先頭の番号が青い行は、クリックすると解釈ノートが見られます。
対訳ページの使い方の詳細はこちらのページをご覧ください。
28-157 アラハレテ イノレモガモト
伝わるようにするので、悲しまずに祈って欲しいものだ。
28-158 ミモスソノ タミオナデツツ
天の裳裾にいる民を慈しみつつ
28-159 サヲシカノ キヨキニカミハ
冠となった吾は、清い心に神は
28-160 アリトコタエキ      
いるのだと言い残すのである』。
カエシノトウタ      
返しの歌
【カエシ ノトウタ】 アマテルカミの歌への返歌だが、誰が歌ったのか分からない。
28-162 ヒトツネニ カミニムカハハ
『人は常に、死に向かうものですが、
ヨノミミノ アカハアモトノ
この世の人々の汚れを天界におられる
【ヨノミミ】 「ミミ」は「身身」で、6綾本文096では「子供を産むこと」としたが、ここでは「その身その身」の意。
【アモトノ】 アモトカミではなく「天の許の」と解釈し「天界におられる」とした。
28-164 サヲシカニ キヨメタマヒテ
アマテルカミが清めて下さって
サコクシノ フユノカガミニ
天のサコクシロの恵みの中に
【フユノカガミニ イルトオモエバ】 「フユ」は広辞苑に「恩頼(オンライ)、神や天皇からさずかるめぐみ深いたまもの。またその恩恵。みたまのふゆ」とある。この文脈とも合うのでこれを採用し「恵み」と訳した。
28-166 イルトオモエバ      
入るのだと思えばありがたいことです』
28-167 マタサルタ ムカシサツクル
(アマテルカミの話は)『また、サルタヒコよ、預けた
28-168 サカホコギ ウツクシキスス
逆矛と美しい鈴と
ハイキタチ カカンノンデン
ハイキ太刀を、神が人として降りる
【カカンノンデン トキマチテ】 「カカンノンデン」の「トキ」とは、アマテルカミのような能力を持った君が生まれる時。「カカンノンデン」に関係する言葉は、奉呈文の本文089、5綾本文105、8綾本文238、12綾本文029、14綾本文016に出てきたが、「カカン」と「ノン」と「テン」が分かれている。(奉呈文と12綾は「ノンテン」)それぞれの訳で、概ね「カカン」は篝火、「ノン」は祝詞、「テン(デン)」は太鼓と、具体的な事象として訳した。(奉呈文はそれから連想される言葉に意訳してある)。14綾では、「カカン」はアメミヲヤ、「ノン」はヤイロニギテノカミ、すなわちトホカミヱヒタメの8神、「テン」はヨソコノハナ、すなわち49神(アメミヲヤとモトアケの48神)も意味している。この綾と36綾本文106では「カカンノンデン」と一つの言葉になっている。これまでの具体的な事象が14綾で神をも表したのを受け、ここでは「天上の神」という抽象的なものに変わっている。この場合は特に、アマテルカミを指しているのではないか。
アマテルカミはマドカノタマコに入って生まれてきた。これは胞衣をかぶって生まれてきたということで、それは特別な能力を持って生まれたこととされていたようである。「胞衣かぶり」すなわち胞衣を頭につけて生まれた子はシャーマンか英雄になる。シーザーもその一人で、わが国でも「袈裟太郎」とか「袈裟男」とか言われて「胞衣かぶり」は神の申し子だと言われているという説もある。アマテルカミもその一人で,大変な能力と長寿で、その再来は人々の願いであったのではないか。
28-170 トキマチテ ミチアラハセヨ
時を待って、君となる証としてこの三種の神宝を渡せよ。
28-171 マタキサキ ヒロタニユキテ
また、后のセオリツ姫の御魂は広田の宮に行って
28-172 ワカヒメト トモニヰココロ
ワカ姫の御魂と一緒にこの国の妻たちを
28-173 マモルベシ ワレハトヨケト
