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喪に服したのは、まるで君の喪のようだった。
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サルタヒコが禊ぎをしていると、何やら
【サルタヒコ ミソギニアワノ】
ここからの話はカスガが亡くなる少し前のこと。
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胸騒ぎがした。フトマニで占ってみると
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五六の三と出て、これは鏡の臣が目をかけている者の
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中の一人に憂いが残るということだと読めた。
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これは自分がカスガから政の文を与えられていないという憂いだと思い、
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驚いて宇治に行き、
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なおも三蓋山を駆け上がった。
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カスガの宮では最早仮納めされ
【カスガトノ】
ここで亡くなった「カズカ」はアマノコヤネで、「カスガカミ」と呼ばれている。「カスガトノ」を人名とすると、父親のココトムスビを指すことになるので、ここの「カスガトノ」はカスガの宮のことになる。
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喪の最中だったので、皆と一緒に喪に服した。
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カスガを御輿に乗せて、その翌日平岡に
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送ろうとしている時、サルタヒコが一目会いたいと願うと
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許された。御輿を開けて
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サルタヒコが「我がいつも戴きたいと願っていた
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魂返しの文がカスガ殿の家とアメフタヱの家に
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一文ずつあります。今、我一人が
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頂いていないので、とても残念です」と言った。
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するとカスガは、神輿の中で目を開け
【トキニカミ メオアキイワク】
この時代は、トヨケ、２代目大物主クシヒコ、アマテルカミなど、自分の死期を悟ると自ら洞に入って最期を迎えた。カスガもサルタヒコが来たときはまだ生きていた。
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「汝、よく忘れずに来たな。
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御裳裾よ、欲しかった物はこれであろう」と
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マツリの文を授けた。サルタヒコが受け取り
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声をかけようとしたが、カスガは早くも目を閉じて
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返事はなかった。それは平岡に出発する時のことであった
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その後、御裳裾とはどういうことかと聞かれて
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サルタヒコが言った。「昔ハタレを
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退治しようと、禊ぎをした時
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アマテルカミの裳裾が岩に引っかかったので
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岩を力任せに引っ張ったら、滝の水が落ちてくるように
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川の水が勢いよく流れました。天の神に祈っていると
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葛が流れてきました。その時蛇が君の足を咬みました。
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蛇を追い詰めて止まったところ、葛で蛇を蕨縄のように
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縛って捨てたのです。我が裳裾に掛かった葛で
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蛇を退治したので、君はその*葛の縄を使って
【ススクス】
「スス」は「スソ」と同義の言葉と考え、「裳裾に掛かった葛」とした。アマテルカミは、サルタヒコが水にさらされて繊維状になった葛を縄として蛇を縛ったことをヒントに戦術を考えたと解釈した。
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相手を制するシムミチ退治の
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方法を考えつきました。どのときも君が禊ぎをし、
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作戦を得られ、六つのハタレを破り
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民を治めました。我が『御裳裾』と言われるのは、君の御裳裾が流れの
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岩に引っかかったことに始まったのです」。サルタヒコがアサカにいた時、
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漁夫がヒラコ貝に挟まれて
【ヒラコ】
漁夫が溺れるほどの大きな貝として考えられるのは、35センチほどにもなる「タイラギ」ではないか。土地によって「ヒラブ」「ヒランボ」などとも呼ばれて、名前も似ている。
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溺れた。サルタヒコが見つけて、アメノウズメに
【キミウスメシテ】
「キミ」は通常スメラミコトに付けられるが、ここではサルタヒコ以外には考えられない。
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急いで水底に潜らせ、泡がツブツブと
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出てくるところから、漁夫を引き揚げさせた。
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藁に寝かせて、貝殻を外し
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貝を海鼠のようにした。かつて、香久山の
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ナガスネヒコはウガヤフキアワセズに
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皇子が生まれなかったとき、オシクモが皇子を授かるように祈った
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「世嗣文」を見せるように頼んだが、見せてもらえなかった。
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ウガヤフキアワセズが亡くなった後に、アマノタネコが
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その文を三蓋山の蔵に納めて
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タケヒトの供をして筑紫に行った。ナガスネヒコは
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その蔵を秘かに開けて
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文を写し取った。蔵の番人が見つけて
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それをタネコに知らせた。タネコは驚いて
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タケヒトに知らせた。タケヒトが勅使を出すと