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タカヨリ姫は諱をタカヨシ、
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名はウチとタケを取り、タケウチマロとした。
【ナハウチト タケウチマロゾ】
「ウチ」はヤマトカゲ姫の父親の「ウヂマロ」から、「タケ」は父親の「ウマシタケヰココロ」からつけた。
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皇子が生まれたとの使者が来たのでタカヨリ姫は宮に上った。
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ウヂマロも内宮に行き
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祝いの言葉を述べた。君は喜び、
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ウヂマロに諱をつけるように言ったので、ウヂマロは
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ウヂヒトという名を奉げた。ウヂヒトは世継ぎ皇子である。
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ヤサカイリ姫は美濃のウチ妃からスケ妃となった。産んだ皇子は
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ヰモキヒコ、諱ススキネと
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オシワケ、ワカヤマトネ、
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オオズワケ、ヌノシ姫、
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ヌナキ姫、カノコヨリ姫、
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ヰモキ姫、ヰソサキヒコ、
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キビヱヒコ、タカギ姫、
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オト姫である。また、イワツクの
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娘のミツハイラツ姫は三尾の
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スケ妃で、産んだ子がヰモノ姫クスコ
【ヰモノメクスコ ウチヲキミ】
ヰモノ姫クスコは後に斎宮になる。このことから「ウチヲキミ」は36綾本文094の「ウチノヲミコ」と同義と考える。
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内御君である。また、石上の司
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ヰソキネの娘のヰカワはスケ妃で
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カンクシとイナセヒコを産んだ。また、
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アベココトの娘のタカタ姫はウチ妃で
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タケコワケを産んだ。また、ソヲタケの娘の
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タケ姫は十六か月身籠って
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双子を産んだ。クニコリワケと
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クニチワケである。次にミヤヂワケと
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トヨトワケを産んだ。君が日向に行幸された時に、
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カミナガの娘のオシモ妃のヲタネ姫が
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産んだ子の名はヒウガソツヒコである。
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また、ソヲのミハカセ姫が産んだ子は
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トヨクニ、諱ソヲヒトといい、
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日向の君である。君の皇子は
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男は五十五人、女は二十六人、全部で
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八十一人である。その中でヲヲウスと
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ヤマトタケ、ヰモキイリヒコ、
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ヰモノ姫、ワカタラシヒコ、
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トヨクワケの六人が御皇子の
【ムタリヲミコノ ナオオブル】
そのほかの皇子が国や県を与えられていることを考えると、「ヲミコ」は皇位継承権を持つ立場ではないか。この中のヰモノ姫は本文299に、アマテル神の斎宮であることが書かれており、「ヲミコ」の立場とされたのであろう。
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地位に就いた。その他の七十五人の皇子は
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国や県を分け与えられて治めた。その末裔は
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大勢いる。十二年の初春（一月）
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美濃の国のカンホネの娘の
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ヱトオコ、オトトオコ姉妹は美濃の国の一番の美人だというので
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君はヲヲウスを遣いに出して姉妹を呼びに行かせた。
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ところがヲヲウス皇子は美濃に着いて
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姉妹の姿を見て気に入ってしまい、秘かに自分の妃にして
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美濃に留まったまま報告もしなかった。
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ヲヲウスは今年十一歳で、身の丈は八咫である。
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君はそれを咎めてヲヲウスが都に入ることを許さなかった。
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七月、熊襲が叛いて
【クマソ】
「クマ」はクマのアガタ、「ソ」はソの国。この二つを合わせて「クマソ」。現在の熊本県の球磨郡と鹿児島県の曽於の辺りの地域と思われる。
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貢を納めなかった。筑紫から使いが願い状を持って
【オシテ】
いろいろな意味に使われる「オシテ」だが、ここでは君への願いの文書。
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熊襲の討伐を願いに来た。君は八月望の日から
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行幸された。九月五日に
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周防の佐波に到着した。その時君は
【サバ】
山口県周防市に「佐波川」や「佐波」という地名が残っているのでこの辺りと思われる。
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南の方を望んで「不穏な気配がするのは
【ザガイキ】
「ザ」は「サ」(清い・正しい)が濁音になり、その反対(邪悪な・よくない)の意、「ガ」は「カ」(正しい・明るい)の反対の「邪悪な・暗い」という意と捉え、「イキ」は「息」より「気配」とし、訳は「不穏な気配」とした。