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万民の恨みの程度を知る
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万桜も宮中に植えてあります。
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愚かな女が妬むと、イソラの
【イソラノ カナツヱ】
「イソラ」は８綾に出てくるハタレのイソラとは違い、怨念のようなもの。「カナツヱ」はそれによる悪い影響の例え。
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金杖のごとくに、妬まれた人の子種が打たれて
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流れてしまいます。あるいは障害のある子に
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してしまうイソラもいます。妬む人はその息が
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一万三千ものまとわり付いた鱗となり
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大蛇になってしまいます。ホトの隙間を
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窺って子宮に入ってきて
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お腹の子をかみ砕くので
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うまく成長できなくて、障害のある子が生まれるのです。
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貧しい者は手の届かない富を
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羨んで、恨むことが仇となり
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自分の子もできなくなってしまいます。人を妬めば
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一日に何回も妬みに心が焦がされて
【ヒニミタビ】
直訳すれば「１日に３度」となるが、この場合は「何回も」「度々」のように考える。
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身も痩せてしまいます。妬むことも、妬まれることも
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どちらも罪なのです。例えば、宮に仕える
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若い女達は五色の花です。
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その宮の君が青を好む時は
【ココロアオキハ】
青や黄などの色は、感情・感性などの心の状態のたとえ。
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青い花を愛で、黄を好む時は
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黄の花を愛で、赤を好む時は
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赤い花を愛で、白を好む時は
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白い花を愛で、黒を好む時は
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黒い花を愛でます。このように心が通じると
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惹かれあうのです。君の心と
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自分の花の色と、合うか合わないかは
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誰も全く分からないのです。だから恨んではいけません。
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君がお召しになるのは上下の関係なく
【ヱモベモヨラズ】
「ヱ」は「上」、「ベ」は「辺」と読み、位の上の女とその周りの位の低い女と解釈し、「上下の関係」とした。
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お求めになるのです。ですから、
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何度もお召しがかかっても、周りに配慮していれば、
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後で恨まれることはないでしょう。慎みというのはこういうことです。
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すべての姫は、次のことは当然知っておくべきです。
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きれいな色の花といえど、一時は愛でられても
【イロノハナ】
「きれいな色の花」は魅力的な女性の比喩的表現。この後の「ミノハナ」はその女性の容貌や年頃だけでなく、知性なども含んだ「魅力」ということであろう。
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いったん散ってしまえば、塵のように捨てられます。
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別の花を召す時は
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その花の盛りの時なのです。よくよく考えてください、
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我が身の花も他人の花も時が移れば
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散る花になるのです。誰が悪いと恨む
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相手はいないのです。もし、誤って人を恨むと
【モシアヤマレバ タネタチテ】
ここから本文236の「コタネカム」までの主述の関係が分かりにくい。誤って人を恨むと、子種が断たれるのは自分なのか相手なのか、「ソノヒト」は見咎めた人か、見咎められた人か。その見極めは、「コタネカム」。本文193の「オロカメガ ネタムイソラノ カナツヱニ コタネウタレテ ナガレユク」と、本文198の「タマシマノヒマ ウカガイテ コツボニイリテ ハラミコオ カミクダクユエ タネナラス」でねたまれた人の子種が流れたり、障害のある子になったりすると解釈できる。また、本文138の「ハナトハナ ウテバチルナリ」からも、妬まれた人にも妬んだ人にも害が及ぶことが分かる。
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相手の子種を断ってしまいます。誰かを見咎め妬んでも
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その妬んだ人は、まだ太刀を持ってもいず、
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杖で打つでもなく、人を打ち殺す
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わけでもありません。ただその女は一途に
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思っただけなのに、妬みで苦しむ
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胸の炎が大蛇となって
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相手の子種を咬むのです。その害を除くための
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世嗣文の『慎む綾』には、
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『花と花でも打ち合えば散る。
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互いに常に慎むことを
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忘れてはいけない』とあります」。
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姫のお腹の子どものことについての質問を受けるため
【トヒウルタメノ タビヤドリ】
「タヒヤドリ」したのはだれか。本文311に「コモリマタ コレハカツテガ ヨクシレリ ワレカエルノチ クダスヘシ」、また、本文338に「コモリハアメニ カエリケリ」とあるので、旅宿りしたのはコモリ。
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訪ねてきたコモリが留まっていたある日、姫が
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また聞いた。「タマキネ尊が教えられた帯には