先頭の番号が青い行は、クリックすると解釈ノートが見られます。
対訳ページの使い方の詳細はこちらのページをご覧ください。
16-244 ワサアリヤ コモリコタエテ
どんな効果があるのですか」。コモリが答えた。
16-245 タマキネノ ヲシヱノオビハ
「タマキネ尊が教えられた帯については
ミミノハニ シナワキマエテ
ミミノハに書いてあります。人々の違いをわきまえることによって
【ミミノハ】 出産育児の手引書。「ミミ」は「身身」で出産のこと。「ハ」は「言葉」。
【シナワキマエテ クニヲサム】 ここより「メハウエゾ」までを一区切りとして解釈した。「シナ」は「内容などの違いによる物の区別、序列、差異」などとあるので、ここでは「人々の違い」とした。その違いのけじめをつけて国を治めることを、腹帯で子どもを守るとき、お腹の子どもの男女の違いに合わせて腹帯を巻くことの例えにしたのだろうか。
クニヲサム オビハヰワミノ
国が治まるように、帯もお腹の中の子の五体を
【ヰワミノカタメ】 ホツマ文字「ヰワミ」の「ヰ」は数詞なので「五」、「ワ」は「ワタ・クラ」の省略、「ミ」は「身・体」と読み、「五体」と訳した。
16-248 カタメナリ ヲハシタアワセ
守るので、男の子ならば下の方で合わせて
16-249 メハウエゾ ハラミノオビハ
女の子ならば上で合わせます。孕みの帯のいわれは、
16-250 カツラキノ ヨツキヤシロニ
タマキネ尊がカツラキ山に世継ぎを願う社を立てて
16-251 ミタネノル トキニアメヨリ
皇子を授かるようにお祈りしたことに始まります。その折天から
ニイトリノ ヒトハオツレバ
ニイトリの一枚の羽が落ちてきたので
【ニイトリ】 「ニ」は丹色。「イトリ」は大きな鳥。赤い色の大きな鳥。朱鷺か?
アマツノリ コレハイフキノ
タマキネ尊が『これはミヲヤ神の吹く秋の息吹きで
【イフキノ ナルモミヂ】 ミカサフミに「ミヲヤカミ ミテクラソムル ハルアキノ イキハクダヨリ サキリナス」とある。ミヲヤ神の吹く息で野山が春や秋に染められていくと読み取れる。
16-254 ナルモミヂ バケテカツラキ
染まった紅葉がイトリの羽となったのだ。』と言いました。そこで葛城山を
16-255 イトリヤマ ハネサキミレバ
イトリ山と呼ぶようになりました。その羽を裂いてみると
16-256 フソヨスヂ カヅソナワレド
二十四筋備わっていましたが、
16-257 ツネアラズ モロトリミレバ
このような羽はめったにありません。いろいろな鳥の羽を見ると
16-258 ソヰニサケ ヒタカミニツル
十五に裂けます。ヒタカミに鶴が
16-259 タテマツル ハネサキミレバ
献上されたとき、羽を裂いてみると
16-260 フソヨナリ カレモロハネオ
二十四に裂けました。それで全部の羽を
16-261 ヨリタタシ ヲツルオタテニ
撚り合わせて、雄の鶴の羽を縦糸に
メオヨコニ ケフノホソヌノ
雌の鶴の羽を横糸に織り込んだケフの細布を
【ケフノホソヌノ】 「ケ」は鳥の羽または羽毛。「フ」でたどり着ける和語は「斑」しかなく、大辞林に斑(はだれ)は、「うっすらと雪が一面に積もるさま」ともあるので鳥の羽を布に織り込んだ様子を言ったのではないか。「ホソヌノ」は普通の幅の織物を半分に折った物と考える。これは想像の域を出ないが、鳥の羽を織り込んだ裏にあたる面を中に二つ折りにしたものではないか。現在でも腹帯は二つ折りにするので、「ケフノホソヌノ」は解釈ノート286でいう「羽二重」の腹帯ということになろう。今でいうダウンのようなもので保温性は高かったと思われる。
オリモチテ ヨソヤソナハル
織りました。それで四十八神が備わった
【ヨソヤソナハル】 フトマニの48神。雄雌の羽各24筋、合わせて48筋を48神に見立てたのだろう。14綾にも、生まれてくる子どもにこれが備わって、いよいよ出産となるように書いてある。
16-264 ミハラオビ ハハノイザナミ
腹帯ができました。母のイサナミ尊は
16-265 ナガハラミ コソムツキヘテ
長く孕んでいて、九十六か月たって
16-266 ウミタマフ アマテルカミゾ
お産みになったのがアマテルカミです。
16-267 ハタレマノ サハレドオビニ
ハタレが害を及ぼそうとしたけれど、腹帯によって
