【ナルシラカ マエニイキハキ クルシムル】 「白い鹿が現れ、毒気を吐く」と訳したが、「カ」を霞の省略形と考えれば「白い霞」となり、「白い鹿」は霞または霧やもやのようなもの、それは例えば、亜硫酸ガスのような有毒なガスだったのではないかと考える。この場面は御嶽山の辺りと考えられ、火山性有毒ガスと考えてもよいのではないか。「イキハキ」はそのガスが覆ってきたということと考える。
【ヒルヒトツ ハジケバマナコ ウチコロス】 ここもどう解釈したらよいか悩むところである。「ヒル」はネギ、ニンニク、ノビルなどの古名。「ハジケバ」以下は、「ハジク」をニンニクを噛むなりつぶすなりすることとし、「マナコ」は目をしっかりあけている、すなわち意識をはっきりさせること、「ウチコロス」はその状況を切り抜けることと解釈して、「ニンニクを精力回復のために用い、意識が回復した」と考えてみた。あまりにも原文と訳がかけ離れる意訳になるため、やむなく原文通りの訳にした。
【シカノチハ】 「シカ」は「然」と読み、「そのような」と解釈し、「チ」は「路」と読み、「そのような道」、すなわち「有毒ガスが出るような道」と考えた。「ノチ」を「後」として、「その後は」としてもよいかも知れない。