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39-382 ツヅラオリ カケハシツタヒ
道は曲がりくねっていた。懸橋を渡るのに
39-383 ムマユカズ クモワケアユミ
馬は進めず、雲を分けて歩いた。
39-384 ウエツカレ ミネノミアエニ
空腹と疲れで、山の中で食事をしている時
ナルシラカ マエニイキハキ
白い鹿が現れて、一行の前で毒気を吐いて
【ナルシラカ マエニイキハキ クルシムル】 「白い鹿が現れ、毒気を吐く」と訳したが、「カ」を霞の省略形と考えれば「白い霞」となり、「白い鹿」は霞または霧やもやのようなもの、それは例えば、亜硫酸ガスのような有毒なガスだったのではないかと考える。この場面は御嶽山の辺りと考えられ、火山性有毒ガスと考えてもよいのではないか。「イキハキ」はそのガスが覆ってきたということと考える。
39-386 クルシムル キミハシロシテ
苦しめた。君はどうすればよいかを知っておられ
ヒルヒトツ ハジケバマナコ
ヒルを一つ投げつけると、鹿の目に当たり
【ヒルヒトツ ハジケバマナコ ウチコロス】 ここもどう解釈したらよいか悩むところである。「ヒル」はネギ、ニンニク、ノビルなどの古名。「ハジケバ」以下は、「ハジク」をニンニクを噛むなりつぶすなりすることとし、「マナコ」は目をしっかりあけている、すなわち意識をはっきりさせること、「ウチコロス」はその状況を切り抜けることと解釈して、「ニンニクを精力回復のために用い、意識が回復した」と考えてみた。あまりにも原文と訳がかけ離れる意訳になるため、やむなく原文通りの訳にした。
39-388 ウチコロス ナオクモオオヒ
打ち殺した。なお雲が覆い
39-389 ミチタツオ ヒミツノハラヒ
道が分からなくなったので、ヤマトタケが「火水土の祓い」を
39-390 ミタビノル シナドノカゼニ
三度祈ると、吹いてきた風が
フキハラフ カミノシライヌ
雲を吹き払った。神の白犬が
【カミノシライヌ】 美濃の国から道案内の者が迎えに来たのではないか。29綾本文116ではカンヤマトイハワレヒコはヤタノカラス(翁)に導かれている。
39-392 ミチビキテ ミノニイヅレバ
導いて美濃に出ることができた。
39-393 タケヒコモ コシヨリカエリ
キビタケヒコも越の国から帰って
39-394 ココニアフ サキニキソヂノ
美濃で落ち合った。先に木曽路で
39-395 オエフスモ ハライマヌカル
毒気に苦しんだが、祓いで免れた。
シカノチハ ヒルオカミヌリ
そのような所を通る時は、ヒルを咬んで塗ると
【シカノチハ】 「シカ」は「然」と読み、「そのような」と解釈し、「チ」は「路」と読み、「そのような道」、すなわち「有毒ガスが出るような道」と考えた。「ノチ」を「後」として、「その後は」としてもよいかも知れない。
39-397 ザガイキニ アタラジモノト
毒気に当たらないのだと
39-398 カタリタマイキ      
ヤマトタケは話された。