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哀れに思うのです」戸隠が亡きモチコ姫に言った。
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「汝、いま、日に三度の怨念の炎を
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断ち切るがよい。我の供える物を食みて
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密かにしておれ。清く身を守れば
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罪は消えて、また人に生まれ変わることができるぞ」と祭り、
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怨念の尾を断ち切った。すると長年の怨念が消え、
【ヲオキレハ ヨホノヲタウノ】
「
」は「尾」、長く怨念を引きずっていたこと。「ヨホ」は万年、すなわち「長年」。「ヲ、タウ」は怨念を絶えさせる。
」は「尾」、長く怨念を引きずっていたこと。「ヨホ」は万年、すなわち「長年」。「ヲ、タウ」は怨念を絶えさせる。
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モチコ姫はハコザキの山に祭られた。
【ヤマゾハコザキ】
佐久市大字志賀字宮西に「箱崎諏訪社」という神社がある。祭神はタケミナカタ。ホツマツタヱでは、タケミカツチに負けて諏訪まで逃げてきたのがタケミナカタ。大蛇となったモチコを諏訪まで追いかけて行ったシマツウシとタケミナカタはタケコの子。このような背景があるので、もしかしたらタケミナカタがモチコを祭っていたのではないだろうか。
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これ以前に、竹のように真っ直ぐな性格に生まれた
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タケコ姫が多賀の宮に詣でたとき、
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大物主の館で亡くなり、
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スズキ島に遺骸が葬られ
【スズキシマ】
琵琶湖北部にある竹生島(ﾁｸﾌﾞｼﾞﾏ)。この後の本文にあるように、もともと「スズキ島」と呼ばれていた島が、「タケフカミ」が祭られ「タケフ島」となり、現在は「タケフ」の読みが「チクブ」と変わったのであろうか。竹生島には竹生島神社があり、竹生島弁財天がまつられている。相模の江の島神社、安芸の厳島神社と合わせて日本三大弁天と言われる。
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竹生神として祭られた。昔タケコ姫がさすらっているとき、
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琴を弾いていた。そのとき霰が
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スズキの葉に当たり、その音が琴の音と響き合って
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妙なる響きになったので、その葉に当たる音を
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琴の調べにし、その名を「イスキ打ち」とした。
【コトツクル】
琴を作ったのではなく、琴の曲を作ったと訳した。９綾本文104の「イスキ打ち」は琴の弾き方だが、ここではそれを曲名にしたのだと考える。
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そこで島も湖も名が「イスキ」と言われるようになった。
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タキコ姫はカグヤマツミの
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妻となって、カコヤマを産み
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後に亡くなり、相模の江の島神と
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なった。アスス暦三十三穂の年
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カスガはとても高齢になった。
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そこでアメフタヱに言った。
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「我は大変年をとったので
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カンヲヂの役目を汝に与えるから
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よく励みなさい」と言い、三蓋山に帰り
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父親のココトムスビの御魂を祭った。カスガは「汝オシクモ
【ナンチオシクモ】
「オシクモ」はカスガの子。
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よく聞きなさい。我は昔ニニキネ尊に仕えて
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御鏡を賜ったので、我らは
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左の臣である。我が子である民を大切にしなさい。
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例えれば、春に芽吹いたヌルデの若葉は、
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夏は青々とし、秋は鮮やかな紅葉となるが
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冬に葉が落ちるように、例え君に認められない時があっても
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君を恨んではいけない。陰でも忠義を尽くしなさい。
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そうすれば木の芽のようにいつかは芽が出るのだ。それは我が飛鳥宮を
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辞した時、君への忠義を忘れなかったので、
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ニニキネ尊に召され、
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忠義を尽くしたので、その結果鏡の
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臣となったことから言うのである。また、大物主は
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右の臣で、剣の力をもって正義を守るのが
【ハツヨキアキノ ユミツルギ】
武人である剣の臣の形容。「ハ」は刃。「アキ」は23綾本文267以降でアキの剣（右の眼で鍛造した剣）は正義にかなう剣とある。「ユミツルギ」は武力を持った臣のことと解釈し、通常の呼び名の「剣の臣」とした。
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剣の臣である。言いたいことはこのことだ」と言い
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酒をオシクモに勧めた。カスガが、その盃を
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返すように言うと、オシクモは「子から盃は返さないものです」と言った。
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そこでまたカスガが言った。「鏡の臣を
【カガミノトミオ ウヤマウガ ノコルノリゾト】
オシクモは息子であるが鏡の臣となったので、親であっても鏡の臣を敬うのは当然ということ。
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敬うのは当然のことだ。これが最後の教えである」
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と言い残して亡くなった。二月十一日
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オシクモは四十八日の喪に入り
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山背のオシホに遺骸を葬った。
【ヤマシロノ オシホニオサム】
「ヤマシロ」は京都の一部。「オシホ」は京都市にある大原山の別称「小塩山」のこと。
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その宮は東向きに建てられた。妻のヒトリ姫が
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亡くなった時、夫のカスガが山背に
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葬られているので、イキス宮の
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ヒトリ姫の社は西向きに建てた。全ての民がカスガを慕って