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ミハハコレ ハオナオハメハ
衣裳である。ハオ菜を食べると
【ハオナオハメハ チヨオウル】 ハオ菜を食べると「チヨオウル」で「モモニガシ」という文と、15綾本文155の「チヨミグサ ヨノニガナヨリ モモニガシ」とを合わせて考えると、ハオ菜と千代見草と同じものではないか。千代見草の葉が成長したものが「ハオ菜」で若芽のものを「ワカ菜」といったのだろう。
24-314 チヨオウル ワカナモオナジ
長生きできる。ワカ菜も同じように
24-315 ニガケレド ハオナハモモノ
苦いが、ハオ菜は
24-316 マシニガク チヨオノブレド
百倍も苦く、長寿の薬草だと教えても
24-317 タミクワズ ネハヒトノナリ
民は食べない。ハオ菜の根は人の形をして、
24-318 ハハヨメナ ハナヤヱカオヨ
葉はヨメナと同じ形で、花は八重に咲く。
ラハハグハ モグサカブロバ
ハラミ草の葉桑やもぐさ、蕪の葉は
【カブロバ】 15綾本文128に「ススシロ」として蕪が書かれているが、蕪は「カブラ」ともいい、葉の部分が、栄養価が高いことを考えると、蕪の葉と考えてもよいのではないか。
24-320 チオマシテ ヲイモワカヤグ
血を増やし、年寄りも若返る。
ワカムスビ コノコオクワニ
昔、蚕を桑の葉で育てて
【ワカムスビ コノコオクワニ】 5綾本文045に「ワカムスビ クビハコクワニ ホゾハゾロ コレウケミタマ」とある。この場合は、「ワカムスビ」は蚕を修飾する言葉。「コノ」が何を指すか不明。音数を整えるためか。
イトナセバ コキリヒメヱテ
紡いだ糸をコキリ姫が使って、
【コキリヒメ】 ココリ姫のこと。キクキリ姫、シラヤマ姫ともいう。
ミハササグ コヱネノクニゾ
アマテルカミの産着として差し上げる衣裳を織った所がネの国だった。
【コヱネノクニ】 2行後に「コヱニキテ」、本文337に「コヱクニ」とあり、紛らわしいが、「コヱクニ」は関東・東海地方を指す。「コヱネ」と「コヱニキテ」の「コヱ」は「コヱクニのネ(北)の方の国」で北陸地方の「ネの国」。コキリ姫はネの国の人。
24-324 モノヌシハ キタヨリメクリ
大物主のコモリが北の国から巡り歩いて
24-325 コヱニキテ カノヱオススム
ネの国に来て、以前ニニキネの御衣裳に描いた絵を織るように勧めた。
24-326 コキリヒメ アヤニオリナス
コキリ姫はその模様を綾織りの
24-327 トリダスキ アメニササケテ
鳥襷にしてアマテルカミに差し上げた。
マタニシノ ハハガミヤゲト
また、ウケステメへの土産とし、
【ニシノ ハハ】 ココリ姫の義妹のウケステメのこと。そのことは本文087以降に書かれている。
24-329 ヨニノコル タガニイタレバ
その鳥襷は、後世まで残った。大物主がタガの国に行くと
ツエガツマ アサヒメムカフ
ツエの妻のアサ姫が迎えに出た。
【ツエガツマ アサヒメ】 アサ姫はコモリの娘。ツエはその夫だが、詳細は不明。
24-331 モノヌシハ クワヨキオミテ
大物主は、桑がよく育っているのを見て
アサヒメニ コカイキヌオル
アサ姫に養蚕と織物と
【コカイキヌオル タチヌイノ ミチオシユレバ】 コモリは供の者を連れていて、その中の技術者が教えたのであろう。
24-333 タチヌイノ ミチヲシユレバ
裁縫の方法を教えた。
ヲコタマノ カミオマツリテ
そのあとで大物主はオオクニタマの神を祭って、
【ヲコタマノ カミオマツリテ】 「ヲコタマ」はコモリの親のオオクニタマ。
24-335 ヰクラタシ ミハサシツクリ
しばらく静養をした。大物主が裁縫用の物差しを作って
