アシツ姫はニニキネを追って鈴鹿市の白子から松阪まで行ったが、伊勢のすぐ手前で何によって行方を遮られたのかが分からない。大化の改新で「関塞(セキソコ)」が置かれたというが、ホツマの頃すでに、制度化されていなかったとしても、関所のようなところがあったのかもしれない。
24-230 シロコヤニ カエリチカツテ
白子宮に帰って、次のように誓った。
24-231 ネタマレノ ワガハヂススゲ
「妬まれて受けた私の恥をそそいでください。
24-232 コノサクラ ムカシヒヲヲヂ
この桜は、昔曾祖父の
24-233 サクラウシ コノハナササグ
サクラウシが奉げたものです。
24-234 ヲヲンカミ オウチニウエテ
ヲヲンカミが宮の大内に植えて、
24-235 イセノミチ ナルハナルルオ
イセの道がうまくいっているかいないかを
24-236 ハカリマス サクライアラバ
判断されました。桜よ、心あらば、
24-237 ワガハラミ アダタネナラバ
私のお腹の子が他人の子であれば
24-238 ハナシホメ マサタネナラバ
花はしぼんでおくれ。君の皇子ならば
24-239 ウムトキニ サケトチカヒテ
産む時に咲いておくれ」と願って、
24-240 ココニウヱ サトニカエマス
白子宮に植え、里の酒折の宮に帰った。
24-241 ソフミチテ ミナツキハツヒ
十二か月の月満ちて、六月一日に
24-242 ミツコウム ソノヱナノアヤ
姫は三つ子を産んだ。その時の胞衣の模様が
24-243 ムメサクラ ウハナトカワリ
梅と桜と卯の花のように次々に見えた。
24-244 アヤシメハ キミニツグレド
不思議に思ってニニキネに知らせたが、
24-245 カエナクテ ヒメハスソノニ
返事もなかったので、アシツ姫は富士の裾野に
ウツムロシ メクリニシハノ
ウツムロを造り、家の周りに柴の
【ウツムロ】 広辞苑に「【無戸室】四面を塗りふさいだ、出入り口のない室」とある。日本書紀の表記。古事記では「戸無き八尋殿」。
24-247 カキナシテ ハハコチカヒテ
垣根をめぐらした。母と子は次のように誓って
24-248 ナカニアリ アダタネナラバ
中に入った。「この子たちが君の子でないならば
24-249 ホロビント ヒオツケヤケバ
死にましょう」そして火をつけて室を燃やすと
24-250 アツガリテ ハヒイデントス
子どもたちは熱がって、這い出ようとした。
ミネノタツ ミヅハキカケテ
宮にいた者が水をかけて
【ミネノタツ】 神話であれば「龍」でよいが、歴史として解釈すると、それは人である。
24-252 ヒトリヅツ ミチビキミコオ
一人ずつ連れ出すと
24-253 ハヒイダス モロトオドロキ
皇子は這い出してきた。みなは驚いて
24-254 ヒオケシテ ヒメヒキイタシ
火を消し、アシツ姫を連れ出し
24-255 ミコシモテ ミヤニオクリテ
輿で酒折の宮に送り届けて
24-256 イセニツグ シロコノサクラ
伊勢のニニキネに知らせた。白子宮の桜は
24-257 ウマレヒニ サキテタエネバ
皇子の生まれた日から咲き続けた。
24-258 アメミマコ カモフネハヤク
ニニキネは鴨船を急いで
24-259 トバサセテ オキツニツケバ
走らせて興津に着いて、
24-260 キジトビテ サカオリニツグ
使者を遣わし、酒折の宮のアシツ姫に知らせた。
24-261 ヒメウラミ フスマカフリテ
アシツ姫はニニキネを恨んで、夜具を被ったまま
24-262 コタエナシ カエコトスレバ
返事もしなかった。使者が帰って報告すると、
24-263 キミシバシ オモヒテワカノ
ニニキネはしばらく考えてワカ歌を