見守れよ。吾はトヨケ神と共に
28-174 ヲセオモル ヰセノミチナリ
夫たちを見守る。それが吾と姫の役目である。
28-175 マタコヤネ ナンチヨクシル
また、アマノコヤネよ、汝がよく知っている
28-176 タケコガコ クシヒコウマレ
タケコの子のクシヒコは、生まれつき
28-177 スグナレバ サヅクミホコニ
真っ直ぐな心を持っていたので吾が矛を授けた思いを
28-178 カンガミテ ミモロニイリテ
汲み取り、三諸の洞に入って
28-179 トキマツモ ミチオトロハハ
世に出る時を待っている。それは道理が衰えたら
28-180 マタイデテ ヲコサンタメヤ
再び世の中に出て、道理を立て直すためなのである。
28-181 ナンチマタ カガミノトミハ
また、汝の務める左の臣の役割は
28-182 カロカラズ カミオミヤコニ
極めて重い。神々の恵みが都に
28-183 トトムヘシ ワレモマモラン
末永く続くようにせよ。吾も陰ながら守ろうと思う。
コレナリト ミヨノミハバコ
これを預ける』と、君の衣裳箱と
【ミヨノミハバコ】 この衣裳は、政をするときに身に着ける衣裳。
28-185 ミヲシテト ナンチカスガヨ
御璽とを渡して『汝、カスガよ、
ノコシモノ タガニモチユキ
これが、吾が残していく物である。多賀に持って行き
【タガニモチユキ ササケヨト】 この時点でアマテルカミを継ぐ者は多賀にいるウガヤフキアワセズである。
28-187 ササケヨト ミツカラコレオ
ウガヤフキアワセズに奉げよ』と自らこれらを
28-188 サツケマス カスガハキミニ
授けられました。我、カスガが君に
28-189 タテマツル カミノヲシテト
お渡ししたものは、アマテルカミの御璽と
28-190 サヲシカノ カムリトハモハ
サヲシカ八咫の冠と
28-191 ココチリゾ ミユキノミコシ
ココチリの衣裳でした。行幸の御輿は
28-192 マナヰニテ アマテルカミハ
真名井に行き、アマテルカミは崩御し、
28-193 ウチツミヤ トヨケハトミヤ
内つ宮として祭られ、トヨケ神は外宮として祭られました。
28-194 カレカスガ オクリテノチハ
そこで我、カスガはアマテルカミを送った後に
ツトメオリ ミカサヤシロノ
務めを辞して、三蓋の社で
【ミカサヤシロ】 「ミカサ」は奈良県の春日大社辺りの御蓋山と、若草山(三笠山)とがあるが、「社」とあるので「御蓋」とした。
28-196 タマカエシ クニヲサマレバ
人々の魂返しを行いました。すると国が治まって
カレモナシ マツリノアヤオ
罪人もいなくなりました。マツリの文を
【マツリノアヤ】 16綾本文362で、カスガは、フツヌシのカトリの道、タケミカヅチのカシマの道、ココトムスビの魂返しの奥義をすべて授けられた。この三つの教えをまとめた文。
28-198 ミツソメテ ヒトツモチユキ
三篇作り、その一つを持ってゆき
28-199 ヒヨミナス フタヱニサヅケ
暦を作るアメフタエに授けてあります。
ミモスソノ サコクシロウヂ
御裳濯川のサコクシロの宇治の宮を
【ミモスソ】 三重県伊勢市の五十鈴川の異称「御裳濯川」。
28-201 アラタメテ アマテルカミノ
改めて、アマテルカミの
28-202 ウチツミヤ ヤモツガフカミ
内つ宮とし、大勢の臣の夫婦達が
28-203 ハンベリテ ヒモロゲササゲ
仕え、供物を奉げて
28-204 アニコトフ ヰセノミチウク
アマテルカミに祈りました。伊勢の道を受ける
28-205 カントミノ ツガフカミラガ
臣の夫婦達が
ハヘルユエ ウチハヘドコロ
来るので、内侍所で
【ウチハヘドコロ】 賢所。アマテルカミの御霊代として八咫の鏡を安置してあるところ。