24-336 ヤチヌヒノ ミチヲシユレバ
裁縫の方法を民に教えたので
24-337 ヤモトホリ コヱクニノカミ
それが一帯に普及し、大物主はコヱ国のカミと言われ
24-338 ヲコノサト コガヒヱルナリ
オオクニタマの里は養蚕が盛んになった。
24-339 アメミマコ マタヤマメクリ
ニニキネがまたハラミ山を巡り歩いた時
24-340 ネニヒエテ ハライタムトキ
寝冷えをして腹が痛くなった。
24-341 コモリソノ ミクサススメテ
コモリが山に生えている薬草を飲ませて
24-342 コレオタス ミトハマシワル
腹痛を治した。それは人の体によくなじむ
ヒトミクサ ネハコネウスギ
ヒトミ草である。根は小さく薄黄色で
【ネハコネウスギ…】 ここから3行はヒトミ草の形態を説明しているようだが、分かりにくい。「コネ」は「小さい根」としたが、根があまり張らないようなことなのか確信はない。「ヒトリ」の「 」は数詞なので「1」、「トリ」または「リ」が分からないが、「ヨエイハ」は4本の枝と5枚の葉と考えられるので、「ヒトリ」を「1本の茎」とした。「ヒトミ」は「ヒトミ草」と名付けられた理由となる言葉だが、これまでの形態の説明では、「一枝五枚の葉が掌に見える」というくらいしか思いつかない。想像たくましく「コシロハナ」を頭状花として、それを頭部、4本の枝を手足、5枚の葉をそれぞれの指として、人の体に見立てたと考えてみた。
24-344 クキヒトリ ヨヱヰハヒトミ
一本の茎に四本の枝があり、五枚の葉が付き、人の体のように見える。
24-345 コシロハナ アキミハアヅキ
小さな白い花を付け、秋には小豆のような実が付く。
24-346 アマニガク ヨコシウルホヒ
味は甘苦く、手足を潤し
24-347 ムネオタス モモクサアレド
気分をよくする。薬草はいろいろあるが
ハラミノミ コトマサルユエ
ハラミ山の三種類の薬草は殊にすぐれているので、
【ハラミノミ】 3種類の薬草は、千代見草、葉桑、ヒトミ草。
ミクサホメ ハラミヤマナリ
ニニキネはこれを讃えて「さすがハラミ山だ」と言った。
【ハラミヤマナリ】 訳文では「ハラミ」の持つ意味がわからないが、腹痛を治したことを言って「腹(病み)止み山」としたのか、3種類(ミ)の「ラ草」の葉(ハ)の薬効が素晴らしいと言ったのか、そのような意味を持たせた「ハラミ」ではないか。
24-350 フタカミノ クニナカハシラ
二尊が国を治めた時の政の中心地は
24-351 オキノツボ アマテルカミノ
オキツボ(近江)であった。アマテルカミは、
24-352 ヒタカミノ カタタケミヤノ
ヒタカミの政の中心地の
ナカハシラ ケタツボノフミ
カタタケ宮で「ケタツボの文」を学んだ。
【ケタツボノフミ】 「ケタツボ」はヒタカミ。ヒタカミでアマテルカミがトヨケから学んだ帝王学。
ヰツカミノ ハラミハツボハ
ニニキネのハラミハツボ(富士)は
【ヰツカミノ ハラミハツボハ】 「ハラミハツボ」は初めアマテルカミが政を執った場所だが、ニニキネの新田開発などにより「四方八方」の中心地となった、と解釈し「ヰツカミ」はニニキネ。二尊とニニキネにはさまれたアマテルカミの政治の中心地についての記述がないのがやや気になるが、ここはニニキネのことを述べているので省略したのだろう。
24-355 ヨモヤモノ ナカハシラナリ
国中の政の中心地であった。
ヲヲンカミ ハラノヲキミト
アマテルカミはニニキネにハラの御君
【ヲキミ】 「ヲ」を治めるという意味も持つ「御」とし「ヲキミ」を「御君」と訳した。
24-357 ナオタマフ ニハリノタミガ
という称号を授けた。新治の民が、自分たちは