ホツマツタヱ 全行現代語対訳

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オシヒトを若宮とした。

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歳は二十歳。次の日、兄のオシキネを

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御君とし、カスガの称号を賜わった。

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八十三年秋八月五日に

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カエシネ君が崩御された。齢は百十三歳であった。

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臣や妃はみな宮に留まって

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亡くなった君の喪に服した。皇子は父神を祀った。

【ミニツカフ】 他の写本に「モニツカフ」とあり、この場合は喪に服す場面なので「モニツカフ」と読み替えた。

31-368

皇子三十五歳の時であった。父を祭りながら

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民を治めた。そこで兄の御君オシキネは

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弟オシヒト君に従い、オシキネの子のオオヤケ、

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アワタ、オノ、カキモト、イチシ等

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十臣も忠義を尽くした。毎年

31-373

八月五日から八夜の喪祭りを行った

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君のなんと素晴らしいことであろう。

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アスス三百二十六年

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一月七日、天皇の御位を

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受け継いで、タリヒコクニの

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天君として、諱オシヒトが

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即位し、正装の姿を民に

31-380

拝謁させた。シキナガハヱの娘の

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ナガ姫をオオスケ妃とした。

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トチヰサカヒコの娘のヰサカ姫を

31-383

ウチ妃とし、長橋の局で

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御璽を守らせた。妃は全部で十二人であった。

31-385

二年の冬に室秋津島に

【ムロアキツシマ】 御所市室にある八幡神社の境内に「孝安天皇室秋津島宮跡」という石碑が建っている。

31-386

都を遷した。十一年、曇りの日が続き

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稲に害虫が発生したことを知らせると、君は

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ご自身で祓いの風生の

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祭りを行われた。それで稲が元通りになり

31-390

穂がたわわに実った。そこで、穂積の

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祭りをおこなった。二十六年春

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二月十四日、カスガ御君の娘の

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オシ姫をウチ宮にした。

31-394

齢は十三歳。三十三年後の

【ミソミトシノチ】 タケヒト(神武天皇)の時大勢殉死をし、それが習わしとなってしまったが、ヤマトタリヒコクニ(孝安天皇)は父を仮埋葬し、33年後、仕えた臣たちがほぼ亡くなるのを待って改めて埋葬したのだろうか。

31-395

八月十四日に、亡くなった父皇の

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遺骸を博多の洞に

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葬り、臣や侍女の遺骸も

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みな一緒に納めた。生きていた三人も

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殉死したが、それはタケヒト君の埋葬より始まった慣わしである。

31-400

五十一年九月一日に

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后が産んだ皇子は、諱ネコヒコ、

31-402

オオヤマトフトニである。

31-403

七十六年春、一月五日、

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ネコヒコは二十六歳の時に

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世継ぎ皇子になった。九十二年春

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駿河宮の祝主が富士山の絵を

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献上した。皇子が欲しいと言ったが

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君は受け取らなかった。タリヒコクニノアマツキミの御代は百二年続いた。

31-409

一月九日に君は崩御された。歳は

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百三十七歳であった。皇子は喪に服した。

31-411

四十八夜後に、若宮は宮に出て

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政を執られた。九月三日に

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遺骸を玉手に葬ったとき

【タマデニオクリ】 御所市の玉手に孝安天皇陵がある。

31-414

五人が後を追ったので、一緒に葬って

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アキツ神として祭った。