16-268 トトノヒテ ヨソヤソナハル
無事に生まれました。四十八神が備わって胎児を守った
16-269 ソノタメシ テレハヒメキミ
前例です。このように、姫に
16-270 サハラネド イキスヒタチト
障害がないようにと、呼吸を健やかにする
16-271 ナスオビゾ トキニミカツチ
帯なのです」。その時、タケミカツチが
イブカシク イキスヒタチト
疑問に思い「イキスが日立ちするという
【イキスヒタチト ナルオビノ…】 このタケミカツチの質問は、言葉の意味を取り違えた的外れの質問。「イキスがヒタチとなると、イキスはどこへ行くのか」と訳せるので、「ヒタチ」を「肥立ち」ではなく「日立ち」と思ったとしてみた。現在では「日立ち」という言葉はないが、「朝立ち」「昼立ち」「夜立ち」という言葉が残っているので、「昼立ち」を「日立ち」と言っていたのではないかと考えた。今日では妊婦が締める腹帯は本文353にある「岩田帯」と呼ばれている。また鹿島神宮に「常陸帯」という安産のお守りがあり、由緒は「神宮皇后が腹帯を献納したことによる」となっているが、本文379に「ヒタチオビコソ イトモカシコシ」とあるので、この時代すでに腹帯は「岩田帯」「常陸帯」と二つの呼び名があったのではないか。
16-273 ナルオビノ ワザニイキスハ
帯の働きで、イキスは
16-274 イツコエカ トキニコモリノ
どこへ行ってしまうのですか」と質問をした。するとコモリが
16-275 コタエニハ ムカシトヨケノ
答えて言った。「昔、トヨケカミが
16-276 ノタマフハ アメヨリサツク
『天の神から授けられた
16-277 ケフノオビ アメニノトリテ
ケフの帯は天の神の教えに則って
16-278 チチノタケ クラブルオビノ
父親の身の丈に合わせる。その帯により
16-279 ハハノイキ ヒタチトナルハ
母親の息が肥立ち(健やか)になる。それは
16-280 イタクナリ アメニウナヅキ
父親も胎児を抱いているからである』と言われました。天の神の教えを受けて
ハニアミテ ツラナリソタツ
母の腹に巻くのは、二人で力を合わせて子どもを育てるために
【ハニアミテ】 「アメ(天)」の対で「ハ」を「地」としたいところだが、「ハ」を「ハハ(母)」と訳す。「アミテ」は本文108の「ハニアミテ」と訳は違うが、両方とも優しく抱くいうイメージは同じで、ここでは母の腹に腹帯を巻くことと考えた。
16-282 コノタメシ チチノメクミハ
まずすることなのです。父親の恵みは
16-283 イタタクア ハハノイツクシ
仰ぎ見る天で、母の慈しみは
16-284 ノスルハニ アマテルカミモ
全てを受け止める大地なのです。アマテルカミも
16-285 ワスレジト イトフソヨスヂ
親の恩を忘れまいとして、糸を二十四筋ずつ
ヨリアハセ メヲハフタエノ
撚り合わせて、雌雄の羽を織り込んで羽二重の
【メヲハフタエノ ミハトオリ】 「メヲ」は雄雌の鶴を指しており、特にその羽を織り込んだ絹織物を「メヲ羽二重」と呼んだのではないか。今では、羽二重は生糸の経糸に濡らした生糸を緯糸として織り込んだ上質な絹織物(広辞苑)をいうが、「羽二重」の文字からしても「メヲ羽二重」がもとではないかと考えられる。本文295のアマテルカミからの賜物の羽二重はこれと同様の絹織物ではないか。
16-287 ミハトオリ コノミハメシテ
御衣に織り、この御衣を召して
16-288 アサゴトニ アメツチマツリ
朝毎に天の神と地の神を祭ります。
16-289 タラチネニ ツカフミココロ
父母にお仕えする御心は
16-290 ソノキミモ コレトモフセハ
アマテルカミといえども同じです」。
16-291 ミカツチモ ヨロコビケフノ
タケミカツチも喜んで、「ケフの
ノノオラン イワクハフタヱ
布を織りましょう」と言うと、コモリが「羽二重は
【ノノ】 前後の関係から「布」であろう。広辞苑に「(幼児語)神仏・日月など、すべて尊崇するものの称」とあり、ケフの布の腹帯を大事なものとして表現したとも考えられる。この時代は「ノノ」は幼児語ではなかったのかも知れない。
16-293 アラサルカ コタエテヒラク
ないのですか」と言った。タケミカツチがそれに応じて